仏教語豆事典

沢庵(たくあん)

「お茶漬けサラサラ、たくあんポリポリ」日本人の食生活は多様化してきましたが、やっぱり、この味は忘れられませんね。 たくあんは、たくあん(づけ)ともいいますが、この大根漬を、なぜ、「たくあん」というのかについて、いろいろな説があるようです。 沢庵和尚(おしょう)が漬けはじめたところからという説。(たくわ)え漬の転訛(てんか)したものという説。沢庵和尚の墓の形が大根漬の重石(おもし)に似ていたところからという説。沢庵和尚の墓の形が大根漬の形に似ていたからという説などです。 ここに登場する沢庵和尚は、江戸時代初期の臨済宗(りんざいしゅう)の僧です。 三十五歳で大徳寺の第一座となり、堺の南宗寺の住持。寛永(かんえい)六年(1629)に紫衣(しえ) 事件で幕府と抗争し、出羽(でわ)配流(はいる)。のち(ゆる)されて宮中で経を講じ、徳川家光の帰依(きえ)を受けて、品川に東海寺を開きました。 この高僧の名前が、漬け物の名前になりました。 それでは、このたくあんで、もう 一膳。いただきま〜す。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載