仏教語豆事典

念仏()

現代では、念仏といえば「南無阿弥陀仏(なもあみだどつ)」を称(とな)えることです。 しかし、それにはいろいろな歴史があるのです。 初期の仏教から、念仏は心を集中させて仏を思念する重要な修行法でした。大乗仏教では、念仏三昧(ざんまい)が広く説かれています。 「念は思なり」といいます。 念は心に思うことです。①真如(しんにょ)を念ずる実相(じっそう)念仏。②仏のすぐれた相好(そうごう)を心に思い観る観相(かんそう)念仏。③仏像を観ずる観像(かんぞう)念仏。④仏の名号(みょうごう)を称える称名(しょうみょう)念仏を、四種念仏といいます。 その中で、阿弥陀仏の浄土に往生する浄土信仰が盛んになると、阿弥陀仏の名を聞き、称えることが念仏である、 となりました。 浄土真宗では、南無阿弥陀仏という名号が、人の心に受け止められて信心(しんじん)となり、その信心が口にあらわれて念仏となる、と示されていますから、称名念仏は極善最上の法なのです。 南無阿弥陀仏。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載