地域での活動レポート

佐賀教区川副組妙恩寺「てらこやあんのんだれでも食堂」

九州・沖縄2021/08/20
  • 笑顔募金支援先

◆子どもとつながるためには「行動が先」

 「てらこやあんのんだれでも食堂」(代表=今川房子・妙恩寺坊守)は、本堂を会場に2018年6月からスタートしました。毎月第4土曜(12月は第3土曜)に開いています。午後4時に始まり、多い日には20人近くの子どもが集まり、食事をして、7時過ぎまで過ごします。しかし、コロナ禍の影響で、2020年12月からは活動を縮小。持ち帰りの弁当を渡すだけとなりましたが、「子どもたちのために」の思いで活動を継続しています。

 食堂を始めるきっかけは、地元中学で10年以上読み聞かせボランティアを続ける今川さんが、その仲間で、町の児童館に勤務する伊東恵子さんから「ほんの一部だが、食事が『キュウリ1本』と話した子どももいる」と聞いたことがきっかけです。佐賀県川副町は田畑が広がり、有明海と筑後川の恵みを受けたのり養殖が盛んな地域。今川さんは「のどかな町に貧困をはじめ、家族の問題は見えていなかった。見えないから放っておくのではなく、活動を始めれば〝行ってみようかな〟と、そうした子どもたちとつながることができる。行動が先」と、食堂の発足を思い立ちました。

 伊東さん、そしてボランティア仲間の田中夏美さん、德永きみ代さん、協力を申し出た北村禮子さんが主なスタッフとなり、スタートさせました。利用を呼びかけるパンフレットを作成し、幼稚園や小・中学校などに配布するほか、同寺の掲示板で広報。また、児童館や地域の社会福祉協議会で、保護者の了承を得たうえで子どもたちに食堂のことを伝えていきました。

 コロナ以前は、集まった子どもたちが本堂で合掌礼拝をした後、教員退職者のサポートを受けながら学校の宿題などを行い、勉強後は自由に過ごします。5時30分頃が食事の時間。「食事ができました」のスタッフの声が響き、一緒に「食事のことば」を唱和し、食事が始まります。7時過ぎに、仏教童話などの絵本の読み聞かせで締めくくります。

 最初は、母子の参加が目立ちましたが、「家族一緒にどうぞ」と声かけを続け、祖父母を含めた、家族ぐるみでの参加も増え、子育てに悩む親同士の交流の場にもなってきました。

 地域の現状も見えてきました。漁業や農業を生業とする家が多いが、近年は核家族化が進み、子どもが孤立していることがわかりました。父親が実家(農業・漁業)に通い、母親はパート務めなどで留守をする。特に農繁期やのり養殖の繁忙期は、子どもの食事の準備も難しいほどといいます。

◆「お寺での経験が、大人になって仏教と親しむ機縁となれば」

 2020年12月から、手作り料理を弁当にして手渡すだけとなりましたが、それでも毎回、40人分ほどを準備します。1時半過ぎからスタッフが集まり始まります。北村さんが「料理が好きだから、協力できるのがうれしい」と話すと、德永さんは「料理は嫌い(笑)。でも、ここでの会話が楽しい。楽しくないと続かない」と答えます。

 取材日(2021年2月27日)の献立は、肉巻きの揚げ物、ポテトサラダ、ほうれん草のごま和え、油揚げ豆腐、特製の野菜煮込みなど。子どもたちの健康を気遣う今川さんのこだわりは、野菜の煮物をベースにし、全体的に薄味にすることです。

 2020年11月、「子どもたちの笑顔のために募金」から助成金を受けました。今川さんは「本当にうれしかった。領収書に〝大変助かります。ありがとうございます〟と書かせてもらった」と語ります。

 弁当を受け取りにきた子どもたち一人一人に、スタッフが「おまちどおさま」とパックを手渡すと、「ありがとう」と元気な声が返ってきます。田中さんが「先月来なかったね。寂しかったよ」と声をかけると、うれしそうにハイタッチして喜びを表現する子もいます。

 今川さんは「早く元の形に戻したい。お寺で食べたり遊んだり、手を合わせて食事の言葉をとなえた体験などが、大人になって仏教と親しむ機縁となれば」と話します。

参加費は高校生まで無料、大人は200円。

 

 

※『本願寺新報』(2021年7月1日号)に同内容を掲載しています。