福井教区若狭組徳成寺 蕎麦打ちから広がるご縁

◆笑顔に魅せられて始めた蕎麦打ち
福井県の南西部に位置する若狭町。その中心部にあるお寺、徳成寺では住職の鳥羽さんがふるまうお蕎麦が話題を呼んでいます。
住職が蕎麦打ちを始めるきっかけとなったのは、今から30年前、地元の方との交流の中で友人が蕎麦を打っている光景を目にした時でした。そこに集まる人たちの楽しそうな笑顔に魅せられて「お寺でも蕎麦打ちをしよう!」と友人の指導のもと蕎麦打ちを始めたそうです。
浄土真宗では、ご門徒さんが集まり阿弥陀様のことや親鸞聖人のこと、浄土真宗のおみのりについて話し合う「お講」を営んでいるお寺があります。
蕎麦打ちを習得した住職は、毎月16日を中心に開催される徳成寺のお講や、法要の際に蕎麦をふるまうようになり、ご門徒さんや地域の人の間で徐々に話題となっていきました。
◆どの世代も楽しめる蕎麦打ち
徳成寺では、子ども会の時にもみんなで蕎麦を打ちます。子どもたちは粘土遊びをするかのように楽しそうに体験し、大人たちも一緒になって打っています。
住職の蕎麦は評判になり、お寺だけではなくさまざまな場所にも呼ばれるようになりました。デイサービスや障がい者支援、リハビリの一環としても蕎麦打ちは多くのご縁をつないでくれます。地元の高校で蕎麦打ちをするようになってからは25年も経ちました。
蕎麦粉は、越前で蕎麦の栽培をしている知人から買い付け、水は若狭の天然水を使用します。住職の蕎麦打ちの活動がお寺の境内から地域に広がっていきます。「食は、生きる上でなくてはならないもの。蕎麦打ちは、食を通して人と人の繋がりを築けるとてもいい方法です。またお寺にお参りしたい、そう思ってくれる人を育てることが大切」と話す住職は、次世代の人がみんなでお寺に参ろうと言ってくれるよう、蕎麦打ちを通して今後もご縁づくりを進めていきたいと考えています。