仏教語豆事典

くしゃみ()

 かぜの季節です。くしゃみをすると、「おや、かぜですか。お大事に」などといわれそうです。

 くしゃみは「クシャン」とするからだと思っていましたが、おもしろい話があったので紹介しましょう。

 あるとき、お釈迦さまがくしゃみをしました。すると、弟子たちが一斉に「クサンメ」と唱えて、師の健康を願ったということです。何ともほほえましい話が仏典に書かれていました。

 「クサンメ」は、古代インド語で「長寿」という意味です。インドでは、くしゃみをすると命が縮まるといって、「クサンメ」と唱える風習があったといいますから、これは長寿を祈る呪文だったのかもしれませんね。

 このクサンメは「休息万命(くそくまんめい)」「休息万病(くそくまんびょう)」と音写されています。これを早口で何度も言ってごらんなさい。「クサメ」になりませんか。くしゃみはクサメから転訛(てんか)したものだそうです。

 「一ほめられ、二そしられ、三わらわれ、四かぜひく」と、古老から教えられました。

 とにかく、お大事にしてください。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載