山陰教区大田西組西楽寺 百人会(ひゃくにんかい)法座

◆あなたが座れば百一人
西楽寺では、平成8年から「あなたが座れば百一人」と銘打った『百人会法座』を開催しています。喚鐘が鳴り終わるまでに、本堂に百人が座っているというお聴聞の会で、「他でもない、あなたにこの百人会法座にお参りいただき、ぜひとも"百一人目"となってください」とご案内して、平成30年には第44回目(通算参詣者数:のべ5,302人)を迎えることができました。
2月と7月の年2回、1日2座の開催です。1日限りのご縁ではありますが、ふだん、なかなかお話を聞くことのできないご講師をお招きするので、ご講師のご都合を優先して日程を決めています。
◆はじめて仏法を聞く人のための法座
『百人会法座』は、初めて仏法を聞く人のための気軽なご法座であり、せっかくのご縁なので、同じ聞くなら百人の法友と共にお聴聞しようとスタートしました。
「法要」ではなく「法話会」ですから、内陣の荘厳(おかざり)も平常時のまま。短い偈文、仏前へのお供などにも気を張らず、お参りも平服でとご案内しているので、お寺もご門徒も法縁に遇うハードルが下がったようです。
おかげさまで、毎回、初めてのご縁を結んでくださる方もあります。
◆百人という数値目標を共有して
それまで「忙しいだろうから...」と遠慮していた方に対しても、「あと〇人で百人になるんですよ。お参りください」とお誘いする勇気を住職・坊守が持つことができました。
門信徒の皆さんには「あの百人が集まる会ですね」とおなじみになり、お参りくださる方からは「私が参らなければ百人割れする......」と励みになるなど、お寺とご門徒が努力目標を共有することによって「私の法座」となっています。
しかし最近は過疎化・高齢化の波が加速度をつけて押し寄せて来て、百人のお参りをいただくことが難しい状況になってきました。そこで平日の昼座にお参りできない方のために夜座を開始、「昼座・夜座を合わせて百人」という目標設定にしました。
夜座は 「参拝者平均年令 マイナス30才作戦」と称して、今までお声掛けできなかった若い方をお誘いしてみました。すると、ここでも百人という数値効果のためか、予想を大きく上回るお参りくださいました。
◆たとえ百人を割ったとしても
この「百人会」がお寺へのご縁付けとはなったものの、それが他の法座や法要の参拝につながっているという効果はまだまだ目に見えてはいません。しかし即効性を求めるのではなく、この百人会をご法縁への種まきと位置付けています。
今後、抗うことのできない過疎・高齢化により参拝者の合計が減り、たとえそれが70人、80人になっても、この法座が「百人会」であることに変わりはありません。お一人お一人がこの法座に座ってくだされば、それでもう百人です。
これからもお寺と門信徒が同じ目標を持ちながら、「私一人のための百人会法座」として続けていきたいと思います。
※この「富くじ」は、参詣人数を把握するために参詣の栞に記した通し番号を利用した抽選(くじ)の当選者に記念品を渡すというもので、西楽寺のご法座に聴聞されていた浅原才市さんの下記のエピソードをご縁として、法座の中に取り入れています。
「服部範嶺和上が、西楽寺のご法座で『往生浄土の身になるということは、富くじにあたるようなものだ。いまからくじにあたったものを読みあげる』と『末代無智の在家止住の男女たらんともがらは...』と御文章をここまで読みあげられると、突然、才市さんが我を忘れて『あたった』と立ち上がって喜んだということです」(『山陰 妙好人のことば』発行 山陰教区教務所)