地域での活動レポート

奈良教区葛上組是教寺 門徒が描く天井画

近畿2020/03/28
  • 寺院活動

◆ご門徒が普通褒賞を受賞

 是教寺(玉井利尚 住職代務)のある高取町は、奈良県の中部、飛鳥の南に位置し、町内に多数の古墳があることでも知られます。このたび、是教寺のご門徒である馬場正博(ばば まさひろ)さんは、寺院の護持発展に努めた方を対象にした「普通褒賞」を宗門より受賞しました。

 馬場さんがお寺のために尽力したことの一つに、「天井画」制作があります。馬場さんは、同じ組内にある長楽寺(高松泰史住職)に組の行事でお参りした際、その素晴らしい天井画に心を惹かれました。しかも天井中に張りめぐらされた絵は、すべてご門徒が描いたものだったのです。絵を描くことを趣味に持つ馬場さんは、自分たちのお寺でもぜひやってみたいと思い、長楽寺の高松住職から様々なアドバイスを受けました。

◆5種類の絵を120枚の板に

 馬場さんはさっそく天井画制作に取り組もうと平成22年に発案しましたが、是教寺の屋根や周辺の修繕のため、計画を中断せざるを得なくなりました。それでも計画を練り続け、平成26年3月の総会で再び詳細を発案。その時はご門徒の理解を得ることが難しかったのですが、「絶対にできる」と皆を説得し、実行委員会を立ち上げました。

 天井画は、天井に配置した際、美しく見えるために同じものを何枚も作成する必要があります。そのため、馬場さんは、浄土を表す「蓮」、浄土真宗のご紋である「藤」、そして赤・青・黄色の色彩を代表する「牡丹」「菖蒲」「菊」を自らデザインし、その5種類の絵をトレーシングペーパーで写して120枚の板を準備しました。また太い線、細い線の使いわけがしやすいように書道用の筆を用意し、絵の具はアクリル絵の具を原色のまま使用することで、誰が塗っても同じ色彩になるよう工夫しました。

◆のべ180人のご門徒の手で完成

 天井画制作には、玉井住職代務夫妻も協力し、午前10時から12時の午前の部、午後1時から3時の午後の部に分かれて、10日間かけて延べ180人のご門徒が順番にお寺に通い、120枚の絵を描き上げました。さらに馬場さんは、配置にもこだわり、自ら考案した美しく見える並びを業者に伝え、毎日お寺に通い天井に配置される様子を見守りました。

 発案から4年後の平成26年8月に完成した天井画は、本堂での布教の際には、必ず話題になるほど素晴らしい出来栄えで、ご門徒に愛着を持たれています。馬場さんは、「最初はなかなか皆さんの理解を得られませんでしたが、『自分のお寺』という意識を持ってもらいたいという思いから進めました。実際にスタートしたら、皆さん楽しんでやってくれ、みんなが協力してくれることを実感できてうれしかったです」と喜びを語ります。

◆「自分たちのお寺」という意識を

 馬場さんは天井画の制作以外に、門徒総代に就任以降、さまざまな取り組みを行ってきました。収支計算や報告書作成にパソコンを用いることで読みやすく、分かりやすくしたり、会計や事業の報告、門徒の意見を聞く場として「総会」を立ち上げたり、お寺への帰属意識向上のため報恩講の際に「ミニミニ文化祭」として作品展示の場を設けたり......。それらはすべて、ご門徒が「自分たちのお寺」の意識をもって親しんでもらいたいという一心でした。

 この度、馬場さんを普通褒賞に推薦した玉井住職代務は、「馬場さんはいろいろな寺院を視察し、是教寺に取り入れられることを考えてくれます。自ら率先して計画的にお寺を盛り上げようとしてくれる人がいることがありがたい」と信頼を寄せます。

 これからも是教寺は、自分たちの手で制作した素晴らしい天井画とともに、ご門徒が「自分たちのお寺」という意識をしっかりと持ち、寺院の護持発展に努めていきます。



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玉井利尚 住職代務(左)と普通褒賞受賞者 馬場正博さん(右)

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是教寺の本堂

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ご門徒手作りの天井画

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馬場さんが考案した天井画配置の資料

◆宗門の褒賞について

 宗門総合振興計画の基本方針「Ⅲ.宗門の基盤づくり」の事業内容として、「現行の褒賞制度を見直し、褒める組織づくりをめざして、『褒める・支援する・奨励する』制度を確立する」ことが掲げられています。

 宗門では、寺院や社会への貢献又は他の模範となる行為をされた個人及び団体に対し、褒賞が授与されています。褒賞対象者を積極的に推薦いただきたく、あらためて褒賞の概要をご案内いたします。

 詳しくは浄土真宗本願寺派 寺院活動支援部公開サイト「お寺の情報箱」をご覧ください。