地域での活動レポート

お寺で婚活 「独身の門徒さんに出会いの場を」

九州・沖縄2024/04/24
  • 教区活動

 「独身の門徒さんに出会いの場を提供したい」と熊本教区種山組(西方眞組長)は、門信徒の若者を対象にした「寺婚活(てらこんかつ)」を開いています。近年、寺院主催の婚活イベントは少なくないですが、寺族や入寺希望者を対象にしたものに比べ、門信徒同士向けの例は多くありません。若者にお寺を身近に感じてもらうきっかけにもなっており、親世代からも「お寺さんが息子や娘のために力になってくれている」と喜びと期待の声が寄せられています。


◆「門徒さんのために」と若手僧侶が企画運営

 「寺婚活」開催は、門信徒宅への月忌参りで、若者の結婚事情を知ったことがきっかけでした。運営する種山組育成部の僧侶は「この地域では月に2回、3回とお参りに伺うお宅もある。おつとめの後の話などで、お子さんの結婚が話題になることも少なくなかった。出会いの少なさが結婚率低下の一つの要因だと知り、私たちならではの社会貢献ができれば」と企画を上げ、形にしていきました。
 あくまでも「地元の門徒さんのため」です。宣伝はポスターやチラシを使った口コミのみで、自宅や寺の法要などで家族らの意向を聞くなどし、門信徒のほかは、その知人らに対象を絞って声をかけてきました。2014年にスタートし、2020年までに8回実施しました。定員は毎回男女各15人で、これまでに28組のカップルが誕生し、7組が結婚しています。スタッフは種山組育成部の僧侶らが務めます。
 新型コロナでの中止を経て4年ぶりの開催となった9回目は2024年2月23日、スタッフの三原哲信さんが住職を務める西福寺(熊本県氷川町)を会場に行われました。
 28歳から46歳までの男性15人と女性8人が参加し、最初に僧侶が法話と、念珠の持ち方や合掌・礼拝など基本的な作法の説明を行った後、トークタイムが設けられました。本堂の外陣にイスが並べられ、男性が移動しながら1人5分ずつの対話で、自己紹介を交えて趣味や人生観などを語り合いました。フリータイムを経て、「また会ってみたい人」を提出し、5組のカップルが誕生し、参加者から祝福の拍手が起きました。
 2回目の参加という35歳女性は「母と坊守さんが友人で、誘っていただいた。地元のお寺さんを介して参加されている方ばかりなので安心感がある。別の婚活パーティーにも行ったことがあるが、ここはスタッフがお坊さんなので、積極的に声をかけるのが苦手な人にもさりげなく寄り添っておられ、きめ細やかな心配りで雰囲気を和らげてくださっているのが有り難い」。45歳男性は「人と人との縁を結ぶお寺さんらしい取り組み。今回はカップルになれなかったが、また参加したい」と話します。

◆お寺を身近に感じてもらえるように(仏前結婚式を挙げるカップルも)

 三原さんは、「成立したカップルに映画のチケットをプレゼントしたり、結婚の際には『夫婦(めおと)念珠』を贈るなどアフターフォローにも力を入れている。おかげで『私たちが出会った本堂で』と会場となった寺院で仏前結婚式を挙げたカップルもおられる」と話します。
 育成部の僧侶たちは「ここで法座やお寺参りの勧誘は一切しないが、寺婚活そのものがお寺に足を運んでもらう機会となっている。夏に参加者の同窓会的なバーベキューを開いた年もあり、お寺を身近に感じてもらえるようにしている。孫娘を連れて問い合わせにこられた門徒さんもあり、お寺を信頼してくださっているからこそできること。それに応えるべく、『門徒さんのために』の一点で私たちなりの取り組みを進めていきたい」と熱く語っていました。

『本願寺新報』(2024年4月20日号)に同内容の記事を掲載しております。