地域での活動レポート

熊本教区益南組皓月寺(こうげつじ) みんなでご本山へ<本願寺参拝講>

九州・沖縄2021/07/16
  • 寺院活動

本願寺参拝講 集合写真
普通褒賞受賞者 佐藤 等さん(下段右から3番目)

◆ご門徒が普通褒賞を受賞

 皓月寺(粟田国彦 住職)のある甲佐町は、熊本県のほぼ中央、熊本市の南方約20kmに位置し、南北に清流「緑川」が貫流する自然豊かな町です。このたび、皓月寺のご門徒である佐藤 等(さとう ひとし)さんは、寺院の護持発展に努めた方を対象にした「普通褒賞」を宗門より受賞しました。
 佐藤さんは、皓月寺の門徒総代及び責任役員として永年にわたり、寺院の護持発展に尽力されました。その功績の一つに、「本願寺参拝講」開講があります。佐藤さんが本願寺参拝講を開講しようとしたきっかけは、住職から本願寺人吉別院では江戸時代から「仏飯講」があり、本山参拝はもちろん、ご門徒と本山を繋げる大切な役割を担っていることを聞き、皓月寺でも取り組めば、ご門徒が本山を大切にする思いを強くすると同時に、寺院の活性化に繋がると考えたからです。そこで、佐藤さんは、平成18年11月の第6回皓月寺念仏奉仕団に参加の際に「遠隔地のため、3年に一度の本山参拝ですが、その間に毎月積み立てをして、講開催日にお正信偈を味わい、住職の話を聴聞し、境内の清掃奉仕をしましょう」「安定的に念仏奉仕団参加者を確保していきましょう」と呼び掛けて皓月寺に「本願寺参拝講」を開講いたしました。

◆本願寺参拝講の活動

 本願寺参拝講は、毎月第4水曜日に午後1時30分(夏季は午前9時)より開催されます。その活動内容は、正信偈のお勤め、住職の法話、清掃活動や茶話会等、多岐にわたります。本願寺参拝講開催の際に、ご門徒自ら納めた懇志を積み立て、3年に一度の本山参拝への費用とします。

◆本願寺参拝講を開講して ~何度でも参拝できる本山へ~

 本願寺参拝講を開講することにより、ご門徒の意識が変わりました。皓月寺のある集落では、昔から一生に一度は本願寺に参拝して、法名を頂戴することが門徒の務めであるという思いが強く、そのため、二回以上参拝するものではないと思われていました。しかし、本願寺参拝講が開講されてから、本山は何度でもお参りさせていただけるという意識に変わり、参拝を楽しみにするご門徒が増えました。特に、皓月寺門信徒会の法被(はっぴ)を制作したことで、その法被を着て念仏奉仕団での奉仕作業に参加することがご門徒の中で大好評となりました。

 本願寺参拝講を開講した佐藤さんは「本山参拝を終えた参加者が、また本山に参拝したいと言って、参拝講に進んで参加してくれた時は、開講して良かったと思いました。特に、住職が負傷した際、引率責任者として前門さまと並んで記念写真に臨んだ平成25年11月の念仏奉仕団は生涯において忘れることが出来ません」と話しました。

◆今後の本願寺参拝講

 佐藤さんは、今後の本願寺参拝講について、「多い時は参加者が20人を超えていましたが、最近は10人未満、最も少ない時には3人という時もあったので、参加者を増やしていくのが今後の課題です。特に新しい50代、60代の参加者を増やしていきたい」と語り、佐藤さん自らの今後の目標として、「講参加者の最高齢が91歳で、自宅からお寺までの3㎞の道のりを自転車で参られる方がいるので、自らも積極的に聴聞し、100歳まで講に毎月欠かさず参加して本山参拝を果たしたい」と熱く語ります。

 この度、佐藤さんを普通褒賞に推薦した粟田国彦住職は、「佐藤さんは、JA(農協)職員として、自らも農業に勤しみながら、全国の農家の方々と知己を得て、色々なアイディアと創意工夫を重ねて地元の農業の発展に貢献されてこられました。働き者で仲間を大切にして地域の輪の中心でありました。しかし、一人息子さんが高校卒業の日に、式への出席途中に交通事故でお亡くなりになられ、突然失意のどん底へ突き落されました。職場も定年を前にして辞められて鬱々と暮らす中、ある日お聴聞を通じてお念仏に出遇われ、お仏壇にお参りしてお念仏を称えることに喜びを感じ、皓月寺の法座や組の活動に積極的に参加されるようになりました。門徒総代、責任役員は退かれましたが、現在でも皓月寺の門信徒のお世話や寺院の護持発展に尽力頂いております」と感謝を語ります。

 皓月寺のある集落は、農林業の衰退による都市部への人口流出が拡大し、厳しい現状であります。粟田住職は、「大変厳しい状況ですが、地域の産業である農林業を守り、自然環境を守り、お念仏のみ教えを守ってくれるご門徒がいる限り、ともに次世代へとご法義を繋げる方策を模索していきます。佐藤さんには、今後ともその第一線でご活躍頂きたい」と話しました。

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本願寺参拝講 集合写真

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本願寺参拝講 活動写真

◆宗門の褒賞について

 宗門総合振興計画の基本方針「Ⅲ.宗門の基盤づくり」の事業内容として、「現行の褒賞制度を見直し、褒める組織づくりをめざして、『褒める・支援する・奨励する』制度を確立する」ことが掲げられています。

 宗門では、寺院や社会への貢献又は他の模範となる行為をされた個人及び団体に対し、褒賞が授与されています。褒賞対象者を積極的に推薦いただきたく、あらためて褒賞の概要をご案内いたします。

 詳しくは浄土真宗本願寺派 寺院活動支援部公開サイト「お寺の情報箱」をご覧ください。