仏教語豆事典

和顔愛語(わげんあいご)

 仏頂面はいけませんよ

 和顔愛語は、「和顔」はやわらかな顔、「愛語」はやさしい言葉。つまり、文字通り、笑顔で愛情のこもった言葉で話すことです。

 この言葉は、学校での教訓になったり、額や書幅しょふくにも書かれたりして、おなじみになりました。

 この言葉は『無量寿経むりょうじゅきょう』に出てくる言葉です。

 法蔵菩薩ほうぞうぼさつ阿弥陀仏あみだぶつになるために修行に励んでいるところで、「和顔愛語にして、意を先にして承問じょうもんす」とあります。現代語版では「表情はやわらかく、言葉はやさしく、相手のこころを汲み取ってよく受け入れ」と訳されています。

 親鸞聖人しんらんしょうにんはこの経文きょうもんを、『教行信証きょうぎょうしんしょう』にも『浄土文類聚鈔じょうどもんるいじゅしょう』にも引用しておられます。

 お金や物がなくても誰にでもできるほどこしである 「無財むざい七施しちせ」には、「やさしい言葉で相手に接するほどこし」や、「善意に満ちた和やかな顔と明るい姿で相手に接するほどこし」があります。

 人間関係にはたいへん大切な態度ですが、心に余裕がなければなかなかできるものではありません。現代のような殺伐とした世の中では、なおさらですね。

 しかし、そんな世の中だからこそ、教えにあるように、相手のこころを汲み取ってよく受け入れ、「和顔愛語」を忘れないようにしたいものですね。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載