仏教語豆事典

楊枝()

楊枝は楊子とも書き、歯を掃除する用具で、つまようじや歯ブラシのことをいいます。 インドの修行僧が持っている道具を、六物(ろくもつ)とか十八物とか呼んでいますが、楊子は、その十八物の一つとなっています。 サンスクリット語では「ダンタ・カーシュタ」といい、「歯をすくもの」の意味です。 柔らかい木の小枝を取り、その枝端をかみ、その汁で歯を磨き口を洗ったので、歯木ともいいました。 この習慣は中国へ伝えられましたが、中国では楊柳(ようりゅう)の枝で作ったので、楊枝の語が生まれた といいます。 日本へは仏教伝来と共に伝えられ普及しました。江戸時代には柳の小枝の片方を打ち砕いて、房(ふさ)楊子とか歯楊子とかといって歯を磨くのに使ったといいますが、 明治以降は、洋風歯ブラシ全盛となり、「つまようじ」だけが面影を残しているようです。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載