お寺で乗合タクシーを運行<鹿児島教区 南島組 西光寺>
九州・沖縄2018/05/12

(高齢化対策、寺院活性化)
地方の過疎地は路線バスの縮小、廃止が著しく生活に自動車が不可欠です。一方、高齢化により免許返納奨励が推進され、さらには、身体的不自由等により、お寺にお参りすることが困難となってきています。住職による送迎や、門徒同士の乗り合いも考えられますが、「万が一」が発生した時ことを考えると・・・。プロの運転手にお願いするのが最善でしょうが、経費はどうするのか、効果はあるのか、悩みどころです。
鹿児島県種子島のお寺の話です。参拝できないご門徒が増えていることから、タクシーを利用した無料送迎(デマンド型乗合タクシーの利用)をしようと、住職が総代会へ提案しました。ところが、総代さんからは、「お寺への法要参拝は、自らの強い意志で、自らの足で運ぶべきで、貴重な財源を支出すべきではない」。加えて「多くの利用者が殺到し混乱を招く」と反対されてしまいました。
やがて、年々状況が変化する中で総代の皆さんの意識も変化し、平成27年の「永代経法要」より無料乗合タクシーの運行を開始することになりました。開始当初は「乗り合い」の理解がなく、また、近くの方は遠慮されるなど予約の申し込みがなかったそうです。そこで、お寺から連絡や声掛けを行い、現在では参拝者数が約15名も増えました。
年間予算は5万円を計上していましたが、4~5台の利用で決算額は約2万円と思っていたより安価になりました。タクシー会社と利用者との調整など事務面での煩雑さは増えたものの、ご門徒に喜ばれていることがやりがいに繋がっているそうです。
住職は、今後は報恩講法要にも利用を広げていきたいと考えています。同時に、せっかくご参拝いただくのだから、「ご法話」に力点を置かなければ、と自らにも課題を掲げています。