地域での活動レポート

「西本願寺みんなの笑顔食堂」から 「テンプル食堂きょうと・西本願寺みんなの笑顔食堂」へ

近畿2025/07/25
  • 宗派活動

◆浄土真宗本願寺派の取り組み

 宗門(浄土真宗本願寺派)では、「あらゆる人々に阿弥陀如来の智慧と慈悲を伝え、もって自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」という理念のもと、「御同朋の社会をめざす運動」(実践運動)を推進しています。この運動は、み教えを宗門内外に広く伝え、同朋教団として非戦・平和、差別・人権問題に取り組みながら多様な活動を広く実践していくもので、この推進の中、年限を区切って計画的かつ強力に取り組むものを「重点プロジェクト」として位置付けています。
 浄土真宗本願寺派として、戦後長く、非戦・平和の取り組みを進めてきましたが、具体的な平和貢献策として暴力・貧困・差別・不平等など戦争が起きる原因がない状態としての平和をめざす観点に立ち、2018年から宗門統一の重点プロジェクトの実践目標「<貧困の克服に向けて~Dāna for World Peace~>-子どもたちを育むために-」を掲げ、宗門全体で平和実現のために国内外の貧困の克服に取り組んでいます。
 貧困問題に関して、なぜ子どもに特化した取り組みを行っているのかというと、子どもの貧困は社会的に弱い立場にある子ども自身ではどうすることもできない貧困であり、そしてそうした貧困はやがて次世代へと連鎖していく傾向があるからです。さらにSGDsでは「誰一人取り残さない」の理念のもと、国内外の様々な組織・団体が連携しつつ貧困問題に取り組んでおり、宗門としても子どもたちに寄り添うことの重要性を認識しています。
 これらの現状を踏まえ、世界を視野に入れ長期的展望に立ち、お釈迦さま以来、仏教が大切にしてきた「布施」の精神をもとに、できることから実践し、生存に関わる貧困・人権を侵害する見えにくい貧困の克服に対し、「子どもたちの笑顔のために募金」(2018年開設)による支援、子ども食堂や学習支援といった子どもたちの居場所づくり、フードドライブやフードパントリーといった物資の支援をはじめ、多種多様な取り組みが宗門内で行われています。


◆重点プロジェクトとしての取り組みの変遷について

 伝道本部(宗務所)においては、宗門重点プロジェクトの取り組みの一環として2018年12月に「西本願寺みんなの笑顔食堂」を開設し、2020年2月まで、西本願寺の聞法会館において毎月定員100人規模の「子ども食堂」を開催してきました。
 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、食堂形式での開催は休止せざるを得ない状況となりましたが、2020年5月から8月にかけ、聞法会館地下1階の「がんこ西本願寺別邸」と連携し、子どもたちをはじめ、休校やアルバイトがなくなるなどして生活が一変した学生を対象に、弁当を安価に販売する取り組みも行いました。
 2021年11月からは、新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底し、宗門校である龍谷大学の学生や同じく平安高校の生徒が"先生"となり、子どもたちに学習の場を提供して、無償で弁当を届ける〝学習支援「笑顔塾」〟に形を変えて取り組みました。
 2023年5月には、親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要の協賛行事として、「一般社団法人えんまん」が主体となり、宗派と共催で「テンプル食堂きょうと・西本願寺みんなの笑顔食堂」を西本願寺で開催し、カレーライスの提供、フードパントリー、レクリエーション等を実施しました。
 現在は、この協賛行事の経験や「一般社団法人えんまん」のノウハウを得て、宗門全体の目標である貧困の克服に向けた取り組みとして、名称を「西本願寺みんなの笑顔食堂」から「テンプル食堂きょうと・西本願寺みんなの笑顔食堂」にあらため、「一般社団法人えんまん」との共催のもと、地域の多くの方々の協力をいただきながら、2023年8月より定期的に開催しています。


◆「テンプル食堂きょうと・西本願寺みんなの笑顔食堂」について

 「テンプル食堂きょうと・西本願寺みんなの笑顔食堂」は、基本的に2カ月に1回の頻度で、聞法会館を会場として日曜日の午前中に開催しており、子どもたちの居場所づくりの一環としての学習支援(弁当配布)、すべての世代を対象としたフードパントリーを行っています。
 一日の流れは、午前9時半に開場し、宿題など子どもたちが自由に勉強する居場所を提供し、龍谷大学の学生、中央仏教学院の学生、平安高校の生徒などのボランティアスタッフが学習支援を行います。勉強後はボランティアスタッフが中心となり11時半頃まで参加者みんなでレクリエーションを行います。その後「京都南ライオンズクラブ」から提供された弁当の贈呈式を行い、正午には子どもたちを見送ります。また、11時ごろからフードパントリーの受け付けを開始し、事前に申し込みを受けた方々に物資の提供を行います。  当日の運営に際しては、龍谷大学の学生、中央仏教学院の学生、平安高校の生徒などのボランティアスタッフが中心になり、宗務所の職員と一緒に会場の設営からフードパントリー物資の袋詰め、受け付け、学習支援(勉強の補助・レクリエーション)、後片付けなどすべてを行います。レクリエーションでは、これまで、大学生が考えてきたゲームや高校生による腕輪念珠作り体験など、毎回工夫が凝らされており、子どもたちより好評を得ています。
 フードパントリーにかかる物資については、宗派をはじめ、企業・団体、宗務員等からも多くの協力を得て支援を行っています。
 「テンプル食堂きょうと・西本願寺みんなの笑顔食堂」は、宗派公式WEBサイト、西本願寺X、近隣の児童館・小学校・下京区役所・社会福祉協議会・民生委員等の方々にチラシ配布を行い、申し込みは、オンライン上の専用フォームで受け付けています。


◆企業とのコラボ企画

 2025年2月開催のレクリエーションでは、ダイドードリンコ株式会社よりDyDoペーパークラフトの提供を受け、学習支援参加者の子どもたちがペーパークラフトを作製しました。細かい作業も多く、苦労しながら作りあげていましたが、一人では難しい作業もお兄さん、お姉さんらの助けもあって、完成まで辿りつきました。できあがったペーパークラフトに各々好きな絵を描き、みんなで大満足で一緒に遊びました。
 ダイドードリンコ株式会社の担当者からは、「京都府がめざす「子育て環境日本一・京都の実現」に向けた取り組みの「子どもの"ええ顔"広げるプロジェクト」の一環としても実施させていただきましたが、本当にええ笑顔をたくさん見ることができました」とのよろこびの言葉が語られました。
 今後も、貧困の克服に向けた取り組みをさらに推進するとともに、地域の貢献に資するため、皆さまのご理解とご協力・ご支援をお願いいたします。



お問い合わせは、宗務所の統合企画室(TEL075-371-5181)まで。

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