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お盆について ~特集記事~

トピックス2023.07.27

 お盆には故郷を離れて暮らす人々も帰郷しお仏壇やお墓で心静かに手を合わせる方も多いでしょう。また、大切な人を亡くし、初めてのお盆を迎えるという方もおられることでしょう。

 「お仏壇のお飾り」「基本的な仏事作法」を中心に、浄土真宗の「お盆」を特集します。門信徒としてお盆の受け取り方を、一緒に考えていきましょう。




お盆の由来と浄土真宗のお盆


お仏壇のお飾りには何が必要?


お盆のお飾り(お供え)


お仏壇の中に置かないもの


浄土真宗の作法(念珠のかけ方・合掌礼拝・消香)


お布施の意味・金封の書き方





お盆の由来と浄土真宗のお盆

■七月十五日と八月十五日



 お盆といえば八月十五日、また一部地域では七月十五日を節目に行われています。まず、このお盆の時期の由来からうかがってみましょう。
 お盆の原点である経典『仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)』には「七月十五日」という日付が示されています。これは仏教教団で古くから行われてきた雨安居の最終日にあたり、『盂蘭盆経』では、この時に修行者の集団に食物等を供養すれば、その善い行いにより、生存している父母から亡くなった先祖までが大きな福を得ることができることが説かれています。もともと旧暦であるこの七月十五日という日付をそのまま新暦に当てはめているのが七月のお盆で、改暦を受けて月遅れにしているのが八月のお盆ということになります。


■お盆といえばもちろん施餓鬼?



 『盂蘭盆経』には目連尊者(もくれんそんじゃ)の母が六道(ろくどう)の中の餓鬼(がき)の世界に堕ちていたことが説かれています。そして現在、浄土真宗以外の多くの宗派では、お盆に施餓鬼会(せがきえ)を勤めています。施餓鬼会は、餓鬼の世界の飢えと渇きに苦しんでいる者たちに食物を施す法要です。『盂蘭盆経』の内容からすれば行って当然だろうと思われるかもしれませんが、実は最初からお盆に施餓鬼会が勤められていたわけではありません。元はそれぞれ別の法会であったのが、江戸時代頃に一緒になったといわれています。かなり最近ですね。
 また、一般的なお盆のイメージはやはり、「先祖の霊が帰ってくる」というものでしょう。ところが『盂蘭盆経』には、亡き人の幸福のために善いことを行うという追善供養のことは説かれていても、「霊が帰ってくる」というような記述はどこにもありません。実はこの「霊が帰ってくる」という考え方は、『盂蘭盆経』や、その他の仏教の教えに由来するものではなく、日本の民俗信仰に由来するものだといわれています。


■お浄土がいっぱいのお盆を



 最初に述べたように『盂蘭盆経』には、亡き人の幸福のために善いことを行う追善供養が説かれています。これが『盂蘭盆経』の主題であり、現在の一般的なお盆でもやはりそれが中心的な目的になっています。しかし、このようなお盆の考えは、浄土真宗の教えとは合いません。
 上に見たように、『盂蘭盆経』以来、多様な要素が重なり合い、混じり合いできあがってきたのが、今日のお盆でした。なにかひとつの「普通のお盆」があるというわけではなかったのです。であるならば、浄土真宗としてお盆を独自に意味付け味わうことも、決して無理矢理ではないはずです。
 故人は実は期間限定ではなく、いつもお浄土から還ってきてくださっています。その方々に誘われ、仏前で手を合わせ、日々の生活に追われてご無沙汰しておりました、期間限定になっていたのはむしろ私のほうでしたねと、懐かしい面影を思い出しつつお念仏申す。あるいは、目連尊者の故事を聞き、餓鬼にも地獄にまでも届いて迷いの闇をまっすぐに破ってくださる、阿弥陀さまのお救いをよろこびつつお念仏申す。
 もとは浄土真宗の教えと合わないような考え方であっても、お浄土を思い、阿弥陀さまの教えを通して受けとめることによって、お浄土の懐かしい方々をしのびつつ阿弥陀さまのお救いを聞きよろこぶ大切なご縁となっていきます。これが、浄土真宗のお盆の要でありましょう。


※『季刊せいてん』123号の内容を、ホームページ用に平易な文章に改編いたしました。原文は『季刊せいてん』123号をお求めください。




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お仏壇のお飾りには何が必要?

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 浄土真宗本願寺派の基本的なお仏壇のお飾り(荘厳)について説明していきます。

 お仏壇は、各家庭でも阿弥陀さまをご安置できるようお寺の本堂をコンパクトにしたもので、阿弥陀さまの清らかなお浄土を表現しています。ですから、お飾り(荘厳)もお寺の本堂に準じて行います。

 ※お飾りはお仏壇の大きさに応じて適宜に※
 家庭によって、お仏壇の大きさは大小さまざまです。お仏壇のお飾りは、大きさに応じて適宜に行いましょう。

◎ご本尊・お脇掛(わきかけ)
・中央
 阿弥陀如来の尊像、または「南無阿弥陀仏」の六字尊号(名号)

・左脇掛(阿弥陀様に向かって右)
 親鸞聖人の御影、または「帰命尽十方無碍光如来」の十字尊号

・右脇掛(阿弥陀様に向かって左)
 蓮如上人の御影、または「南無不可思議光如来」の九字尊号

※ご本尊・お脇掛は、必ず本山本願寺からいただきましょう。
 詳細は本山・参拝教化部/TEL:075(371)5181

◎普段のお飾り

 阿弥陀さまの正面(前卓)には、灯明、お香、仏花をお供えするための三具足を!これがお仏壇のお飾りの基本です。三具足は、左(阿弥陀さまに向かって右)に蠟燭立、中央に香炉、右(阿弥陀さまに向かって左)に花瓶です。灯明、お香、仏花は卓上仏壇や現代仏壇でもお供えしましょう。



・上卓(うわじょく)


 上卓には、四具足(華瓶一対、蠟燭立、火舎)を置き、華瓶に水を入れ、樒(または青木)を立てます。→上卓のない仏壇は、四具足を省略することができます。ご本尊のすぐ前に供飯台を置きましょう。



・香炉(こうろ)


 金香炉〔金属〕と土香炉〔陶磁器〕の2種類あり、手前に土香炉、奥に香炉台を置いてその上に金香炉を置きます。→香炉を2つ置けない場合は、1つでもOKです。




◎お仏壇のお飾りの基本は「灯明」「お香」「仏花」です。


・灯明


 灯明(おひかり)は、私たちの煩悩を破る、仏さまの智慧のはたらきをあらわしているともいわれています。蠟燭には4種類あり、目的によって使い分けます。

①白蠟・・・一般の法要
②朱・・・・報恩講、慶讃法要、年忌法要(七回忌以降)
③金蠟・・・結婚式など
④銀蠟・・・葬儀など
※金は朱蠣、銀蠟は白蠟で代用可。



・お香


 お香は、体臭などの悪臭を除き、心身ともに落ち着かせ、芳しい香りを通して、私たちが清らかなお浄土や阿弥陀さまのおはたらきを受け取るために供えます。
 浄土真宗では、線香を立ててお供えしません。線香は、長時間お香を燃やし続けるために抹香を灰中に蛇行させて埋め一端から燃やしていく代わりとして使用するものですから、同じように寝かせましょう。適当な長さに追ってお供えしてください。



・仏花


 仏花は、阿弥陀さまのお徳を讃え、ご恩に感謝してお供えします。阿弥陀さまにお供えしているのに、花の向きを私たちに向けて供えるのは、美しい花を通して、私たちが清らかなお浄土や阿弥陀さまのおはたらきを受け取るためです。お店に「仏花」として花束が売られており、仏花には決まった種類の花があると思われている方もおられるようですが、そうではありません。季節の花をいけましょう。ただし、バラのようなとげ花、悪臭花、毒花、造花は避けましょう。



・お仏飯


 お仏飯は、朝のおつとめの前に供え、昼までに下げます。



出典:本願寺新報2014(平成26)年8月1日お盆特集号




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お盆のお飾り(お供え)

 浄土真宗では、お盆もほかの法要と同様に、打敷を掛け、お供えは、餅・菓子・果物などをご本尊の手前に左右対にして供えます。「供笥」という台を用いるとよいでしょう。供物でご本尊が隠れないよう注意を!

 お供えとは、阿弥陀さまにお敬いの気持ちを表す意味で行うものです。お盆になると、店頭にさまざまなお盆用品が並びますが、盆棚、精霊棚などのいわゆる"お盆かざり"といわれるような、先祖を迎えおまつりする供物や膳などは浄土真宗では用いません。「亡き人が好きだったから」と、ビールや酒、たばこなどをお供えする方がいますが、お供えにはふさわしくありません。


出典:本願寺新報2014(平成26)年8月1日お盆特集号




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お仏壇の中に置かないもの

◎位牌


 位牌は用いません。浄土真宗では「過去帳」に、故人の法名俗名、命日などを記録します。「過去帳」は仏壇内の適当な場所に置くか、引き出しなどに納めておきます。



◎遺影


 お仏壇の中でなく、脇などに置きましょう。



◎祈祷札・お守り


 「現世祈祷などにたよることなく、御恩報謝の生活を送る」のが浄土真宗の門徒の姿。お念仏喜ぶ生活の中には、祈祷札やお守りは必要ないものです。



 ※他にも不要なものがあります。わからない時は、ご住職に相談しましょう。


出典:本願寺新報2014(平成26)年8月1日お盆特集号




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浄土真宗の作法(念珠のかけ方・合掌礼拝・焼香)

◎念珠の掛け方


 念珠は、両手に通して、親指で軽く押さえ、念珠の房は下に垂らします。指はまっすぐ伸ばし、指と指の間隔を開けないようにしましょう。



◎合掌・礼拝の仕方


 仏さまにお参りする時に最も基本となるのが合掌・礼拝(らいはい)ですね。でも、葬儀などで周りの人を見ると、宗派によってさまざまであることがわかります。自信を持ってできるよう、ここで浄土真宗本願寺派の合掌・礼拝の仕方を覚えましょう。


①背筋を伸ばし、ひじを張らずに両手を胸の前で合わせて、「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏...」とお念仏を称えましょう。

②お念仏を称え終わったら、合掌したままゆっくりと上体を前に傾け、ひと呼吸おいてから静かに元に戻ります。頭だけを下げるのではなく、上体を約45度傾けるのが基本です。




◎焼香の仕方


 焼香の時にお香を押しいただいたり、香炉の中にお香を2回、3回とくべていませんか?


 

①香炉の置いてある机の手前1、2歩手前で一礼(一揖)します。

 

②香炉の直前まで進み、座って、お香を1回だけつまみ、そのまま香炉に入れます(お香は押しいただきません)。

 

③合掌して、「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏...」とお念仏を称え、称え終わったら礼拝します。

 

④立ち上がり、香炉の置いてある机から1、2歩下がって一礼(一揖)します。

 

※立ったまま焼香する時は、②「座る」④「立ち上がる」動作を除けば、同じ動作になります。


出典:本願寺新報2014(平成26)年8月1日お盆特集号




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お布施の意味は?金封の書き方は?

 布施とは、お釈迦さまが真実の教えを説かれたことに対して、教えを受けた人が食物や衣服を差し上げたことが仏教の伝統となりました。浄土真宗では、仏法を喜び、阿弥陀如来への感謝の心で行います。ちなみに、「御布施」の包み(金封)については、厳密な決まりはなく、地域により異なる場合もありますが、ここでは浄土真宗での一般的な使い方を紹介します。

 「御霊前」「回向料」「読経料」「供養料」など、阿弥陀如来へのお供えという趣旨にふさわしくない言葉は使いません。また、お寺の護持のために進納する場合、「懇志」と表記する場合があります。入仏法要、建碑法要、初参式、仏前結婚式、報恩講などおめでたい場合は赤白の水引、葬儀、年忌法要などの場合は黒白あるいは黄白の水引を使いましょう。


出典:本願寺新報2014(平成26)年8月1日お盆特集号




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