地域での活動レポート

「御同朋の社会をめざす運動」山陰教区委員会 「フードバンク」

中国・四国2022/01/24
  • Dāna for World Peace

◆常例法座や研修会時に食品募る

 「御同朋の社会をめざす運動」(実践運動)山陰教区委員会(委員長=佐々木了慎教務所長)は貧困の克服に向けて2021年度から、食品を集めて教区内各地の社会福祉協議会などへ届ける「フードバンク」事業を開始しました。新型コロナの流行で思うように活動できない現状ですが、少しずつ支援の輪が広がっています。

 社会福祉協議会などへ届ける食品は、未開封で常温保存が可能なものです。教務所がある山陰教堂(松江市)で毎月行われる常例法座「燈映会(とうえいかい)」をはじめ、会議や研修会などで教堂に集まる時に持ち寄ってもらうよう呼びかけています。

 2021年4月に初めて案内チラシを配布すると、5月の常例法座などで白米やインスタント食品、缶詰、菓子など多くの食品が寄せられました。食品は本堂にお供えした後、佐々木委員長が松江市社会福祉協議会へ届けます。

 教務所以外で研修会や大会を行う場合は、食品を会場に持ってきてもらい、終了後にスタッフが仕分けして会場となった地域の社会福祉協議会へ届けるという仕組みを作りました。

 新型コロナの流行で研修会や大会などは人数制限を設けての開催となりましたが、どの案内状にもフードバンク事業について一文を添えていることから、少しずつ支援の輪が広がってきているとのことです。これまで16回届けられています。

 また山陰教区は鳥取県と島根県で組織され広範囲に及ぶため、教務所までの運搬が困難な場所では各組や複数寺院合同で取り組み、地元の社会福祉協議会などに届ける動きもあるとのことです。

◆「貧困の克服に向けた取り組みと言えば、本願寺派」と認知してもらえるよう

 山陰教区は2018年度から、宗派と連動して実践目標を「貧困の克服に向けて」と定め、各組や教化団体の研修会などで貧困問題の実態や重点プロジェクトの理念について学びを深めてきました。

 その学びの中から、「具体的に何をすればよいのか」「取り組むにはどうすればよいのか」という声が上がるようになり、佐々木委員長は「まずは教区の拠点である教務所が主体性を持って、教区の門信徒、寺院が参加しやすい仕組みを作り、より多くの人が参画できる実践の場を提供しよう」と、教区内で子ども食堂やおてらおやつクラブに取り組む寺院や団体に意見も聞き、2020年度の教区実践運動総会で「フードバンク」事業を提案。同委員会の3部会のうち同朋社会部会(三谷卓良部長)が中心となって取り組むことになりました。

 しかし、2020年度は新型コロナの流行で周知が難しかったため、準備期間として鳥取県庁や島根県8市の社会福祉協議会へ出向き、フードバンク事業などの実情や情報収集に努めました。

 三谷部長は「社会福祉協議会で話を聞き、新型コロナでますます食べるものにも困っている家庭が増えているという実態を知った。一過性の取り組みで終わらないよう、多くの人の協力を得ながら長く続けていきたい」。

 佐々木委員長は「各組に配置される重点プロジェクトリーダーとも連携し、情報交換をしていきたい。貧困の克服に向けた取り組みと言えば、浄土真宗本願寺派が積極的に行っていると社会的に認知してもらえるよう、教区の皆さんと一緒に取り組んでいきたい」意気込みます。

※『本願寺新報』(2022年1月20日号)に同内容を掲載しています。