地域での活動レポート

山陰教区鹿足組淨徳寺 寺院護持の功績を称えて

中国・四国2018/09/09
  • 寺院活動

◆門徒総代長が普通褒賞を受賞

 かつて笹ヶ谷鉱山(ささがだにこうざん)があった島根県(石見国)津和野町に、山陰教区 鹿足組 淨徳寺(大野憲悠住職)はあります。淨徳寺は『三瓶古文書を読もう会刊』によると「石見銀山(いわみぎんざん)百か寺」の一つに数えられ、1555(弘治元)年、石見銀山久利村の西善坊の次男である良誓が開基したと記されています。

 2018(平成30)年8月、淨徳寺住職の推薦を受け、門徒総代長を務める有福 壽美(ありふく いさみ)さんが寺院護持に尽力した門徒に授与される普通褒賞を受賞しました。

 有福さんが淨徳寺の門徒となったのは今から17年程前のことです。以前は同組、安楽寺の門徒でしたが、平成13年2月28日に安楽寺が寺院解散したことを機に、淨徳寺の門徒となりました。

 安楽寺があった地域は、銅鉱の生産により最盛期には人口約2,000人の鉱山町として繁栄し、当時安楽寺は、百数十戸の門徒戸数を有していました。しかし繁栄は長続きせず、昭和24年に一旦閉山後、個人や企業が鉱業権を取得しましたが、銅価格の低迷と鉱害問題から昭和46年5月に完全閉山しました。安楽寺はそのあおりを受け、門徒の大半が離郷したことにより門徒数が激減、寺院運営が困難となり寺院解散を余儀なくされました。

◆総代長として護持発展・伝道教化に努める

 安楽寺でも門徒総代としてお寺を支えてきた有福さんですが、寺院解散後は引き続き淨徳寺の門徒総代として淨徳寺の護持発展に努めてきました。

 平成18年には総代長に就任、研修会等にも率先して参加し、お寺の伝道教化活動にも熱心に取り組んでいます。

 また地元では、津和野町議会議長をはじめ、木部公民館長、豊稼自治会長、民生委員等も務め地域活性のためにも尽力しています。

◆今後も護持発展のために

 平成20年、老朽化によって本堂、庫裡が大きく傾いた際には、有福さんは門徒の先頭に立ち、改修工事資金を集め竣工に導いた立役者でもあります。

 修復を終え、有福さんは「この度の本堂、庫裡の修復は門徒の皆さんの協力があってできたことであり、褒賞をいただいて恐縮しています。今後も門徒の皆で淨徳寺を支え護っていきたい」と話します。また住職は「過疎高齢化、そして収入が減少する中、本堂修復を門徒の皆さんが有福総代長を中心に完遂してくださったことを心より感謝しています。『今、私にできることは何か』を自分に問いながら、今日の一歩をみんなで歩みたい」と喜びを語ってくれました。

 これからも淨徳寺は、住職と門徒が一体となって、改築のなった本堂、庫裡を中心にお念仏のみ教えを伝え続けます。

※褒賞制度とは

 宗門では、宗門総合振興計画の基本方針「Ⅲ.宗門の基盤づくり」重点項目「6.組織の役割の確認」、事業内容「㉒現行の褒賞制度を見直し、褒める組織づくりをめざして、『褒める・支援する・奨励する』制度を確立する」の取り組みの一環として褒賞制度を奨励しており、寺院護持への多大なる業績があるとともに、宗門の興隆に寄与され、他の模範と思われる門徒に対し住職が推薦し授与するものであります。