仏教語豆事典

懺悔(ざんげ)

 「へぇー、懺悔は仏教語ですか。キリスト教の言葉じゃないのですか」と、尋ねられました。

 なるほど、「ザンゲ」は、今ではキリスト教の雰囲気を感じる語ですね。

 しかし、本来は「サンゲ」と読み、仏教語なのです。

 サンスクリット語「クシャマ」を音写すると「懺摩(さんま)」。意訳すると「悔やむ」となります。そこで、これを合成し「懺悔」となりました。くやむこと。人に罪のゆるしを請うこと。自分の犯した罪を仏の前に告白すること。悔い改めることを意味します。

 原始仏教では、半月ごとに布薩(ふさつ)という儀式を行い、戒律の箇条が読み上げられ、罪があるときには自分で申し出て、告白して裁きを受けました。これが懺悔で、このときの作法を懺悔五法といいます。

 右肩をはだ脱ぎ、右膝を地につけ、合掌(がっしょう)し、大比丘(びく)の足を礼し、犯した罪の名を説くのです。

 大乗仏教になると、懺悔は衆僧の前でなく、諸仏の前においてなされるようになりました。

 なお、「サンゲ」が、江戸時代中期以降になって、現在のように「ザンゲ」になりました。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載