仏教語豆事典

皮肉()

遠まわしの、意地の悪い非難や、あてこすり、いやみを、一般には、皮肉といっています。よく皮肉をいう人を皮肉屋といったり、思い通りに行かぬ場合に「運命の皮肉」などという言葉もあります。 仏教では、身体のすべて、全人格、宗祖らの信念・思想・行為などのすべてのことを、「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」といいます。 達磨(だるま)大師が、四人の弟子に「お前はわしの皮を得ている」「肉を得ている」「骨を得ている」「髄を得ている」と、その悟りの深浅を定め、一番深く悟った弟子に法を伝えた話があります。 皮や肉は、骨や髄に比べ、浅い悟り、表面的な形相、枝葉的なものを指しています。 そんなところから、相手の骨髄まで届かないが、表面だけをチクリと刺す非難が、皮肉と呼ばれるようになったのでしょう。 しかし、けっこう骨身にしみるのもありますがね。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載