地域での活動レポート

岐阜教区西濃南組覚成寺「たまにはお寺で心身脱落」

中部2021/06/02
  • 地域活動

「たまにはお寺で心身脱落」ってなに?

 通称「たま寺」と呼ばれるこの活動は、地域の子どもたちが覚成寺に集まり、月に一度みんなでご飯を食べたり、本堂でWi-Fiをつなぎゲームをしたり、宿題をしたりしています。

 「脱落する」と聞くとネガティブなイメージが有りますが、物事にとらわれないというポジティブな意味があります。

 たまにはお寺で「自分と人とを比べたりせず、ありのままの自分を受け入れて、心も身体もリラックスして過ごしてほしい」という願いをこめて活動しています。子ども100えん、大人300えんでカレーが何杯でもお代わりできます。

「たま寺」を始めたきっかけは?

 子ども達に「どこで普段遊んでいるか?」というアンケートを取ると全国的にショッピングモールなどの商業施設と回答する子どもが年々増えているそうです。そんな中で覚成寺の近隣には商業施設も無く、子ども達が自転車で町内を走り回ったり、神社やお寺の境内で遊んだり、農業用水路でザリガニを捕まえて遊んだりしているのどかな農村地区です。

 しかし近年の異常気象で特に夏休み中などは子どもの居場所は変化してしまいました。エアコンのきいた自宅から出ない子どもも増えました。一方では居場所を失い、覚成寺の本堂内に設置したウォーターサーバー(自動冷水器)目当てで本堂に来て、そのまま涼んでいく子どもが出てきました。

 同じころ、中学生が集まって勉強したいが居場所がないという事を知りました。そこでエアコンがきく門徒会館を開放すると、夏休みには毎日、朝から5~8人の子ども達が宿題を持ち寄り、勉強を教えあったり、ふざけたり、ポットのお湯を使いカップ麺を作ってお昼に食べたりしはじめました。

 子どもが仲間を誘い、気が付けば見知らぬ子どもの参加も増えていました。夏休みだけじゃなく子どもの居場所を作りたい、そう思った夏でした。

 幼い頃から覚成寺のお経教室に通ってくれていた子どもたちも、高学年になると塾通いや部活動が忙しくなり、お寺から足が遠のいてしまいさみしく思っていたので、本堂や門徒会館から子どもたちの声が聞こえる日々をもう一度取り戻したいと真剣に考え始めました。

 そして2016年5月、第一回お試し開催へとこぎつけました。

「こんなはずでは?スタート当時は大騒ぎ」

 第一回お試し開催を企画した段階では「大家族ごっこ」という会の名前にしていました。すると社会人になっている息子が
「家族って言葉は嫌だな。せっかく家からも学校からも離れた場所(お寺)に来るのだから'お兄ちゃんらしくとかお母さんらしくとか'気にせずに過ごしてほしい。」と言うので、身体も心もありのままで過ごせる場所を目指すことになりました。「たまにはお寺で心身脱落」という名前はそこで生まれました。

 しかし、実際に開催してみると、見守りスタッフ5人、フードスタッフ4人しかいないのに、22人の子ども達が参加してくれました。そして、楽しくなりすぎてしまい、本堂の中でお手玉を雪合戦のように投げ、ふざけて走り回って香炉を蹴とばすなど大騒ぎになってしまいました。何度かスタッフが大きな声で場を統率しなければならず理想とはほど遠いスタートでした。

 どうすれば事故やケガにならない安全な開催ができるのか?落ち着きのない子こそ目当てのはずが、スタッフの中でも「もっと厳しくしかったほうがいい。悪さをしたら参加させないよと言ったらどうか?」などの意見があったことは事実です。

 目配りをし続けるしかない。

 君が大好きだと言い続けるしかない。
簡単な解決策も正解もないと思い知りました。根気よく一緒に過ごす時間だけが穏やかな時間への近道でした。

活動内容・コロナ前

 コロナ禍になる前は、食事を終え、本堂のあとかたづけをした後に、みんなで輪になって座り、その回の良かったことをホメる時間を持ちます。小さな子も中学生も大人スタッフにホメられると本当に嬉しそうに笑顔を見せてくれます。最後に全員とハイタッチをして解散していました。(写真①、②、③)

コロナ禍での活動

 2020年春、緊急事態宣言中は3密を避けながら給食の代わりとなるお弁当を配るために、覚成寺の正門前でランチ弁当を120個配布し、受け取ったら裏門から出て家に持ち帰って食べてもらう「ドライブスルー・ランチ弁当配布」を続けました。(写真④)

 本当に車でドライブスルーする若い家族連れ、自転車に乗ってくる子や、家族や兄弟と散歩しながら参加してくれた近所の子どもたち、みんながルールを守って参加してくれたことがうれしかったです。
 また、企業から外食チェーン店に卸すはずだった冷凍のお肉などの食材の提供を申し出てくださり、お米や野菜を門信徒の方々、近所の方々が寄進してくださり、赤字にならず子どもたちにお腹いっぱい美味しいものをふるまうことが出来ました。プロの飲食店の調理協力を得られたのも良いご縁でした。(写真⑤)

 2021年1月には「防災について考える日・たま寺」として熱湯を注ぐと15分で五目御飯になるアルファー米を配りました。
 2月からは寒い境内をキャンプ風に飾り付けて屋外でソーシャルディスタンスに気を付けてカレーを食べました。持ち帰り希望の方々も含めると約30~40人の利用がありました。(写真⑥)

地元企業・個人団体とコラボレーション

 「たま寺」では、参加する子どもも大人も名簿に記入することで、レクリエーション保険に加入します。スタッフもボランティア保険に加入しています。その保険料は地元の企業が「たま寺協賛金」として支払ってくれています。

 また、月に一度の「たま寺」以外にも、地元の複数の企業とコラボレーションした企画「たま寺課外授業」「花まつり」「お盆法要・夏まつり」など、門信徒の方だけでなく地域の誰でも参加していい活動も行っています。建築会社による「木工工作教室」、造園業者による「ガーデニング入門」、塗装業者による「ウンテイをカラフルにペンキで塗る体験会」などです。

新たな課題・SDGs活動

 2020年12月からは「たまにはSDGs・たま寺」をスタートしました。

 国連が掲げている「持続可能な開発目標(SDGs)」の最初の取り組みとして、17ある目標項目から「12 つくる責任 つかう責任」に決めました。「まだ使えるものをゴミにしない取り組みリサイクル・リユース活動」をSDGsと言う横文字でカッコよく表現しました。

 ある家族が「中学にあがる子どもの制服をだれか譲ってくれませんか?」と声を上げてくれたことに始まります。確かに、新学期に向けて、学用品や学校指定の制服や靴などを買う金額が家計の負担になっています。以前は、近所の方や親類から制服も「おさがり」としていただけていました。核家族化がすすみ、近隣付き合いを避ける方も増える中で、ひとり親家庭やコロナ禍で収入が減ってしまった家族にとっても、新学期の負担金額問題はますます深刻になっていました。先輩家族から制服や体操服、算盤や習字道具などを譲り受け、クリーニングし繕って、譲渡日に必要とする方へ無料でプレゼントする仕組みを作っています。

 学校の授業でSDGsを学んでいる子どもたちはとても熱心に取り込んでくれます。学用品だけでなく、近隣の方の手作り雑貨やアクセサリー、本屋さんからいただいた廃棄になるはずだった雑誌の付録なども本堂内に並べて、みんなで一緒に欲しいものを選びました。家族や友人へのプレゼントとして物を選ぶ子供たちの目はとても生き生きしていました。
 この活動は年に2回ほどのペースで行えるように、寄付された品々をきれいにしてストックしていこうと思っています。(写真⑦)。

「今後の活動、目指すものは」

「たまにはSDGs・たま寺」の活動として新たに考えている企画があります。

 ①「5 ジェンダー平等を実現しよう」★生理用品の無料配布とお話会。

 小学高学年になると学校の授業で「生理」についての授業があります。しかし学校で説明を受ける前に生理を経験する子も増えてきました。急に出血して死ぬのではないかと不安になり、病気なのかと悩み教師にも親にも言えなかったなどの経験をもつ人も多くいます。

 そもそも生理はネガティブなものなのでしょうか?女性に産まれたら約40年間、毎月の半分を体調不調に過ごさなければならない。また出産という痛みと忍耐を余儀なくされながら病気ではないという理由で保険も利かないという現実を考えると確かにネガティブな現実です。でも、命の問題です。せめてスタートは喜びに満ちて祝福され、安心して生理の日々を過ごせるといいなと思い企画しました。

 「生理セット(紙ナプキン、ショーツなど)」を素敵なポーチに入れて、子どもたちに配布する。持続可能な活動にするために、覚成寺の女子トイレの中には常に複数の紙ナプキンをストックし、必要な女児に無料で配布し続ける。

 これは生理について男子にも知ってほしいので、お話会には男子も参加可能です。

 ②「10 人や国の不平等をなくそう」★障害ってなんだろう?LGBTQってなに?など当事者を交えお話を聞いてみる会。

 どんな人も平等に暮らせる社会と言うのは簡単ですが、大人の社会でも平等は実現できていません。子どものころから偏見や差別のない正見で世の中を見てほしいと願っています。