地域での活動レポート

新潟教区与板組浄秀寺 一夜限りお寺で夜遊び@スナックくも

関東・甲信越2024/11/14
  • 寺院活動

◆一夜限りの「スナック」に親子連れら300人

 「子育て世代の親子や地域の人にちょっと息抜きできるひとときを過ごしてもらいたい」と、新潟県長岡市の浄秀寺は2024年10月13日夜、「一夜限りお寺で夜遊び@スナックくも」を開きました。境内にはカレーや焼き鳥、クラフトビールなどのキッチンカーが出て、約300人が夜のお寺でくつろぎました。

 「ママ!ワッフル食べてもいい?」「パパ!風船で遊ぼう」。宵の境内に子どもたちの声がはずみます。本堂ではバルーンアートやハンドマッサージ、カラーセラピー、〝お寺の暗い廊下をただ進むだけ〟というシンプルな「きもだめし」もあり、ゆったり飲んだり食べたりしながら、思い思いに過ごす老若男女の笑顔が広がりました。

◆夜遊び感覚で息抜きに

 〝お寺で夜遊び〟を企画したのは、浄秀寺寺族の雲林 彩さんと、地元で人気スイーツ・バブルワッフルの移動店舗を営む熊野良美さんです。一昨年(2022年)秋に浄秀寺が開いたマルシェに熊野さんが出店した縁で懇意になりました。

 「私も小学生の娘たちを持つ子育て世代。たまには夕飯を作らずにおいしいものが食べたい、子連れでも気軽に食べに行ける場所が身近にあればと、以前から思っていた」という彩さん。「さらにここは駅から車で30分もかかる郊外。徒歩圏内にほとんどお店もないので、お寺かご近所さんの息抜きになる場所になれないかとの思いを抱えていた」。その思いに熊野さんが「お寺で夜に楽しいことができたらいいね!みんなで夜遊びしちゃう?」と応えました。

 2人の企画を聞いた彩さんの夫で衆徒の重正さんがサポートし、玄関をミラーボールで照らしたり、内陣をライトアップするなど会場設営を手伝ったほか、「夜のイベントとわかりやすい方がいいよね」と〝スナックくも〟と遊び心いっぱいのネーミングを提案しました。また、当日は幅広い層に喜んでもらいたいと、重正さんが新潟教区少年連盟の研修会で学んだ〝特技〟のバルーンアートを披露し、彩さんがハンドマッサージコーナーを担当し、カラーセラピーも友人の鈴木孝子さんに頼んで、手作りのもてなしで来場者を迎えました。

◆子どもたちを中心に、普段お寺と縁がない人も来場

 この日多く集まったのは、彩さん夫婦の娘たちが通う学校の児童を中心とした、近隣の子どもたちです。それに親も加わり、近くの門徒や、前日に別のイベントで彩さんに誘われたという人など普段はお寺に縁のない人も足を運びました。

 近所に住む門徒の大矢将太さんは「子どもにイベントのことを聞いて家族6人で来た。『人が集まるのか』と素人考えで思ったが、そんな心配は全く覆された。普段だったら家で風呂に入ったり、ご飯を食べたりという時間。こうして家族で夜に出かけるというのもたまにはいいなと思った」。彩さんのハンドマッサージを受けた長澤和美さんは「すごく癒されて気持ちよかった。子育てのいろんな悩みも聞いてもらいながらだったので、日頃の疲れやストレスがすっと軽くなった。親子で一緒に遊びに来られて、いろんな体験ができる所はなかなかない。子どもたちもすごく喜んで、子ども同士誘い合って10人くらいで来た」と話しました。また、長岡市の会社員、長澤成泰さんは「手次寺は別の宗派で、そのお寺にしか縁がなかったが、ここは内陣がきれいなランプで飾られていたり、音楽がかかっていたり、また違った雰囲気。近頃よくある『子ども食堂』のような活動でいいと思った」と話していました。

◆「親しみやすい田舎のお寺として」

 企画した熊野さんは「いつものお寺とはまた違う雰囲気の仕上がりになり、大満足」と笑顔です。彩さんは「『近くで子どもを連れて気軽に遊びに行けるイベントがあってよかった』『おいしいご飯を食べてあとは帰って寝るだけなんて最高』といった声をたくさんいただいた。親しみやすい田舎のお寺として、大人も子どもも気取らず遊びに来られる空間作りをこれからも続けていきたい」と話しています。

002529_2.jpg

※※本願寺新報[2024年11月10日号]に同内容の記事を掲載しております。