「日本酒を通してお寺とのご縁づくりに」<滋賀教区彦根組明性寺>
オリジナルの日本酒「大寶海」
滋賀教区彦根組明性寺(益田龍勝住職)では、同寺仏教壮年会が地元の酒蔵・岡村本家(豊郷町)と連携し、オリジナル銘柄の日本酒「大寶海」を製造し、販売しています。
この日本酒は、同寺の仏教壮年会会長である小川正信さんが中心となって、同市小野町で作られた米を用いて製造しています。
「大寶海」は、益田住職が『正信偈』の『帰入功德大寶海』から命名し、自筆した文字をラベルに用い、仏教壮年会の記念品などに活用しており、売り上げの一部は壮年会の活動費に充てられています。
コロナのなかでの仏教壮年会活動として
小川さんは定年退職を機に50代後半から本格的に農業を始め、趣味の酒蔵巡りを通して岡村本家の岡村博之社長と親しくなりました。その縁で小野町の米を使った日本酒造りの話が持ち上がり、2007(平成19)年には町ゆかりの歌人・小野小町にちなんだ日本酒「小野庄こまち」が生まれました。
小川さんは2020(令和2)年4月に同寺仏教壮年会会長に就任しましたが、新型コロナウイルスの影響で活動は軒並み休止となりました。
そのようななか、「これまで、総会や集まりの後はお酒を酌み交わして親睦を深めてきた。人が集まることさえできない今、せめてお寺のことや浄土真宗に思いを馳せるきっかけになれば」と酒造りの経験を活かし、仏教壮年会の活動としてオリジナルの日本酒製造を提案しました。小川さんの熱意に仏教壮年会会員や益田住職も賛同し、明性寺オリジナルの酒造りが始まりました。
「お酒を仏さまとのご縁づくりに、というアイデアに感銘を受けた。小野町の米は鈴鹿山系から流れる水で育ち、『大寶海』もあっさりと飲みやすく、どんな料理にも合う味に仕上がった」と、同酒蔵杜氏の園田睦雄さんは話し、益田住職は、「親鸞聖人はご自身の迷いの深さも、仏さまのお慈悲の深さも『海』にたとえられた。今は集まって飲むことはできないが、それぞれにこのお酒を味わいながら、みんなが仏さまを通してつながり合っていることを感じてもらいたい」と話しました。
2020(令和2)年には仏教壮年会の記念品として会員へ配り、2021(令和3)年には明性寺の報恩講にもお供えされました。
地域活性化・ご縁づくりに
明性寺仏教壮年会の活動は、昨今の厳しい社会情勢のなかにあっても、オリジナルのお酒を通して有縁の人にお寺や浄土真宗とのご縁をつくってもらうというものであり、さらに、地元の米を活かし、地域の活性化につながる取り組みであるといえます。
なお、2021(令和3)年の本願寺新報(7月1日号)に記事が掲載されたことにより、全国のお寺や門信徒の方から問い合わせがあり、住職の継職法要やお寺の活動の記念品等にも活用されています。
こうした声が生産者や仏教壮年会会員の励みになっています。
発案者の小川さんは、「お酒がお寺とのご縁づくりのきっかけになることもあると思う。ぜひ全国の皆さんにも味わっていただきたい」と話しました。
◆日本酒「大寶海」は720ml瓶(1,037円)、他2サイズが販売されており、2021(令和3)年12月中旬には新酒も出来上がりました。問い合わせは、明性寺(TEL 0749-22-3706)まで。◆
益田住職(左)、小川正信さん(中央)、岡村本家杜氏の園田さん(右)
仏教壮年会の会員の皆さま
報恩講法要時のお供え
日本酒「大寶海」