仏教語豆事典

縁起(えんぎ)

 球根だけでは花は咲かない

 チューリップの花は、その球根から咲きます。球根が原因(因)で花は結果(果)です。
 しかし、球根だけでは花は咲かず、温度・土質・水分・肥料・日光・人間の細心の手入れなど、さまざまな条件(縁)が球根にはたらいて花は咲くのです。
 このように、すべてのものには、必ずそれを生んだ因と縁とがあり、それを因縁生起いんねんしょうき=縁起というのです。現実には、因と縁と果とが複雑に関係しあい影響しあって、もちつもたれつの状態をつくっています。
 『阿含経あごんきょう』に「これあるゆえにかれあり、これ起こるゆえにかれ起こる、これ無きゆえにかれ無く、これ滅するゆえにかれ滅す」とあります。
 日常、よく「縁起が良い・悪い」という言葉を聞きます。吉凶のきざしという意味なのでしょうが、本来は、他の多くのものの力、恵み、おかげを受けて、私たちは生かされているという、仏教の基本的な教えなのです。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載