親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画「次代を担う『人』の育成」のうち、重点項目⑬「既存の人材育成施策の強化」において、
龍谷総合学園加盟各学園の相互連携のもと、各校が有する教育力を活かし宗教的情操豊かな人の育成をめざした教育事業を展開するため、
「龍谷総合学園・高大連携教育プログラム」を推進しています。
この龍谷アドバンスト・プロジェクト事業を展開するにあたっては、建学の精神に基づいた宗教的情操教育を基盤に置くことはもちろんでありますが、
これに加え、一般に「社会人基礎力」として提唱される「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」
を培うことをも重視しています。
そして「高校生・大学生の成功体験と、教員の成長実感」というキーワードを基に、これを繰り返し行うことで、
それぞれの相乗効果を起こしていきたいと考え、この龍谷アドバンスト・プロジェクトを構築いたしました。その流れは、次の通りであります。
まず大学側から提供された「e-Learning」(ITを利用した遠隔授業)の活用を前提に、大学教員による講義を収録したデジタル教材を高校生に提供し、
一つの教育テーマに関する基本を習得するための学習展開を行います。
これには学習内容の定着を図るために、教育内容にそったレポートの提出を求め、
各校参加生徒から提出されたレポートについては、
大学からフィードバックを行い、参加生徒の理解の深化を促します。
次のステップでは、提出されたレポートの評価(大学による評価)を参考に選抜された高校生に対して、夏休みに主体的に取り組む研究テーマを提供し、
研究対象を絞り込み、書籍やインターネット情報、フィールドワークなどを通じて研究を進めるなど探究学習に取り組みます。
そして、最終段階においては、夏期交流学習に選抜された高校生が京都に集い、自主研究に取り組んだ成果を発表(プレゼンテーション)
するコンテストを開催いたします。
特に交流学習では2泊3日の日程を設け、大学教員やサポーターとして参加する大学生から助言、指導を受け、
さらに図書館など大学の施設で資料収集などを行って研究成果の精度を高め、最終日のプレゼンテーションに備えるプログラムとなっております。
2009(平成21)年度は、全国展開を開始した初年度であり、このたびは龍谷大学の協力を得て、高校へのアンケートで最も求められた
「仏教」「環境」「経営」の3つの教育テーマのもと、夏期交流学習を行いました。
これには龍谷総合学園加盟の高等学校16校から67名の生徒と、龍谷大学の学生18名が参加しました。
夏期交流学習に参加した生徒らの研究発表を聞いた「仏教」を担当する入澤崇教授(龍谷大学)からは
「高校の授業ではなかなか踏み入れられない分野を研究したのは、点数に還元することのできない貴重な体験。
人間は『これでいい』と満足するとそこで終わってしまうが、本気で取り組めば、その研究対象の深さに気づかされていく。
これで満足することなく、新たな始まりにしてほしい」と生徒にメッセージを送られました。
参加した生徒からは「物事の見方の多さにあらためて気づかされた貴重な3日間だった。
今回の課題でわからなかったことを、これから勉強していきたい」と意欲的な声が上がっており、
またサポーターとして参加した大学生からは「素直な心で知識をどんどん吸収していく高校生の姿に驚かされた」と話すように、
生徒と学生の相互に刺激を与える実りある3日間でありました。
このように高校生の主体的な学習体験、大学生の実践的実習体験、こういったものが十分に確認でき、龍谷総合学園の中の学校間連携というのは、
やはり学校同士だけではなく、生徒・学生同士も連携していく、そういった取り組みにより、
さまざまな成長過程を体験できる効果が上がっていくと確かな手応えを感じたことであります。
今後、さらに龍谷総合学園加盟の大学と高校全体がこの事業に参画できる環境を整え、
より強い龍谷総合学園の構築に向けて邁進していきたいと考えております。
研修初日
高校生・大学生サポーター・大学教員でのグループ学習の様子
研修2日目
夜遅くまで熱心に研究に取り組む生徒たち
研修最終日
プレゼンテーション・コンテストの様子
(組織教化部)