未曾有
「未曾有の事件」といえば「いまだかつて起こったことがない事件」という意味ですね。 未曾有は、サンスクリット語で「アドゥブタ」といいます。 『仏教語大辞典』によると、この語はインドの戯曲論や美学書において、詩における風味・情緒の一つとして「びっくりした」というほどの意味の言葉であったが、漢文に翻訳した者は通俗の語源解釈に従って、「未だ曾(かつ)て有らざる」という意味で訳出したのだそうです。つまり、未曾有は漢訳仏典の造語だったというのです。 『新仏教語散歩』には、未曾有は「殊勝(ことにすぐれた)」とも訳出されるように、すばらしいことを形容し、めでたいことを修飾する言葉で、不吉な、悪しきことには用いないのが、もとの使い方だったといいます。「未曾有の法」は「未だ曾てなかったほどのすばらしい真理」の意味です。 「未曾有の惨事」「未曾有の悪事」が、起こらないことを願います。