○浄土真宗本願寺派宗法
昭和21年9月11日
発布
昭和22年4月1日施行
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 本山(第3条)
第3章 門主(第4条―第14条)
第4章 寺院(第15条―第19条)
第5章 僧侶、寺族、門徒及び信徒(第20条―第28条)
第6章 事業(第29条・第30条)
第7章 宗務
第1節 総局
第1款 総局及び地方・海外組織(第31条―第40条)
第2款 企画諮問会議(第41条)
第2節 常務委員会(第42条―第48条)
第3節 宗会(第49条―第55条)
第4節 勧学寮(第56条―第59条)
第5節 監正局(第60条―第69条)
第6節 職務執行の独立性(第70条)
第8章 財務
第1節 会計及び経費(第71条―第75条)
第2節 予算及び決算(第76条―第86条)
第3節 財産管理(第87条―第90条)
第9章 宗門投票(第91条)
第10章 賞罰(第92条・第93条)
第11章 最高法規(第94条)
第12章 補則(第95条―第98条)
附則
第1章 総則
(名称)
第1条 この宗門は、浄土真宗本願寺派という。
(目的)
第2条 この宗門は、親鸞聖人を宗祖と仰ぎ、門主を中心として、宗制を遵守する個人並びに本山その他寺院及び団体を包括し、浄土真宗の教義をひろめ、法要儀式を行い、僧侶、寺族、門徒、信徒その他の者を教化育成し、自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献することを目的とする。
第2章 本山
(本山)
第3条 この宗門の本山は、本願寺であり、一宗弘教の根本道場である。宗門に包括されるすべての個人及び団体は、これを永世護持しなければならない。
第3章 門主
(門主の地位)
第4条 門主は、法灯を伝承して、この宗門を統一し、宗務を統理する。
(門主の就任)
第5条 門主は、本願寺住職が就任する。
(前門)
第6条 門主を退任した者を前門という。
(新門の就任)
第7条 新門は、本願寺嗣法が就任する。
2 新門は、門主を補佐する。
(宗意安心の裁断)
第8条 門主は、宗意安心の正否を裁断する。
2 門主は、前項に規定する裁断を行う場合には、勧学寮に諮問する。
(宗務の執行)
第9条 門主は、宗務機関の申達によって宗務を行う。
2 前項の宗務については、申達した宗務機関が、その責任を負う。
(職務)
第10条 門主は、総局の申達によって、次の各号に掲げる事項を行う。
二 宗則の発布
三 宗令の発布
四 法要及び儀式の執行
五 親教
六 学階勧学の授与
七 一般寺院及び非法人寺院の住職並びに宗門の諸規則による宗務員等の任命
八 特別褒賞の授与
九 染筆の授与
十 赦免の発令
十一 前各号のほか、宗門の諸規則で門主の権限に属した事項
(消息)
第11条 門主は、総局の申達によって、教義の弘通のため、又は特定の事項について意思を宣述するため、消息を発布する。
2 前項の消息の発布は、あらかじめ勧学寮の同意を経なければならない。
(宗門投票実施の命令)
第12条 門主は、監正局長の申達によって、宗門投票実施の命令を発する。
(門主代務)
第13条 門主が遷化その他の事由によって欠けた場合において、速やかに門主となるべき本願寺住職の法灯伝承を行うことができないとき、又は未成年者であるとき、若しくは相当の期間その職務を行うことができないときは、門主代務を置くものとし、門主代務は、本願寺住職代務をもって充てる。
2 門主代務は、門主の職務を行う。
(裏方の就任)
第14条 裏方は、本願寺坊守が就任する。
(前裏方)
第14条の2 裏方を退任した者を前裏方という。
第4章 寺院
(寺院の定義)
第15条 寺院とは、第2条の目的を遵奉し、礼拝の施設を備え、住職及び門徒総代を置き、門徒の帰依を受け、この宗門と被包括関係を設定して、宗務所備付の寺院台帳に登録されたものをいう。
2 前項の寺院のうち、宗教法人でないものは、これを非法人寺院とする。
(寺院の区分)
第16条 寺院は、本山、直轄寺院、直属寺院、一般寺院及び非法人寺院とする。
2 本山以外の寺院で、門主が住職となるものを「直轄寺院」及び「直属寺院」といい、その他のものを「一般寺院」及び「非法人寺院」という。
3 直轄寺院は、特に必要な地域に設立するものとする。この場合において、門主は、前門があるときには、直轄寺院の住職に前門を任命することができる。
(住職の任務)
第17条 住職は、寺務を主宰し、教義の宣布、法要儀式の執行及び門徒の教化育成に努め、所属する僧侶及び寺族の教導に努めなければならない。
(門徒総代の任務)
第18条 門徒総代は、住職及び代表役員をたすけて寺院の護持発展に努めなければならない。
(開教区寺院)
第19条 第16条の規定にかかわらず、海外に開教区寺院を設けることができる。
第5章 僧侶、寺族、門徒及び信徒
2 僧侶は、仏祖に奉仕して、自行化他に専念し、この宗門及び本山、所属の寺院又は職務に従事する寺院の護持発展に努めなければならない。
(得度式)
第21条 得度式とは、師弟同信の意をあらわし、宗門の僧侶としての誓約を結ぶ儀式である。
(得度誓約)
第22条 僧侶となろうとする者は、得度式に際し、次の各号に掲げる誓約を行わなければならない。
一 終身僧侶の本分を守り、勉学布教を怠らないこと。
二 和合を旨とし、宗門の秩序をみださないこと。
三 仏恩報謝の生活を送り、心豊かな社会の実現に貢献すること。
(得度式を受けられない者)
第23条 得度式は、年齢15歳未満の者は、受けることができない。但し、後継の住職となるべき者で特別の事由がある者は、年齢9歳以上で、得度式を受けることができる。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、得度式を受けることができない。
一 僧籍剥奪の懲戒処分を受け、宗則で定める復権の期間を経過しない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終るまで、又は執行を受けることがなくなるまでの者
三 心身の故障によりその職務を行うに当って必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
四 破産者で復権を得ていない者
(教師)
第24条 年齢20歳以上の僧侶で、教師資格審査会の審査を経た者には教師を授与する。
2 教師を授与された者は、宗務所備付の教師名簿に登録される。
(寺族)
第25条 寺族とは、第2条の目的を遵奉し、当該寺院備付の寺族名簿に登録された者をいう。
2 寺族は、仏祖の御恩に感謝し、住職又は住職代務を補佐して、この宗門及び本山並びに所属する寺院の護持発展に努めなければならない。
3 僧籍を有しない寺族は、帰敬式を受けるものとする。
(坊守)
第26条 坊守とは、前条の規定による寺族であって、当該寺院備付の坊守名簿に登録された者をいう。
2 坊守は、坊守式を受けなければならない。
2 門徒は、この宗門及び本山並びに所属する寺院の護持発展に努めなければならない。
3 門徒は、帰敬式を受けるものとする。
4 門徒以外の者で、浄土真宗の教えを聞信する者を信徒という。
(帰敬式)
第28条 帰敬式とは、仏祖に帰依崇敬の意をあらわす儀式である。
第6章 事業
(学校の経営)
第29条 この宗門は、教学を振興し、広く人材を養成するため、学校その他の機関を設けて、教育及び研究を行う。
(公益事業)
第30条 この宗門は、浄土真宗の教義に基づき、第2条の目的を達成するため、公益事業を行う。
第7章 宗務
第1節 総局
第1款 総局及び地方・海外組織
(設置目的)
第31条 宗門の宗務を執行する機関として、総局を置く。
(組織)
第32条 総局は、総長及び総務3人で構成し、総局会議を組織する。
(総長、総務及び副総務)
第33条 総長は、総局を代表し、その事務を総理する。
2 総長は、宗務を必要な各部門に分け、総務に分掌させ、また自ら所管することができる。
3 総務は、総長を補佐し、所管の事務について、総長に対し責任を負う。
4 総長は、必要に応じて、副総務2人以内を置くことができる。
5 副総務は、総長の命に従い、総務を補佐する。
(総長、総務及び副総務の選任)
第34条 総長は、教師のうちから門主の指名する2人又は3人の総長候補者について、宗会が選挙を行い、その当選人を門主が任命する。
2 総務は、教師のうちから、総長の申達によって、門主が任命する。
3 副総務は、総長の申達によって、門主が任命する。
(総局会議)
第35条 次の各号に掲げる事項は、総局会議を経なければならない。
一 門主に関する事項
二 宗会から送致された請願に関する事項
四 人事に関する事項
五 宗務の基本方針策定に関する事項
六 法要及び儀式に関する重要な事項
七 教学に関する重要な事項
八 財務に関する重要な事項
九 外部との交渉協約等に関する事項
(総長の退任)
第36条 総長は、次の各号のいずれかに該当するときは、退任しなければならない。
一 宗会議員の任期満了による総選挙の後に初めて宗会の招集があったとき。
二 宗会の解散による総選挙の後に初めて宗会の招集があった場合において、総長は必ず信任を問い、それが否決されたとき。
三 宗会で総長不信任の決議案を可決した場合において、2日以内に宗会を解散しないとき。
(総務及び副総務の退任)
第37条 総務及び副総務は、総長が退任し、又は欠けたときは、退任しなければならない。
(職務の継続)
第38条 総長、総務及び副総務は、退任した後でも、後任者が就任する時まで、なおその職務を行うものとする。
(総長・総務の代務者)
第39条 次の各号のいずれかに該当するときは、代務者を置く。
一 総長又は総務が病気その他の事由によって3か月以上その職務を行うことができないとき。
二 総長が任命の時から3年6か月後又は宗会解散による総選挙後の最初の宗会で信任を得てから3年6か月後に、退任し、又は欠けたとき。
三 総長又は総務が死亡その他の事由によって欠けた場合において、速やかにその後任者を選ぶことができないとき。
2 前項の総長代務者は、総務が互選した者について、総務代務者は、総長又は総長代務者の申達した者について、門主が任命する。
3 代務者は、総長又は総務に代ってその職務の全部を行い、その置くべき事由がなくなったときは、その職を退くものとする。
(教区・組・開教区及び開教地)
第40条 総局は、地方における宗務の運営を円滑にし、この宗門の目的達成を図るため、地方を区分して教区、教区を区分して組を設ける。
2 海外には、開教区及び開教地を設ける。
第2款 企画諮問会議
(企画諮問会議)
第41条 総局は、年度の予算及び基本方針など、宗務の重要事項に関する企画立案について諮問するため、企画諮問会議を置く。
2 前項のほか、企画諮問会議は、宗務の成果に関する点検・評価と是正策の提言を行う。
3 企画諮問会議の組織、所掌事項その他運営に関する事項は、宗則で定める。
第2節 常務委員会
(設置目的)
第42条 宗務の執行に必要な重要事項を議決する機関として、常務委員会を置く。
(組織)
第43条 常務委員会は、次の各号に掲げる常務委員15人で組織する。
一 総長
二 総務 3人
三 宗会議長及び宗会副議長
四 宗会から選出された宗会議員 6人
五 総長が推薦する有識者で、宗会の承認を得た者 3人
(職務権限)
第44条 常務委員会は、次の各号に掲げる事項をつかさどる。
一 年度の宗務の基本方針の具体策について議決すること。
二 重要宗務の執行にかかる具体策について議決すること。
三 宗則の制定及び変更について議決すること。
四 補正予算について議決すること。
五 決算について承認し、宗会に報告すること。
六 緊急の必要がある事項の処置について承認し、宗会に報告すること。
(会長)
第45条 常務委員会に会長を置き、総長たる常務委員が当り、議事を整理する。
(議事)
第46条 常務委員会は、常務委員の定数の2分の1以上の出席がなければ議事を開き、議決することはできない。
2 常務委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(決算審査における特例)
第47条 第43条第1項第1号及び第2号の規定による常務委員は、第44条第5号の規定による決算の承認については、その表決に加わらないものとする。この場合においては、宗会議長たる常務委員が会長の職務を代行するものとし、前条第1項の規定による定数は、総長及び総務たる常務委員を含まないものとする。
(招集)
第48条 常務委員会は、門主の認証を得て、総長が招集する。
第3節 宗会
(設置目的)
第49条 宗門の重要な宗務に関し評議、又は議決する機関として、宗会を置く。
2 宗会は、宗門全般の意思を尊重するように運営されなければならない。
(組織)
第50条 宗会は、僧侶及び門徒のうちから選出された宗会議員で組織する。
2 宗会の運営並びに宗会議員の定数及び選挙人、被選挙人の資格、選挙区、選出方法その他経費に関する事項は、宗則で定める。
(任期)
第51条 宗会議員の任期は、4年とする。但し、宗会開会中は、任期満了後でも閉会までなお在任し、宗会が解散されたときは、任期満了前に終了する。
(招集、解散)
第52条 宗会の招集及び解散は、門主の認証を得て、総長が行う。
2 宗会は、毎年1回、定期に招集する。但し、必要に応じて、臨時に招集することができる。
3 宗会議員の定数の2分の1以上の議員が、緊急の必要を認めて要求するときには、総長は、宗会の招集を決定しなければならない。
(職務権限)
第53条 宗会は、次の各号に掲げる事項をつかさどる。
二 宗務の基本方針について議決すること。
三 本予算について議決すること。
四 重要事項について意見を具申すること。
五 本山の要請に基づく財産処分について同意すること。
六 総長選挙に関すること。
七 常務委員会常務委員及び企画諮問会議委員の選出に関すること。
八 本願寺評議会評議員の選出に関すること。
2 宗会は、宗会議員の定数の3分の2以上の賛成を得て、総長の不信任を決議することができる。
3 宗会は、この宗門に包括される個人及び団体から提出された請願について審議する。
4 宗会は、特別な、又は重要な事項について決議、又は建議することができる。
5 宗会は、宗務に関する調査を行い、これに必要な報告又は文書の提出を総局に求めることができる。
(定足数、議決数)
第54条 宗会は、宗会議員の定数の2分の1以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。
2 宗会の議事は、特別の定がある場合を除いて、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(議長その他の役員の選任、宗会規則)
第55条 宗会は、議長及び副議長各1人その他の必要な役員を選任する。
2 宗会は、会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。
第4節 勧学寮
(設置目的)
第56条 宗意安心に関する門主の諮問に答申し、及び教義に関する重要事項を審議するため、勧学寮を置く。
(組織)
第57条 勧学寮は、勧学寮員(以下「寮員」という。)5人で組織する。
2 寮員は、学階勧学を有する者のうちから、総長の申達によって門主が任命する。
3 寮員の任期は、4年とし、再任されることができる。但し、補欠による者の任期は、前任者の残任期間とする。
(勧学寮頭)
第58条 勧学寮に、勧学寮頭(以下「寮頭」という。)を置く。
2 寮頭は、寮員の互選した者について、門主が任命する。
3 寮頭は、勧学寮を統理する。
(職務権限)
第59条 勧学寮は、合議制とし、寮員3人以上が出席しなければ議事を開くことができない。
一 門主の諮問について答申すること。
二 宗制の変更について同意すること。
三 消息の発布について同意すること。
四 宗務機関の要求に対し回答すること。
五 宗務機関に対して、適宜の処置又は回答を求めること。
六 前各号のほか、宗則によって、その権限に属するものとされた事項を行うこと。
3 勧学寮は、宗制に定める教義に相異する義を主張した者に対し、教諭する。
第5節 監正局
(設置目的)
第60条 懲戒処分を行い、宗務及び寺務に関する訴え等を審判して、宗門の秩序を保持するとともに、財産の管理及び経理の運営に関する事項を検査し、宗務及び寺務の執行を監査するため、監正局を置く。
2 監正局は、宗門投票に関する事務を行う。
(組織)
第61条 監正局は、5人の特別審事、15人以内の審事、15人以内の会計検査員及び6人以内の監事で組織する。
(特別審事、審事、会計検査員及び監事)
第62条 特別審事は、宗務経歴を有する教師又は学識経験のある者若しくは法律に関する専門的知識を有する者のうちから、常務委員会の同意を得、総長の申達によって、門主が任命する。
2 審事、会計検査員及び監事は、宗務経歴を有する教師、学識経験のある者又は法律若しくは経理に関する専門的知識を有する者のうちから、監正局長が任命する。
(任期)
第63条 特別審事、審事、会計検査員及び監事の任期は、2年とし、再任されることができる。但し、補欠の特別審事の任期は、前任者の残任期間とする。
(監正局長)
第64条 監正局に、監正局長を置く。
2 監正局長は、特別審事のうちから、総長の申達によって、門主が任命する。
3 監正局長は、監正局を統理する。
一 特別委員会
二 審査委員会
三 懲戒委員会
四 会計監査委員会
(特別委員会)
第66条 特別委員会は、次の各号に掲げる事項をつかさどる。
二 審査委員会が行った次条第2号の懲戒処分に対する不服申立てについて審判すること。
四 宗門投票を行うことについて、及び宗門投票の結果について判定すること。
2 特別委員会は、委員長及び委員4人で組織し、委員長は監正局長を、委員は特別審事をもって充てる。
(審査委員会)
第67条 審査委員会は、次の各号に掲げる事項をつかさどる。
一 懲戒委員会が行った懲戒処分に対する不服申立てについて審判すること。
二 懲戒委員会から移送されてきた事件について、懲戒処分を行うこと。
三 宗務上又は本山の寺務上の処分にかかる訴え、宗務又は本山の寺務に関する訴えについて審判すること。
四 宗規第48条第3項及び同第49条第2項の規定による異議申立て又は可否決定の申請について審判すること。
五 選挙の効力・当選人の資格に関する訴えについて審判すること。
2 審査委員会は、委員長及び委員若干人で組織し、委員長は特別審事のうちから、委員は審事のうちから、監正局長がそれぞれ指名する。
(懲戒委員会)
第68条 懲戒委員会は、次の各号に掲げる事項をつかさどる。
一 懲戒処分を行うこと。
二 事案の複雑その他相当な事由があるときに、事件を審査委員会に移送すること。
2 懲戒委員会は、委員長及び委員若干人で組織し、委員長及び委員は、審事のうちから、監正局長が指名する。
(会計監査委員会)
第69条 会計監査委員会は、次の各号に掲げる事項をつかさどる。
一 宗門、本山、直轄寺院、直属寺院及び教区の財産の管理又は経理の運営についての検査、及び各種決算の検査を行うこと。
二 宗門の宗務の執行及び財産の状況について監査し、常務委員会及び宗会に出席して報告し、意見を述べること。
三 本山の寺務の執行及び財産の状況について監査し、責任役員会及び本願寺評議会に出席して報告し、意見を述べること。
四 直轄寺院の業務の執行及び財産の状況について監査し、責任役員会その他の議決機関に出席して報告し、意見を述べること。
2 会計監査委員会は、会計検査員及び監事で組織する。
第6節 職務執行の独立性
(職務執行の独立性)
第70条 宗門の宗務機関は、その職務に属する事項を行うについて、互いに他の宗務機関に不当に干渉してはならない。
第8章 財務
第1節 会計及び経費
(会計年度)
第71条 この宗門の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終るものとする。
(歳入及び歳出)
第72条 この宗門の1会計年度における一切の金品の収納を歳入とし、一切の支出を歳出とする。
(量入為出の原則)
第73条 この宗門の毎会計年度における経費は、その年度の歳入で運用財産に属するものをもって支弁しなければならない。
(本山からの回付金)
第74条 この宗門の経費に充当するため、本山の歳入の一部を一定の割合による回付金として、本山から回付を受けるものとする。
2 前項の規定による回付金の割合については、本山と協議した上で、本山の規則で定めるところによる。
(会計の区分)
第75条 この宗門の会計は、一般会計及び特別会計とする。
2 特別会計は、特別の事業を行うため、一般会計と区別して経理する必要がある場合に限り、設定する。
第2節 予算及び決算
(予算の編成)
第76条 予算は、会計ごとに、歳入及び歳出の区分によって編成しなければならない。
2 予算は、本予算、補正予算及び暫定予算とする。
(予算の区分)
第77条 予算は、必要に応じて経常部及び臨時部に分け、各々これを類、款、項及び目に区分して、その性質及び目的を摘記しなければならない。但し、一般会計にあっては目を、特別会計にあっては類及び目を省略することができる。
(予備費)
第78条 予見し難い予算の不足を補うため、予算中に予備費を設ける。
(予算の議決)
第79条 本予算は、会計年度ごとに総長が編成し、門主の認証を得、年度開始前の定期の宗会に提出してその議決を経なければならない。
2 総長は、完成に数年を要する工事その他の事業予算について、特に必要がある場合においては、宗会の議決を経て、2以上の会計年度にわたる継続費とすることができる。
(予算の繰越し及び予算の移用禁止)
第80条 年度予算において決定した経費の定額は、他の年度に属する経費に充てることができない。但し、年度内に終る予定の工事その他の事業で、やむを得ない事由によりその経費の支出を終らないものは、常務委員会の承認を受けて、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
2 歳出予算は、各項に定める目的以外に定額を使用し、又は各項間において彼此移用することができない。
(一時借入)
第81条 総長は、予算の執行に当り、その収支の適合を図るため、一時借入をすることができる。但し、その借入金の現在高は、常に、一般会計にあっては予算総額の1割、特別会計にあっては当該特別会計の予算額の3割を超えてはならない。
2 前項の規定による一時借入金は、当該年度の歳入で償還しなければならない。但し、やむを得ない事情により、当該年度内に償還することができないときは、償還の方法を明らかにし、これを次の常務委員会に提出してその承認を求めなければならない。
3 第1項の規定による一時借入金は、一般会計にあっては特別会計に、特別会計にあっては一般会計及び他の特別会計に充当してはならない。
(補正予算)
第82条 本予算の議決後に生じた事由により、予算に追加その他の変更を加える必要が生じたときは、総長は、補正予算を編成し、門主の認証を得て、常務委員会の議決を経なければならない。
2 前項の変更額が、一般会計の予算総額の2割を超える場合には、次の宗会に報告しなければならない。
(暫定予算)
第83条 一般会計の年度予算が成立しなかったときは、総長は、門主の認証を得て、1会計年度のうちの一定期間にかかる暫定予算を編成する。
2 暫定予算の編成は、1度限りとし、その期間は、3か月を超えてはならない。
3 暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基づく収入及び支出又は負担は、これを当該年度の予算に基づいてなしたものとみなす。
(決算)
第84条 決算は、毎会計年度終了後3か月以内に、予算と同一の区分により総長が作成し、監正局会計監査委員会の検査を経て、門主に上申し、その検査報告とともに、常務委員会の承認を得て、翌年度の定期の宗会に報告しなければならない。
2 決算には、当該年度末現在の財産目録及び貸借対照表並びに説明書及び宗務の執行に関する成果表を添えなければならない。
(剰余金)
第85条 決算に剰余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
2 前項の規定による積立金を「平衡資金」といい、特別会計とする。
3 平衡資金の使用は、宗会の議決を経なければならない。
第3節 財産管理
(原則)
第87条 この宗門の財産は、懇念の結晶であり、常に良好の状態において管理し、適正に運用しなければならない。
(財産の区分)
第88条 この宗門の財産は、基本財産及び運用財産とする。
2 基本財産は、次の各号に掲げる財産とする。
一 不動産
二 宝物
三 基本財産として指定寄附を受けた有価証券、現金その他の動産
四 基本財産に編入することを常務委員会において議決した有価証券、現金その他の動産
3 運用財産は、次の各号に掲げる財産とする。
一 賦課金
二 冥加金及び懇志
三 本山からの回付金
四 基本財産から生ずる果実
五 その他基本財産以外の財産及び雑収入
(基本財産の処分等)
第89条 基本財産は、処分し、又は担保に供することができない。但し、やむを得ない場合において、門主の認証を得、常務委員会の議決を経たときは、この限りでない。
2 借入(第81条第1項の規定による一時借入を除く。)若しくは保証をしようとするとき、又は基本財産を運用財産に変更しようとするときは、門主の認証を得て、常務委員会の議決を経なければならない。
(財産目録)
第90条 総長は、第88条に規定する区分に従い、財産目録を作成し、これに財産の名称、種類、員数その他必要な事項を記載しなければならない。記載事項に変更を生じたときは、そのつど訂正しなければならない。
第9章 宗門投票
2 宗門投票は、宗門一般の投票により、前項に規定する事項について、この宗門の意思を決定する最終的方法であるから、その結果は、この宗門の総意として、何人もこれに従わなければならない。
第10章 賞罰
(褒賞)
第92条 この宗門に包括されるすべての個人及び団体は、宗門若しくは社会に対する功労又は他の模範となる行為に対して、宗則で定める手続に従い、褒賞を授与される。
第11章 最高法規
第12章 補則
(法人格)
第95条 この宗門は、宗教法人法による宗教法人であって、その法人規則を「宗規」という。
2 この宗門に、宗規の定めるところにより、4人の責任役員を置き、うち1人を代表役員とする。
2 前項に掲げる規定以外の規定を変更しようとするときは、宗会議員の定数の2分の1以上が出席した宗会において、出席議員の過半数で議決しなければならない。
(公告及び公示)
第97条 この宗門の公告及び公示は、宗門の機関紙「宗報」に1回掲載し、及び宗務所の掲示場に10日間掲示して行う。
(施行細則)
第98条 この宗法の施行に必要な事項は、宗則で定める。但し、宗則で委任された事項に関しては、総長は宗達で、勧学寮頭及び監正局長は達示で定めることができる。
附則(第18回全文改正 平23.8.29 第298回臨時宗会議決)
1 この宗法変更(以下「新法」という。)は、平成24年4月1日から施行する。
2 この新法施行の際現に施行されている宗則その他の規則は、すべてこの新法による宗則その他の規則とする。
3 この新法施行の際現に門主又は門主代務たる者は、この新法による門主又は門主代務とみなす。
4 この新法施行の際現に新門たる者は、この新法による新門とみなす。
5 この新法施行の際現に裏方たる者は、この新法による裏方とみなす。
6 この新法施行の際現に総長及び総務たる者は、この新法による総長及び総務とみなす。但し、この新法施行の日から総務の員数は3人とする。
7 この新法施行の際現に宗会議員たる者は、この新法による宗会議員とみなし、その任期については、従前の規定による総選挙の日から起算する。
8 この新法施行の際現に宗会議長及び宗会副議長たる者は、この新法による宗会議長及び宗会副議長とみなす。
9 この新法施行の際現に勧学寮頭及び勧学寮員たる者は、この新法による勧学寮頭及び勧学寮員とみなす。但し、その任期については、この新法施行の日から起算し、勧学寮員の員数は5人とする。
10 この新法施行の際現に監正局長、特別審事、審事及び会計検査員たる者は、この新法による監正局長、特別審事、審事及び会計検査員とみなし、その任期については、この新法施行の日から起算する。
11 この新法施行の際従前の規定による監正局の既判の審決その他の処分は、この新法施行後もその効力を有する。
12 この新法施行の際現に存する直属寺院及び一般寺院は、この新法による直属寺院及び一般寺院とみなす。
13 この新法施行の際現に存する宗教法人たる教会は、この新法による一般寺院とみなし、宗教法人でない教会は、この新法による非法人寺院とみなす。この場合において、現に教会の主管者たる者は、この新法による一般寺院又は非法人寺院の住職とみなす。
14 この新法施行の際現に教導師たる者は、なお従前の規定による教導師とみなす。
15 この新法施行の際従前の規定により、門主の認許を得、宗会の議決を経た平成24年度浄土真宗本願寺派の予算は、この新法による本予算とみなす。
16 総局は、この新法施行の日にかかわらず、この新法による浄土真宗本願寺派宗務所の設置及び管理運営について必要な準備措置を講じることができる。
17 総局は、この新法施行の日にかかわらず、現に従前の規定による浄土真宗本願寺派宗務所及び本願寺寺務所に勤務する者の定員その他勤務体制などの待遇について、平成24年3月31日までに調査検討し、この新法による浄土真宗本願寺派宗務所の宗務所員及び平成24年4月1日施行の本山典令による本願寺寺務所の寺務所員として、それぞれ職員配置できるように人事上の措置を講じなければならない。
附則(第19回改正 平26.5.14 第306回定期宗会議決)
この宗法変更は、平成26年6月6日から施行する。
附則(第20回改正 令3.3.10 第319回定期宗会議決)
この宗法変更は、発布の日から施行する。