お彼岸への願い -「あみだほとけをおがまなん」-

本願寺新報 2017(平成29)年9月20日号掲載
守 快信(もり かいしん)(布教使 滋賀県竜王町・東光寺住職)

ピザから法味の輪

カット 林 義明

 「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)ひとむら燃えて秋陽(あきび)つよし」と、お彼岸の景色を詠(よ)んだ詩があります。小学校の国語の教科書に出ていたのが、なぜか印象に残り、この時期に思い出します。

 また、土手に群生している曼珠沙華(彼岸花)を、哀(かな)しい想いを持って次々となぎ倒していたことも思い出します。

 親鸞聖人が道綽禅師(どうしゃくぜんじ)の『安楽集』のご文(もん)を引かれて、

 「前(さき)に生(うま)れんものは後(のち)を導き、後に生れんひとは前を訪(とぶら)へ、連続無窮(むぐう)にして、願はくは休止(くし)せざらしめんと欲(ほっ)す。無辺(むへん)の生死海(しょうじかい)を尽(つく)さんがためのゆゑなり」
    (註釈版聖典474ページ)

と、お念仏の教えの相続への思いを著されているご文があります。

 彼岸花は、毎年同じ場所に群生します。一面に咲く景色は、炎のように燃えているように見えます。

 この時期、多くの方々がお墓にお参りされ、墓碑の「南無阿弥陀仏」を見て、手を合わせて「ナンマンダブ」と称(とな)えられます。彼岸花のように、お念仏のご相続のご縁を目の当たりにし頭が下がります。ずっと大切にと願うばかりです。

 ところで、数年前に境内に二層式の本格的なピザ窯(がま)を造ってしまいました。きっかけは、ある方から「お寺にピザ窯があるといいわね」と言われたことで、調子に乗って一年半かかって造りました。

 本で調べ上げ、さまざまな窯の条件を考えて設計図を何度も書き換え、法務の合間を縫(ぬ)って1日2時間ほどの作業の繰り返し。耐火レンガと焼きレンガを都合千枚近く積み上げました。

 その間、持病の入院手術を挟んでの作業でした。大変だなと多くの方にご心配いただきましたが、おかげさまで「みなさんに法味(ほうみ)を味わっていただきたい」との願いを持って積み重ねて、完成しました。

 この窯を、多くの方々にピザの味とともにお念仏も味わっていただきたいと、「法味窯(ほうみがま)」と名付けました。

 いまでは、願い通り、ピザの味とともに法味の輪ができつつあります。

お寺で楽しい笑顔

 今年も夏休みの終わりに、「子どもの集い」というピザパーティーを催しました。子どもの数も少なくなりましたが、ご門徒や地域の枠を越えて、ご縁のある多くの子どもたちへ案内しました。お母さんやお父さん、おじいさんやおばあさんが、子どもたちとともに楽しい一日をお寺で過ごしてくださいました。

 お念珠(ねんじゅ)の持ち方やおつとめの練習をした後、「らいはいのうた」のおつとめ。初めての子どもたちや保護者の方も一緒になって「あみだほとけをおがまなん」と、大きな声でおつとめしてくれました。

 そして「多くのいのちをいただいていることに感謝し、〝いただきます〟 〝ごちそうさま〟を言いましょう」とのお話。お経本(きょうぼん)などのおかたづけも、みんな競ってしてくれました。

 本堂には、子どもたちの楽しい遊び声が響き、境内を自由に走り回っていました。また、年上の子が小さな子の遊び相手にと、ほほ笑ましい様子が見られました。

 いよいよピザパーティーです。さまざまな形のピザ。アンパンマンやピカチュウなど、思い思いのデザインを大人と一緒に形にしていました。みんなの素敵な笑顔があちらこちらに。焼き上がったピザもあっという間に子どもたちの口の中へ。法味窯ピザの味とともに笑顔がいっぱいあふれていました。

 お寺での楽しい笑顔の時間、大人になっても忘れないでほしいとの願い。実は、お越しいただいているお父さんやお母さんの中にも、子どもの頃、お寺で遊ばれた思い出があるとか。

 親鸞聖人がお引きいただいたご文のお心。

 〝前に生まれた人は後の人を導き、後に生まれた人は前の人を訪(たず)ねよ。その休みなき繰り返しの中に、お念仏の教えがすべての人々の幸せにつながることとなる〟と、お念仏のご相続を願っていただいています。

 ピザパーティーの子どもたちの歓(よろこ)びの声とともに「あみだほとけをおがまなん」と、代々受け継がれることを願ってやみません。

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