地域での活動レポート

本願寺尾崎別院 お斎を地域の人に「おてら食堂」開催

関東・甲信越2024/01/10
  • 教区活動

◆一度途絶えたお斎を「おてら食堂」として再開~参加費に代えて「子どもたちの笑顔のために募金」を募る~


 かまどで煮炊きした昔ながらの「お斎(とき)」を地域の人に味わってもらいたいと、大阪府阪南市の本願寺尾崎別院(山﨑昌彦輪番)は2023年11月3日、本堂で初めて「おてら食堂」を開きました。仏婦有志で作るお斎班が庫裏の膳所(台所)で作ったお斎を、地元の高齢者や親子連れなど約100人が堪能し、参加費に代えて宗派の「子どもたちの笑顔のために募金」を募りました。
 仏婦の手づくりお斎は、永代経法要(5月)と報恩講法要(11月)で長年振る舞われてきた伝統の味です。宝永2(1705)年建立の本堂と同時代に作られたとみられる膳所。そのなごりの土間には大小8基の炉を備えた煉瓦造りの「へっついさん(かまど)」があり、薪火で炊いた豆ごはんや根菜がたっぷり入ったのっぺ汁など温かい料理を法要の参拝者に振る舞ってきました。
 しかし近年、仏婦会員の高齢化に伴い、次第に毎回200食分のお斎を準備することが困難となり、終止符を打つことが検討されました。「先輩方から受け継いだ伝統を残したい」と2018年に会員を中心にした有志12人がお斎班を組織して一旦は存続しましたが、新型コロナの影響により、2019年の報恩講法要を最後に途絶えてしまいました。
 そのお斎を「再現してほしい」と呼びかけたのは、2022年1月に赴任した山﨑輪番です。「お参り先やご門徒との立ち話で『おいしい』と評判で、懐かしむ声とともに再開を望む声も多く聞いた。このままでは立派なかまどが朽ちてしまい、別院の素晴らしい伝統が廃れてしまうと思ったし、何より私自身が食べてみたかった」と話します。
 2023年の年明けに元仏婦会長でお斎班班長の冨岡雅子さんに相談し、別院総代や世話人で作る役員会とも協議をし、半年かけて「おてら食堂」の準備を進めました。献立は、お斎をベースにした豆ごはんやのっぺ汁のほか、人気の白和えやレモンの風味が効いたさつまいも煮などの9品。味付けから野菜の切り方まで調理全般を指揮したのは冨岡さんです。40代半ばで仏婦に加わり、お斎の味を受け継いできました。お斎班の仲間は「ウチのお斎は冨岡さんの味」と信頼を寄せています。


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◆伝統を守りつつ、新たなご縁づくりができれば

 多くの人がお斎を堪能する様子を見た冨岡さんは「ご輪番から『またお斎を』と呼びかけられたときは、以前のようにできるか不安だった。作業を始めたら昔のようなワイワイとした雰囲気で楽しく、初めてお寺に来られた方が喜んでくださったのも嬉しかった。これまで通りにするのは難しいかもしれないが、私たちの『味』は次の世代になんとか伝えたい」と話します。
 山﨑輪番は「自治体や市の子ども食堂の会議にも呼び掛けた結果、初めて別院に参拝したという参加者が4割近くもおられた。これからもお寺の伝統を守りつつ、新たなご縁づくりにつながる取り組みができれば」と今後への想いを語っています。
 なお、参加費に代えて募った「子どもたちの笑顔のために募金」85,798円が宗派に届けられました。


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『本願寺新報』(2023年12月20日号)に同内容の記事を掲載しております。