伝道本部 統合企画室 生は不思議、死は必然「西本願寺 医師の会」

◆「西本願寺 医師の会」
当宗派では、2015(平成27)年2月に「医療現場に仏教的視点を」をスローガンとして「西本願寺 医師の会」を発足しました。この会は主に、本願寺派の僧侶・寺族・門徒の医師、あるいは浄土真宗のみ教えに基づいた本会の趣旨に賛同いただいた医師の方々が会員となり構成されています。
医療現場において「生老病死」という苦悩の中にある患者と向き合う中で、浄土真宗のみ教えに集い、共に学び、課題を共有しあう場にしたいという願いのもと活動をすすめていきます。
これまでに2回の会合が開かれ、第1回目の会合で国宝・本願寺御影堂において執り行われた発足式では、ご門主よりお言葉をいただきました。その中でご門主は「すべての人に必ず訪れる死を意識した生き方をしている方は少ないのではないでしょうか。そして人口の流動化や核家族化が、身近な方の死を遠いものにしているのではないでしょうか」とお述べになりました。生は不思議であり、死は必然です。老病死は敗北ではなく、生老病死を超えた仏教的視点で患者と向き合っていけるよう、新しい医療文化の創造をめざしています。
◆第2回目の会合
去る2015(平成27)年10月には、東京・築地本願寺において50人の会員が参加し「第2回医師の会」が開かれました。
まず、高宮有介さん(昭和大学医学部医学教育推進室講師)を座長に迎え、みやざきホスピタル(茨城県)副院長の宮﨑幸枝さん、あそかビハーラ病院(京都府)院長の大嶋健三郎さん、同じくあそかビハーラ病院常駐僧侶である山本成樹さんからそれぞれ活動報告が行われました。宮﨑さんは「お浄土があってよかったね―医療者は坊主でもあれ―」と題し、医療者自身が仏法を聞き、自分のこととして生死の問題を解決していくことが先決と語りました。大嶋さんは「あそかビハーラ病院の取り組み」として病院の日常と、「そこは死ぬ場所ではなく生き抜く場所、最後の1日までを生きる場所」とその特徴を述べ、また山本さんは「死をタブー視しない」と題して、家族と僧侶のかかわりについての発表を行いました。
全体会では「宗教への偏見に対する対応は」「宗教行事は行うのか」「看取りを繰り返す職員の心のケアは」「霊体験相談への対応は」などの質問が出され、「大学の医学教育では行えない仏教の啓発や教育に、医師の会が積極的に関わっていいのでは」という提言も出されました。
続いて、「医師の会」発起人の一人である佐藤第2病院院長の田畑正久さんが座長となり、質疑応答や会の運営方針について活発に意見交換が交わされました。
「医師の会」が歩みをすすめる足元は、仏法を聴聞する場として、仏教の死生観を学び、医師同士のネットワークづくりを主な活動としますが、ビハーラ活動の推進や医療現場で活躍できる僧侶の養成にも協力し、仏教と医療の共働を積極的にすすめます。宗門は今後も「医師の会」が充実・発展していくようにさまざまな施策を取ってまいります。現在では142名(H27.11.30現在)の医師の方々が在籍しています。
第2回会合の様子