総長より年頭のご挨拶を申し上げます
年頭にあたって 池田行信
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
昨年は、年明けとともに「令和6年能登半島地震」が発生し、また台風や豪雨等により全国各地で災害が絶えない一年でありました。被災されましたすべての方々にお見舞い申しあげます。
宗門では、地震発生直後から、「たすけあい運動募金」や復旧支援隊の派遣など、継続的に支援活動を行っております。引き続き、復興の一助となるべく、支援を行ってまいりたく存じますので、皆さま方のご協力のほど、よろしくお願いいたします。
本年は、戦後80年を迎えます。宗門では、大戦後、本願寺において戦没者追悼法要を修行するとともに、昭和56年からは、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑において千鳥ヶ淵全戦没者追悼法要を勤修するなど、過去の痛ましい歴史を振り返り、平和への願いを新たにする歩みを続けてまいりました。国際社会では、未だ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から発生した衝突、また、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事対立、さらにはイランとの交戦も加わるなど、各地で争いが続き、多くの尊いいのちが犠牲になっております。いのちそのものの尊厳が危ぶまれ、失われておりますこと心が痛みます。今こそ、仏説無量寿経に説かれております「兵戈無用」、親鸞聖人の「世のなか安穏なれ 仏法ひろまれ」のお心をひろく伝え、さらなる平和に向けた歩みを続けていくことが、念仏者に課せられた使命と認識いたしております。「あらゆる人々に阿弥陀如来の智慧と慈悲を伝え、もって自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」という宗門の基本理念のもと、平和に向けた各種取り組みを進めていく中で、その使命を果たしてまいりたいと存じます。
現在、宗門内は、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関して様々な異論が挙がり、混乱が生じています。一刻も早く事態の収拾を図る必要があります。そのためには、話し合いにより問題を解決することが小職の立場としては重要であると認識いたしております。
得度誓約には「和合を旨とし、宗門の秩序をみださないこと」と規定されています。「和合を旨とし」、この言葉を深く胸に刻み、ご理解とご協力を得られるよう、新しい一年の宗務を推進してまいりたいと思います。
皆さまには、何卒、ご理解ご協力を賜りますようお願い申しあげ、年頭にあたってのご挨拶といたします。
(浄土真宗本願寺派総長)