仏教語豆事典

蒲団(ふとん)

坐禅のときなどに、お尻に敷く敷物があります。直径三十センチぐらいの円形で、その中に蒲(がま)がつめられているものです。蒲の葉で編んだものもあります。これが、蒲の葉の団円、つまり、文字通り、蒲団なのです。別名で「坐蒲(ざぶ)」ともいいました。 この「ふとん」に綿を入れるようになったのは、近世になって綿栽培が盛んになってからといわれています。 現在、みなさんが使用されている「ふとん」は、「布団」と書いて寝具です。「敷きぶとん」とか、「掛けぶとん」とか呼んでいます。 そして、座るときに使うものには、わざわざ「座ぶとん」という名をつけています。しかも、常識的には四角形なのです。仏教の用具だった丸い座ぶとんが、四角形になり、いつの間にか寝具となっていったのですから、この変 化は、まことにおもしろいですね。 そういえば、田山花袋(たやまかたい)に『蒲団』という小説がありました。近年『FUTON』(中島京子著)という小説も出ていますよ。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載