法話(ご親教)

2018(平成30)年 御正忌報恩講 ご門主「ご親教」 【2018(平成30)年1月15日】

2018年御正忌報恩講法要ご親教

"念仏者の生き方"共々に考える
SDGs 社会の問題にできることから取り組みを

 本年もようこそ御正忌報恩講にご参拝くださいました。全国から親鸞聖人をお慕いする皆さまがご参拝くださり、ご一緒におつとめをし、お念仏申させていただく尊いご縁であります。このご縁にあたり、あらためて親鸞聖人がお説きになった浄土真宗のみ教えを味わわせていただきましょう。
 親鸞聖人は、比叡山で20年間、さとりを求めて修行をされましたが、我執、我欲の心である煩悩(ぼんのう)が無くなることはありませんでした。明日おつとめいたします『嘆徳文(たんどくもん)』には、親鸞聖人のおこころを「定水(じょうすい)を凝(こ)らすといへども識浪(しきろう)しきりに動き、心月(しんがつ)を観(かん)ずといへども妄雲(もううん)なほ覆(おお)ふ」(『註釈版聖典』1077㌻)と記されています。平らな水面を見ると波が立ち、月を見ると雲に覆われてしまうということです。
 親鸞聖人だけでなく、仏教を説かれたお釈迦さまの時代から、私たち人間の姿は変わりません。それは、この世界の真実をありのままに受け止めることができず、自分の思いやとらわれの中で悲しみ苦しむ姿であります。親鸞聖人は、そのような私たちを救おうと阿弥陀さまがはたらきかけてくださっていると明らかにされました。阿弥陀さまのおはたらきの中で、私たちは真実を聞き、真実に気付くことができます。そのことによって、自分自身のありのままの姿、自己中心的な姿を知ることができます。
 さて、科学技術が発達した現代社会ですが、それゆえにさまざまな問題も起こっています。今のままでは人間が存在することのできない地球になってしまうという強い危機感が世界で共有されています。そのことを背景として、2015年に国連で全会一致で採択された「SDGs 持続可能な開発目標」は、地球環境と人々の暮らしを持続的なものとするため、深刻化する地球規模の課題にともに取り組み、人類の未来を切り開いていくことを目指したものです。「誰一人取り残さない―No one will be left behind(ノー ワン ウィル ビー レフト ビハインド)」を理念として、そこで取り上げられた課題には、2030年までに達成する「貧困」「教育」「ジェンダー」「不平等」「平和」など世界を変革するための17の目標が掲げられています。そして、日本においても未達成とされている目標が多くあります。
 先ほども述べましたように、私たち念仏者は、阿弥陀さまのおはたらきの中で、自分自身のありのままの姿、自己中心的な姿を知ることができます。そして、阿弥陀さまの救いのおこころを知らされた私であるからこそ、他の方の悲しみや苦しみに無関心ではいられません。さまざまな社会の問題に関心を向け、私にできることから解決への取り組みを始めていきましょう。
 今年の報恩講にあたり、浄土真宗のみ教えを依(よ)りどころとする念仏者の生き方を共々に考え、今日からの日々を過ごしてまいりましょう。
 本日はようこそご参拝くださいました。

本願寺新報2018(平成30)年2月1日号掲載
(ホームページ用に体裁、ふりがな等を調整しております)

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