地域での活動レポート

お寺でカフェ <山陰教区 江津組 蓮敬寺>

中国・四国2018/05/12
  • 寺おこし事業

(人とつながることによって、お寺の可能性はひろがる)

 お寺に戻ってきた時に、総代さんから「門徒さんだけでなく、他の誰かのためになるようなお寺づくりもせなあかんぞ」と言われました。当時は親鸞聖人750回大遠忌法要の時期で周りのお寺はイベントで盛り上がっていました。後日、イベント後に何かつながりがあったかと尋ねたところ、「つながりができたわけでもなく、お参りが増えたわけでもない」との返事でした。そこで、一過性のイベントではない持続可能な継続性のある取り組み、1対1の関係づくりをしようと思いました。

 まず始めたのは、本堂横の倉庫部分をあけてサロンにしたことです。ところが、2年たってもほとんど利用者がありません。仏婦の方に訊ねたところ、「誰もいないのに行きにくい、誰かいても用事がない」、そして友達からは「ダサい」といわれる始末。そこで中途半端なことはせず、「コーヒー1杯」を理由に来てもらえるような空間を作ろうと決心しました。

 カフェを作ることについて、門徒さんからは賛否両論あったため、自費で作ること、失敗したらちゃんと元に戻すことを条件に総代の皆さまに承諾していただきました。資金もほとんど無かったため、デザインは妻と相談しながら決め、施工は大工をやっている友達に協力してもらい日曜大工で少しずつ作りあげていきました。完成まで4年の間、肯定派からは「いつするのか?」、否定派からは「まだそんなことを言っているのか、いいかげんあきらめろ」。それでもカフェをやりたいと言い続け何とか完成することができました。

 カフェを始めて1年がたとうとしておりますが、お寺に来ていただく方が格段に増え、法座に来ていただく方もわずかですが増えてきております。
若いお母さん方はコーヒーを飲む間、子どもを本堂の畳でハイハイさせたりしてゆっくり過ごされ、地域の20代〜30代の方々からは、これまで想像もしなかった「お寺を活用した企画」を持ち込んでくれるようになりました。

 これまでに、「産後ケアのバランスボール」「セミナー」「ワークショップ」「坊主バー」、それに教区主催の「婚活イベント」や、「NPO法人の会議」「まちづくり会議」の会場として利用されるようになりました。また、子どもや高齢者の孤食の改善や、子どもが自由でいれるような居場所を地域に作りたいと、子どもは無料、大人は500円で食事ができる「お茶のま食堂」という団体を地域の人たちと立ち上げて活動を始めたところ、小さいながら世代間交流も行われるようになりました。「お寺がなんでも中心、お寺ありき」ではなく、内外で人とつながり、誰かがやりたいことを応援したり、協力したり、助け合ったりすることによって、お寺の可能性はひろがると感じています。

 なお、近隣の寺院では、地域の人とのつながりで海外アーティストのライブを行ったり、また、子ども寺子屋と称して子どもを1週間受け入れるお寺の活動もあります。

(蓮敬寺 住職 冨金原真慈)

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カフェのホームページ

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坊主バー

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お茶のま食堂