○審査審判規程

平成24年3月13日

宗則第65号

目次

第1編 総則(第1条―第16条)

第2編 懲戒委員会による懲戒手続

第1章 懲戒手続の開始(第17条―第23条)

第2章 懲戒審査(第24条―第27条)

第3章 懲戒処分(第28条―第34条)

第4章 決行猶予の取消し(第35条―第44条)

第3編 審査委員会による懲戒及び審判手続

第1章 懲戒手続(第45条―第47条)

第2章 不服申立ての審判(第48条―第58条)

第3章 宗務審判

第1節 提訴(第59条―第66条)

第2節 審判手続(第67条―第89条)

第3節 審決(第90条―第96条)

第4編 特別委員会による審判手続(第97条―第107条)

第5編 補則(第108条)

附則

第1編 総則

(目的)

第1条 この宗則は、宗法第65条第1号から第3号及び宗規第36条第1号から第3号の規定による特別委員会、審査委員会及び懲戒委員会が所掌する事項(特別委員会が所掌する宗門投票に関する事項を除く。)を処理するための要件及び手続を定めることを目的とする。

2 前項の規定による各委員会の組織は、宗法及び宗規に定めるほか、監正局組織規程(平成24年宗則第23号)による。

3 各委員会は、所掌する事項を処理するにあたり、宗門の法規の中に該当する明文がないときは、正義衡平の原則に照らして手続を行わなければならない。

(定義)

第2条 この宗則において、反則を行ったと疑いを受けた者を反則嫌疑者(以下「嫌疑者」という。)、懲戒審査を受ける者を被審人といい、その行為を反則嫌疑事実(以下「反則事実」という。)という。

2 この宗則において、特別委員会又は審査委員会に審判(懲戒処分の不服申立ての審判を除く。)を提起した者を提訴者といい、提訴者及び相手方を当事者という。

(費用の負担)

第3条 懲戒手続及び審判手続に関する費用の負担は、次の各号に掲げるとおりとする。

 申告人、嫌疑者、被審人、当事者及び代理人の移動費は、移動を要した当人の負担とする。

 嫌疑者、被審人、当事者又は代理人が請求した証人の招喚、証拠の取り調べその他これに類するものに要する費用は、請求した者の負担とする。

 前2号以外の費用は、監正局の負担とする。

(除斥と忌避)

第4条 懲戒事案及び審判を担当する審事が、嫌疑者、被審人又は当事者の利害関係人である場合は、その職務から除斥される。

2 嫌疑者、被審人又は当事者は、担当審事に対し、忌避の申立てをすることができる。

3 特別審事は、除斥又は忌避されることはない。

(当事者)

第5条 宗門の機関(以下「宗務機関」という。)の長又は団体の代表者は、提訴又は被提訴について、宗務機関又は団体を代表する。

2 前項の提訴又は被提訴については、総局、宗務部門、宗会、宗会事務局、勧学寮、監正局、教区会、教務所、組会、組事務所、直轄寺院及び直属寺院並びに本山の内局、本山の内局部門及び本願寺評議会その他これらに準ずるものと審査委員会が認めるものを、宗務機関とみなす。

(代理人)

第6条 嫌疑者、被審人及び当事者は、いつでも1人の代理人を選任し、又はこれを解任することを、書面で当該委員会に申出ることができる。但し、口頭審問を行わない場合は、代理人を選任することができない。

(情報及び書類並びに証言の要求)

第7条 当該委員会は、調査、審査及び審判に必要があるときは、宗務機関が保有する情報の提供及び書類などの写の提出を、その機関に要求することができる。

2 前項の要求を受けた宗務機関は、正当の事由なく、これを拒むことができない。

第8条 当該委員会は、僧侶、寺族又は門徒に対し、事件の調査に必要な書類などの提出及び証人として証言を要求することができる。

2 前項の要求を受けた者は、正当の事由なく、これを拒むことができない。

第9条 宗務員又は宗務員であった者が、職務上知り得た宗務又は寺務の秘密であることを述べて証言を拒むときは、当該機関の長の承諾がない限り、その者に証言を求めることができない。但し、当該機関の長は、宗門の重大な利益を害する恐れのある場合を除き、承諾を拒むことができない。

第10条 何人も、自己が懲戒の申告を受ける恐れのある証言を拒むことができる。

(聴取)

第11条 当該委員会は、調査又は審問のため、必要と認める者を招喚し、聴取することができる。

2 前項の招喚を受けた者は、正当の事由なく、これを拒むことができない。

第12条 嫌疑者、被審人、当事者又は代理人は、証人の招喚又は証拠の取り調べを請求することができる。

第13条 総長、総務、副総務、宗会議員、勧学寮頭、勧学寮員、特別審事及び審事並びに本山の執行長、副執行長、執行及び本願寺評議会評議員を聴取する必要があるときは、監正局長(以下「局長」という。)の同意を得なければならない。

2 宗会開会中に、宗会議員を聴取する必要があるときは、あらかじめ宗会の承認を得なければならない。

3 前項の宗会開会中とは、招集の日から閉会又は解散の日までをいう。

4 本山の本願寺評議会開会中に、評議員を聴取する必要があるときは、あらかじめ本願寺評議会の承認を得なければならない。

5 前項の本願寺評議会開会中とは、招集の日から閉会の日までをいう。

(傍聴許可)

第14条 特別委員会及び審査委員会は、必要に応じて、特別審決会及び審決会の傍聴を許可することができる。但し、懲戒処分に関する特別審決会及び審決会は、傍聴を許可することができない。

(書類の取扱い)

第15条 懲戒手続又は審判手続に関する一切の書類は、別に定める場合を除き、処分又は審決が確定するまで、これを公表してはならない。但し、当該委員会が、宗門の利益となると認める部分については、この限りでない。

2 前項の書類は、局長の定める期限まで、監正局に保管しなければならない。

3 懲戒手続及び審判手続の関係者又は関係宗務機関は、局長の許可を得て、前項に規定する書類を閲覧することができる。

(審決書)

第16条 懲戒処分を受ける者及び当事者に送達する審決書は、原本に基づき作成した正本でなければならない。

2 前項の正本の謄本又は抄本は、関係の宗務機関に送達し、若しくは懲戒手続及び審判手続の関係人の請求により交付することができる。

3 審決書に誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、当該委員会は、職権で、いつでも更正することができる。

4 前項の更正をしたときは、当該委員会は、被審人又は当事者及び関係機関等へ通知しなければならない。

5 第3項の更正の効果は、処分又は審決の申渡しのときにさかのぼる。

第2編 懲戒委員会による懲戒手続

第1章 懲戒手続の開始

(申告)

第17条 この宗門に所属する者は、特に定める場合を除き、何人でも反則事実があると思料するときは、書面をもって懲戒委員会に申告することができる。

2 申告書には、申告人の住所及び氏名並びに嫌疑者を特定するに足りる事項、申告の趣旨及び理由を記載しなければならない。

3 宗務員は、反則事実を知ったときは、懲戒委員会に申告しなければならない。

4 反則事実を申告した者に対して、不利益な取扱いをしてはならない。

5 懲戒処分が確定した反則事実については、さらに申告することができない。

6 反則事実について、懲戒処分に付さないことが決定されたときは、新たに重要な証拠を発見した場合を除き、同一事件について、さらに申告することができない。

(申告書の訂正等)

第18条 申告書の記載事項に不備があるときは、懲戒委員会は、申告人に、訂正、削除又は追補を要求することができる。

2 申告人が、前項の要求に応じないときは、申告を受理しないことができる。

(事件の移送)

第19条 懲戒委員会委員長は、申告の内容に審査委員会又は特別委員会の権限に関連する事項が含まれるなど、事案の複雑その他申告のあった事案を懲戒委員会で所掌することに適しない相当な事由があると認めるときは、懲戒委員会の議を経て、これを審査委員会に移送しなければならない。

(申告の取消し)

第20条 申告は、処分が決定するまで、これを取消すことができる。

2 申告を取消した者は、同一の事件について、再び申告することはできない。

(端緒の把握及び調査)

第21条 監正局審査・審判事務担当(以下「事務担当」という。)は、反則事実の端緒の把握に努めるとともに、その端緒を得たときは、懲戒委員会委員長に、その旨を報告しなければならない。

2 懲戒委員会委員長は、反則事実の申告があったとき及び反則事実の端緒について報告を受けたときは、懲戒審査を行うために必要な端緒の調査を事務担当に命じるものとする。

3 事務担当は、端緒の把握及び調査にあたり、必要に応じて、申告人若しくは嫌疑者の出頭を求めること又は監正局外において調査を行うことができる。

4 第2項の規定にかかわらず、懲戒委員会委員長及びその指名する懲戒委員会委員は、必要に応じて、前2項の規定による調査を自ら行うことができる。

5 懲戒委員会委員長は、事務担当による端緒の把握及び調査にあたり、必要に応じて懲戒委員会委員の中から2人を指名し、懲戒審査を行うことの可否について協議することができる。

(教義に関する反則)

第22条 申告及び端緒の把握に基づく嫌疑者の嫌疑内容が、教義に関する反則であるときは、事務担当は、懲戒委員会委員長に報告の上、その内容について、勧学寮の意見を求めなければならない。

2 前項の規定により、勧学寮の意見を求めるときは、次の各号に掲げる事項を記載した書類を添えて行わなければならない。

 嫌疑者の氏名、住所、教区、組、所属寺及び所属寺における身分

 反則の内容

 前2号のほか、必要なこと

3 懲戒委員会委員長は、第1項の規定に基づき勧学寮から意見の表示があった場合において、嫌疑者に対する教諭の必要を認めたときは、監正局長の同意を得て、勧学寮に対し、教諭を行うよう要請しなければならない。

4 前項の要請に基づき、勧学寮から教諭を行った旨の結果報告があったときは、懲戒委員会委員長は、懲戒審査を行うことの可否を決定しなければならない。

(全赦の宗令発布以前の反則)

第23条 全赦の宗令が発布される以前の反則については、同宗令発布以後に取扱うことができない。

第2章 懲戒審査

(懲戒審査)

第24条 懲戒委員会委員長は、反則事実の申告又は端緒の把握に基づく調査の結果、懲戒審査を行うことに決定したときは、1人又は2人の審査員を指名し、若しくは審査会を組織し、事件の調査・審査を委嘱するとともに、事務担当に対し、その調査を命じなければならない。

2 宗務員懲戒に該当する事件の場合は、必ず審査会を組織しなければならない。

3 懲戒委員会は、事件の審査中に、宗務員懲戒に該当すると思われる事案を発見したときは、事務担当に調査を命じて、その端緒を把握するよう努めなければならない。

4 懲戒委員会は、前項の調査により、端緒を把握したときは、総局に対して、申告を勧告しなければならない。但し、特に理由がある場合は、事案の調査に先立ち、総局に対して、内容を通知することができる。

5 懲戒委員会は、第1項及び第2項の規定による手続をしたときは、遅滞なく被審人及び申告人がある場合には申告人に通知するとともに、被審人の氏名、教区、組、所属寺及び宗務員である場合は、その旨を総局に通知しなければならない。

6 前項の規定による被審人及び総局への通知には、嫌疑内容の概要を付さなければならない。

7 総長は、第4項及び第5項の規定により、申告の勧告又は通知のあった宗務員が本山の寺務所員である場合には、本山の内局に通知しなければならない。

8 第1項の規定により調査・審査を委嘱された審査員及び調査を命ぜられた事務担当は、審査会の開催に先立ち、申告人若しくは被審人の出頭を求めること又は監正局外において調査を行うことができる。

(審査員又は審査会の職務)

第25条 審査員又は審査会は、その事件に関し、事務担当を指揮監督する。

(弁明の機会)

第26条 審査員又は審査会は、調査・審査を終了し、処分を決するにあたっては、被審人に弁明の機会を与えなければならない。

2 前項の弁明は、書面によることをさまたげない。

3 第1項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、弁明を聞くことなく、調査・審査を終了し、処分を決定することができる。

 審査会を無断で退場したとき。

 審査会の秩序維持のため退場を命ぜられたとき。

 正当の事由なく審査会期日に出頭しないとき又は出頭しないことを申出たとき。

 受刑中又は勾留中で、調査・審査にかかる面会要求に応じないとき。

 居所不明のとき。

 その他弁明を聞くことが困難な事由があるとき。

(結果の報告)

第27条 審査員又は審査会は、調査・審査を遂げたときは、その結果及び処分についての意見を、懲戒委員会委員長に報告しなければならない。

第3章 懲戒処分

(懲戒委員会開催の要否)

第28条 懲戒委員会委員長は、調査・審査の結果の要旨及び処分案(以下「原案」という。)を、審査会会長及び審査員以外の懲戒委員会委員(以下「委員」という。)に示し、その事件に関して懲戒委員会開催の要否について、意見を求めなければならない。

(処分の決定)

第29条 前条に規定する手続の結果、委員の3分の1以上から懲戒委員会開催の要請があった場合を除き、原案をもって懲戒委員会の処分とする。

(処分の申渡し)

第30条 懲戒処分に付する場合は、被審人に対し、懲戒処分の内容及び証拠によって認定された事実を記載した審決書をもって申渡さなければならない。

2 前項の申渡しは、審決書原本に基づいて作成した審決書の正本を、被審人に送達して行う。

3 前項の送達は、手交又は書留郵便で、これを行うものとし、書留郵便の場合は、郵便に付したとき送達があったものとみなす。

4 懲戒処分に付さないことを決定したときは、懲戒委員会は、その旨を総局並びに被審人及び申告人がある場合には申告人に、通知しなければならない。

5 総長は、前項の規定により、通知のあった被審人が本山の寺務所員である場合には、本山の内局に通知しなければならない。

(審決書)

第31条 懲戒処分の審決書原本には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

 懲戒処分を受ける者の氏名、住所、教区、組、所属寺及び所属寺における身分並びに所属寺の所在

 主文

 事由

 懲戒処分申渡しの年月日

 不服申立てを行える場合は、その期間

 懲戒処分を申渡した委員会名

2 前項のほか、宗務員懲戒の審決書原本には、所属の機関、部署及び職階を記載しなければならない。

(不服申立権の放棄)

第31条の2 懲戒処分の申渡しを受けた被審人は、不服申立権を放棄することができる。

2 前項の放棄は、書面をもってこれをしなければならない。

(懲戒処分の確定)

第32条 懲戒処分の申渡しに対して、不服申立権を放棄したとき、又は不服申立てがなく、若しくは不服申立てが棄却若しくは取消されて、不服申立期間が経過したとき、当該懲戒処分は確定する。

(公示)

第33条 確定した懲戒処分は、別に定める場合を除き、これを宗報に公示しなければならない。

(関係機関等への通知)

第34条 懲戒処分が確定したときは、局長は、総長並びに被審人の所属する教区の教務所長及び組の組長に、これを通知しなければならない。

2 総長は、前項の規定により、通知のあった被審人が本山の寺務所員である場合には、本山の内局に通知しなければならない。

第4章 決行猶予の取消し

(決行猶予の取消し)

第35条 決行猶予の取消しに関する手続は、懲戒委員会が行う。

(審査会の組織)

第36条 懲戒委員会委員長は、懲戒処分の決行猶予を取消す必要があると認めるときは、審査会を組織しなければならない。

(審査会期日等の通告)

第37条 前条の規定により、審査会が組織されたときは、懲戒委員会は、当該人に、審査会期日及び取消さなければならない事実について、遅滞なく通告しなければならない。

(弁明書)

第38条 前条の通告を受けた当該人は、通告のあった日から15日以内に、懲戒委員会に対し、弁明書を提出することができる。

(審査の開始時期)

第39条 懲戒委員会は、前条に規定する期限以前に、審査を開始することはできない。

(処分の申渡し)

第40条 決行猶予取消しの処分は、審決書により、これを当該人に申渡さなければならない。

2 前項の申渡しは、送達することにより確定する。

(審決書)

第41条 決行猶予取消しの処分の審決書原本には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

 当該人の氏名及び住所

 主文

 事由

 処分申渡しの年月日

 処分を申渡した委員会名

(不服申立て)

第42条 決行猶予取消しの処分には、不服申立てを行うことができない。

(公示及び通告)

第43条 決行猶予取消しの処分は、これを宗報に公示しなければならない。

2 前項の処分は、必要に応じて、その要旨を関係宗務機関に通告するものとする。

(準用規定)

第44条 決行猶予の取消しに関する手続については、本章に特別の定のある場合を除き、本編第1章から第3章までの規定を準用する。

第3編 審査委員会による懲戒及び審判手続

第1章 懲戒手続

(審査委員会による懲戒手続)

第45条 審査委員会委員長は、懲戒委員会から第19条の規定による事件の移送があった場合は、遅滞なく審決会を組織しなければならない。

(処分の決定)

第46条 前条の審決会の処分は、定数の過半数で決する。

(準用規定)

第47条 審査委員会による懲戒処分の手続は、本章に特別の定がある場合を除き、第2編の懲戒委員会による懲戒手続の規定を準用する。

第2章 不服申立ての審判

(懲戒処分の不服申立て)

第48条 懲戒処分の申渡しを受けた者は、その処分(以下「原処分」という。)に対し、不服申立てをすることができる。

(申立期間)

第49条 不服申立ての期間は、原処分の審決書を送達した日から20日以内とする。

(不服申立書)

第50条 不服申立てをする者は、懲戒委員会に対し、次の各号に掲げる事項を記載した不服申立書を提出しなければならない。

 原処分の内容

 審決書を受領した年月日

 原処分申渡しの年月日

 不服申立ての理由

2 懲戒委員会は、前項に規定する不服申立書を受領したときは、速やかに関係資料とともに、これを審査委員会に回付しなければならない。

(審決会の組織)

第51条 審査委員会委員長は、不服申立てに事由があると認めるときは、申立書を受理して、審決会を組織しなければならない。

(申立ての棄却)

第52条 審査委員会委員長は、不服申立てに相当の事由がないと認めるときは、審査委員会の決定により、これを棄却することができる。

(申立内容の追加、撤回又は変更)

第53条 不服申立ての内容は、処分の決定まで、追加、撤回又は変更することができる。

(申立ての取消し)

第54条 不服申立ては、処分の申渡しまで、これを取消すことができる。

2 前項の取消しをした者は、同一の事件について、さらに不服を申立てることができない。

(趣旨の弁明)

第55条 審決会会長は、不服申立てをした者に、その趣旨を弁明させなければならない。

2 前項の弁明は、これを書面に代えることができる。

(処分の決定)

第56条 処分の決定については、第46条の規定を準用する。

(懲戒処分の申渡し)

第57条 不服申立てにかかる懲戒処分の申渡しは、これを受ける者に送達することにより確定する。

2 不服申立てにおいては、原処分よりも重い処分を申渡すことができない。

(準用規定)

第58条 不服申立ての審判手続は、本章に特別の定がある場合を除き、第2編の規定による懲戒委員会の懲戒手続を準用する。

第3章 宗務審判

第1節 提訴

(宗務審判の提訴)

第59条 宗法第67条第1項第3号から第5号及び宗規第38条第1項第3号から第5号の規定による訴えは、宗務審判として、審査委員会に提訴することができる。但し、その処分による損害の賠償については、提訴することができない。

2 審査委員会に、異議を申立てること又は審理を請求することができると規定される事案は、懲戒事案及び特別審判の場合を除き、宗務審判として審判する。

3 懲戒委員会、審査委員会及び特別委員会が行った懲戒処分及び審決並びに勧学寮の教義に関する決定に関しては、宗務審判を請求することができない。

4 審査委員会は、提訴者が、相手方とすべき宗務機関を誤認しているときは、相手方の宗務機関の名称等について変更することを、提訴者に告げることができる。

(共同提訴)

第60条 提訴の目的が、数人に共通するときは、共同して提訴(以下「共同提訴者」という。)することができる。

2 共同提訴者の1人について生じた事項は、他の共同提訴者に影響を及ぼさない。

(提訴期間)

第61条 宗務審判の提訴は、宗務機関が、その処分又は措置をした日、若しくはその通告又は送達をした日から、90日以内に、これをしなければならない。

(提訴書)

第62条 宗務審判の提訴書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

 提訴者の氏名、住所、教区、組、所属寺及び所属寺における身分並びに所属寺の所在

 相手方の宗務機関の名称及びその所在

 提訴の事由

 提訴の年月日

2 前項のほか、宗務機関が提訴するときは、その機関の名称、所在及びその代表者の氏名を記載しなければならない。

3 提訴者は、提訴書のほか、提訴事由を証明するために必要な書類を添付しなければならない。

(提訴書の受理)

第63条 審査委員会は、提訴が宗務審判に該当し、手続が正当であると認めるときは、これを受理して、提訴書の謄本を相手方の宗務機関に送達し、期限を指定して、答弁書を提出することを通告しなければならない。

(提訴書の訂正等)

第64条 審査委員会は、提訴書に不備又は訂正を要する箇所があると認めるときは、これを提訴者に通告し、指定した期限内に改めさせることができる。

(提訴の却下)

第65条 審査委員会は、提訴が宗務審判に該当しないと認めるとき、又は提訴者が前条の通告に応じないときは、理由を付して却下することができる。

2 前項の却下に対し、提訴者は、局長に異議を申立てることができる。

3 局長は、前項の異議申立てに理由があると認めるときは、却下を取消すことができる。

(提訴内容の追加、撤回又は変更)

第65条の2 提訴の内容は、審理が終了するまで、これを追加、撤回又は変更することができる。

2 審査委員会は、前項の追加、撤回又は変更があったときは、その部分を遅滞なく相手方に通知しなければならない。

(提訴の取消し)

第66条 提訴は、審決まで、これを取消すことができる。

2 前項の取消しは、相手方の宗務機関の同意を必要としない。

3 第1項の取消しをした者は、同一の事件についてさらに提訴することができない。

第2節 審判手続

(審決会の組織)

第67条 審査委員会委員長は、提訴を受理したときは、遅滞なく審決会を組織しなければならない。

(審判期日の決定)

第68条 審決会が組織されたときは、審決会会長は、速やかに初回の審決会開催期日(以下「審判期日」という。)を決定し、審判期日の10日前までに、提訴者及び相手方の宗務機関に通知書を送達しなければならない。

2 当事者が、代理人を選任しようとするときは、初回の審判期日までに、代理人選任の申出を行わなければならない。

3 第2回以降の審判期日は、審決会で、これを決定する。

(審判期日の変更)

第69条 審決会会長は、当事者又は代理人の請求により、若しくは職権で、審判期日を変更することができる。

(当事者の出頭)

第70条 当事者が、審判期日に出頭できないときは、その理由を証明できる書面を審決会に提出しなければならない。

2 当事者が、連続して30日以上の期間、審判期日に出頭できないことを申出たときは、当事者は、代理人を審判期日に出頭させなければならない。

3 当事者又は代理人が、正当の事由なく審判期日に出頭しないとき又は出頭しないことを申出たときは、当事者又は代理人欠席のまま審決会を行うことができる。

(審判手続の延期)

第71条 審判開始後に、審決会の会長又は審決員に変更が生じたときは、相当の間、審判手続を延期しなければならない。但し、審決会会長が、審決員の中の1人と交代したときは、この限りでない。

(審決会の権限)

第72条 審決会会長は、審判を指揮し、審決会の秩序維持に当る。

2 当事者又は代理人が、審決会会長の指示に従わず、審決会の秩序維持が困難なときは、審決会会長は、その者に退場を命じ、審判を継続することができる。

3 当事者又は代理人が、前項の規定による審決会会長の指示に従わず、審決会の進行を妨げ、又は審決会を侮辱する行状をしたときは、軽戒以下の懲戒処分に付することができる。

4 前項の規定による懲戒処分は、当該審決会の決定によって確定し、不服申立てを行うことはできない。

(人定審問)

第73条 審決会会長は、審決会の冒頭において、当事者に対し、人定審問を行わなければならない。

(提訴書及び答弁書の朗読)

第74条 審決会会長は、前条の人定審問の後、必要に応じて、提訴者に提訴書を朗読させ、引続き相手方に答弁書を朗読させなければならない。但し、答弁書の提出がない場合は、この限りでない。

(質問又は陳述の制限)

第75条 審決会会長は、当事者その他の者のする質問又は陳述が、既に行われたものと内容が重複するとき又は当該事件に関係ない事項に及ぶときは、これを制限することができる。

(証拠等の調査)

第76条 当事者に対する審問が終った後、審決会は、証拠又は鑑定について、調査しなければならない。但し、関係者において、異議のないときは、証拠調を省略することができる。

(証人又は鑑定人に対する質問)

第77条 審決員、当事者及び代理人は、証拠調において、審決会会長の許可を得、証人又は鑑定人に質問することができる。

(証拠証明の機会)

第78条 審決会は、当事者又は代理人に対し、証拠の証明力を争うために必要な機会を与えなければならない。

(陳述及び弁論の機会)

第79条 審決会は、当事者又は代理人に対し、最終に、陳述又は弁論する機会を与えなければならない。

(処分の執行停止)

第80条 提訴によって、処分の執行を停止しない。

2 前項の規定にかかわらず、処分の執行により、回復することのできない損害を避けるため、緊急の必要があると認めるときは、審決会は、提訴者の申立てにより、又は職権で、審判が確定するまでの間、決定をもって処分の執行を停止すべきことを、相手方の宗務機関に命じることができる。但し、執行の停止が宗門の利益に重大な影響があると認めるときは、この限りでない。

3 前項の決定に対して、相手方の宗務機関は、不服申立てをすることができるものとする。

4 前項の不服申立ては、審決会がこれを決定する。

5 審決会は、第2項の決定を、いつでも取消すことができる。

(審判係属中の相手方変更)

第81条 提訴者が、相手方とすべき宗務機関を誤ったときは、審判の係属中に、相手方を変更することができる。但し、提訴者に、故意又は過失があったときは、この限りでない。

2 提訴者が、相手方を変更したときは、前の相手方に対する提訴の取消しがあったものとみなす。

(審判の禁止事項)

第82条 審決会は、審判中に、特別委員会の権限に属する事案があることを発見したときは、その旨を提訴者に告げ、その部分については審判することができない。

(第三者の参加)

第83条 審決会は、審判の係属中に、事件に関係のある第三者が訴えに参加することを許可することができる。

2 審決会は、必要を認めるときは、職権で決定をもって、提訴の結果について利害関係のある宗務機関その他第三者を、訴えに参加させることができる。

(口頭審問の省略)

第84条 審決会は、口頭審問を必要ないと認めるときは、提出期限を指定した書面で、当事者に意見を陳述させ、これを審判することができる。但し、当事者が、口頭審問又は口頭弁論を請求したときは、この限りでない。

(口頭弁論の終結)

第85条 当事者が、正当の事由がなく定められた審判期日に出頭しないときは、他の当事者の口頭弁論だけで、弁論を終結することができる。

2 当事者が、故意又は重大な過失により、時機に遅れた意見の主張は、審決会が決定した弁論の終結をさまたげるものでない。

(事実の肯定)

第86条 当事者が、口頭弁論において、相手方の主張した事実について争わないときは、その事実の真実を肯定したものとする。

(職権による証拠調)

第87条 審決会は、必要があると認めるときは、職権で証拠調をすることができる。

(審判の続行)

第88条 審決会は、定められた審判期日に、当事者の一方又は双方が出頭しないときも、審判を続行することができる。

(職権による審判)

第89条 審決会は、提訴書に記載していない事実又は不明確に記載してある事実であっても、提訴の目的に重大な関係があり、かつ、それを審理することが、宗門の利益となると認めるときは、職権でこれを審判することができる。

第3節 審決

(審決の申渡し)

第90条 当事者又は代理人が、陳述せずに無断で退場したとき又は審決会の秩序維持のために退場を命じられたときは、その陳述を聴取せずに審決することができる。

2 弁論が終った後は、当事者又は代理人が出頭しないでも、審決の申渡しをすることができる。

第91条 審決の申渡しは、審決書原本に基づいて作成した審決書の正本を、当事者に送達して、これを行う。

2 審決書は、審決の後、遅滞なく当事者に送達しなければならない。

3 第30条第3項の規定は、宗務審判の審決書の送達について、準用する。

(審決書)

第92条 宗務審判の審決書原本には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

 当事者の氏名及び住所又は宗務機関の名称、所在及びその代表者の氏名

 主文

 事件の表示及び審決の事由

 不服申立てを行える場合は、その期間

2 前項の審決書原本には、審決会会長及び審決員が記名押印しなければならない。

(審決の確定)

第93条 審決の申渡しに対し、不服申立てがなく、又は不服申立てが棄却若しくは取消されて、不服申立期間が経過したときに、審決は確定する。

(不服申立て)

第94条 審決の申渡しを受けた当事者は、選挙の効力又は当選人の資格に関する訴えを除き、その審決(以下「原審決」という。)に対し、不服申立てを行うことができる。

2 前項の不服申立ての期間は、審決書を送達した日から20日以内とする。

(確定審決の拘束)

第95条 確定審決は、その事件について、関係の宗務機関を拘束する。

(確定審決の公示)

第96条 確定審決は、これを宗報に公示しなければならない。

2 前項の公示には、事件の表示及び審決の事由の記載を省略することができる。

3 確定審決書の謄本は、関係の宗務機関に送達しなければならない。

第4編 特別委員会による審判手続

(特別審決会)

第97条 特別委員会委員長は、宗法第66条第1項及び宗規第37条第1項の規定による事案の申立てがあった場合において、その申立てに事由があり、手続が正当であると認めるときは、これを受理し、遅滞なく特別審決会を組織しなければならない。

(書面審理)

第98条 宗法第66条第1項第1号及び宗規第37条第1項第1号に規定する事案の申立てに対する特別審決会の審理は、書面によることをさまたげない。

(宗務審判の不服申立て)

第99条 第94条の規定により、宗務審判の原審決に対して不服申立てをする者は、審査委員会に対し、次の各号に掲げる事項を記載した不服申立書を提出しなければならない。

 原審決の内容

 審決書を受領した年月日

 原審決申渡しの年月日

 不服申立ての理由

2 審査委員会は、前項に規定する不服申立書を受領したときは、速やかに関係資料とともに、これを特別委員会に回付しなければならない。

(不服申立て受理の通知)

第100条 特別委員会は、前条の規定による不服申立てを受理することに決定したときは、その申立書の謄本を添えて、遅滞なく相手方に通知しなければならない。

2 前項の通知がなかったことは、不服申立ての効力をさまたげるものではない。

3 第1項の規定により不服申立て受理の通知の送達があったときは、その送達のあった日から15日以内に、相手方は、答弁書を特別委員会に提出することができる。

(申立ての棄却)

第101条 特別委員会委員長は、宗務審判の不服申立てに相当の事由がないと認めるときは、特別委員会の決定により、これを棄却することができる。

(申立内容の追加、撤回又は変更)

第102条 宗務審判の不服申立ての内容は、審理の終了まで、追加、撤回又は変更することができる。

2 前項の追加、撤回又は変更は、書面でこれをしなければならない。

(申立ての取消し)

第103条 宗務審判の不服申立ては、審決まで、これを取消すことができる。

2 前項の取消しは、書面でこれをしなければならない。

3 不服申立てを取消した者は、同一の事件について、さらに不服を申立てることができない。

(趣旨の弁明)

第104条 特別審決会会長は、宗務審判の不服申立てをした者に、その趣旨を弁明させなければならない。

2 前項の弁明は、これを書面に代えることができる。

(審決の確定)

第105条 特別審決会の処分又は審決申渡しは、これを受ける者に送達することにより確定する。

(不服申立ての非請求)

第106条 特別審決会の処分又は審決には、不服申立てをすることができない。

(準用規定)

第107条 本編に特別の定がある場合を除き、特別委員会における審判手続のうち、宗法第66条第1項第1号及び第3号宗規第37条第1項第1号及び第3号の規定による事案の手続については、第3編第3章の規定を、宗法第66条第1項第2号及び宗規第37条第1項第2号の規定による事案の手続については、第3編第2章の規定を、それぞれ準用する。

第5編 補則

(達示への委任)

第108条 この宗則の施行について必要な事項は、局長が達示で定める。

1 この宗則は、平成24年4月1日から施行する。

2 審判規程(昭和25年宗則第162号。以下「旧規程」という。)は、廃止する。

3 この宗則施行の際現に旧規程による監正局監事部において調査中の懲戒事案については、この宗則による懲戒委員会が引き継ぎ、これを所掌するものとする。

(平成26.3.21―宗則12号)

1 この宗則は、平成26年4月1日から施行する。

2 前項の規定にかかわらず、監正局長は、この宗則の施行に必要な準備措置を講じることができる。

(平成29.3.24―宗則5号)

この宗則は、平成29年4月1日から施行する。

審査審判規程

平成24年3月13日 宗則第65号

(平成29年4月1日施行)

体系情報
第15編 監正局
沿革情報
平成24年3月13日 宗則第65号
平成26年3月21日 宗則第12号
平成29年3月24日 宗則第5号