親鸞聖人750回大遠忌法要は無事円成いたしました。多くの方々のご参拝、誠にありがとうございました。
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画

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お寺を子どもの居場所に-キッズサンガの理念- 『宗報』2009(平成21)年8月号掲載 新たな始まり 親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画の現状 vol.20
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画「次代を担う『人』の育成」のうち、重点項目⑬「既存の人材育成施策の強化」において青少年教化対策が掲げられ、取り組みを始めて3年がたちました。

現代は子どもたちが、阿弥陀さまとのご縁に触れることさえ困難な時代を迎えています。そんな時代であるからこそ親鸞聖人750回大遠忌を機縁に、すべてのお寺で子どもたちに阿弥陀さまに出遇ってもらう場を創出することから始めようと、キッズサンガの運動は始まりました。今回はあらためて、キッズサンガの理念と進捗状況および将来像についてお伝えします。

1 キッズサンガ理念の再確認

キッズサンガの最終的な目標は「子どもたちに、阿弥陀さまの救いを伝えていく。そしてその活動をするのは、お寺の本来の姿であり、すべてのお寺が子どもを視野に入れることのできるお寺になっていこう」というところにあります。

現代社会の子どもたちや若者たちは、インターネットや携帯電話など極度に進んだ情報化社会の影響を受け、人と人との繋がりに生身の温もりを経験しにくい中にあります。また、家庭にあっては親世代の子育てに対する意識が変わったためか、親から「あるがままの存在」を認められない中で、「自己肯定感」が希薄になっている傾向が見えます。そのような環境にある若者たちや子どもたちは、やり場のない程の孤独感を感じつつ、悩みや不安を抱えているようです。これは、最近の「他者の痛み」に目を向けない凄惨な事件にも見てとることができます。キッズサンガの取り組みは、こうした現実を私たちの課題にしたからにほかなりません。

そういった現実を抱えている多くの子どもたちに「ここは君が居ていい場所だよ」と、お寺が「居場所」であることを知ってもらい、子どもたちが阿弥陀さまに出遇えるご縁(環境)づくりを、お寺あげて創出していこうというものです。

かつては、阿弥陀さまに出遇うご縁の多くは家庭によってもたらされていました。しかし、現代は「核家族」を通り越し「孤立家族」に変化し、おおよそ宗教的伝承が困難な状況にあるといえます。また、それに加えて宗教情報のほとんどが超常現象とか超能力、あるいは霊感・占いやスピリチュアルなどの名のもとに垂れ流される「メディアによる伝承」になってしまっている状況もあります。

一方、そのような現実を目の当たりにしながらも、子どもへの伝道という視点を宗門として見失っていた状況がありました。確かに組織教化活動(日曜学校・子ども会あるいはスカウト活動)や幼稚園・保育園を通して、地道に子どもへの伝道を行う活動はありましたが、それが全宗門的な展開となり得ていませんでした。

そこで「子どもの置かれている現状」と「子どもに対する寺院の在り方」という二つの課題に、どう対処し、どう克服していけばいいのかという視点で起案されたのがキッズサンガです。

その展開方法として、まずお寺を構成する僧侶や門信徒が力を合わせて、子どもに阿弥陀さまとのご縁をつくる場の創出をしようとするものであり、たとえば、法事において子どもに向けたご法話をするとか、家族そろってのお寺参りを積極的に促すなども、この展開方法の一つでもあります。従って、その手法は今までの少年教化方法にとらわれず、自由な発想で、子どもへの伝道活動を始めてもらえるよう提案をしていくものです。(既存の組織教化活動を否定するものではありません)。そして、すべてのお寺がこの活動に参画することで、お寺とそこに集うみんなが生き生きとした、真の「サンガ」となることをめざすものです。

2 進捗現状と短・長期目標および将来構想

2008(平成20)年度をもって、すべての教区(特区)に「キッズサンガ推進部門」が設置され、各地・各寺院の特色を生かしたキッズサンガの活動が展開されています。教区での推進役「少年教化アドバイザー」(全国166名)をはじめ、組での推進役「少年教化サポーター」(全国955名)が誕生し、各寺院においての「子どもたちに目を向けた取り組み」が大きなうねりとなってきています。

今後は、親鸞聖人750回大遠忌法要の年(平成24年3月末)までに、各寺においてキッズサンガの願いに添う活動が始動していくことを短期目標とし、また、キッズサンガの願いのもとに活動する寺院が宗門全体に広がり、子どもを視野に入れた寺院活動は当たり前といった宗門になっていくことを長期目標としています。

また、キッズサンガ運動を「打ち上げ花火」で終わらせないよう、青少年教化に関しての総合的な研究と提案をする機関(部門)を設置し、継続的に支援する態勢を整えることを将来構想としています。

3 おわりに

「寺離れ」の現代に生きる青少年へのこうしたアプローチは、重要な教化活動です。私たちのお寺において、このキッズサンガは、先に述べたような社会環境にある子どもたちへすくいの場を伝えることであり、ひいては日本人の精神文化のルネッサンスともなりうると言えます。

従って、親鸞聖人750回大遠忌法要をお迎えする私たちの大きな責務として展開していきたいと思います。これを進めていくことが、ひいては宗門長期振興計画のコンセプトである「明日の宗門の基盤作り」に、なりうるものと考えています。

≪追記≫

キッズサンガ推進のため、中央キッズサンガ推進委員会・寺院活性化推進部では「リーフレット」「パンフレット」「ガイドブック」「のぼり」などを作成しました。また、それぞれの教区で作成した教材・広報紙などもありますので、どうぞご活用ください。
ガイドブック・パンフレット
左:パンフレット(A4版 表紙共12頁 カラー)
右:ガイドブック(A4版 表紙共28頁 カラー)
のぼり リーフレット
のぼり(600×1800mm)
リーフレット(A4三つ折 カラー)

(宗門長期振興計画推進対策室 寺院活性化推進部)