宗門の過疎対策
宗門における過疎対策の推進は、総局が「中央寺院振興対策委員会」並びに「教区寺院振興対策委員会」と緊密な連携を図り、過疎地域に所在する寺院をはじめとする既存寺院が「寺院規程」に定める"寺院の目的"を果たすことができるよう支援するものです。
具体的には、ふるさとを離れて過ごす門信徒や、その子や孫への伝道を目的とした「離郷門信徒のつどい」の開催支援があります。
また、「寺院振興金庫」(財的支援)、「寺おこし事業の紹介」(寺院相互扶助)、「寺院振興に向けた相談窓口」など、宗門の伝道教化基盤であるそれぞれの寺院の充実振興により、宗門の教線が維持されることを願っています。
目次
「過疎対応支援員」について
宗門では、宗門総合振興計画の一環として、過疎地域などに所在する寺院及び過疎化現象から生じる門信徒数の減少などで、寺院の護持・運営が困難となり、寺院規程(昭和27年宗則第15号)第3条に規定する"寺院の目的"を果たすことができない、又は将来その可能性がある寺院に対して振興及び総合的対応を図るため、必要な教区へ「過疎対応支援員」を配置しています。
活動報告
「離郷門信徒のつどい」(ふるさとの会)開催のご提案
宗門では、ふるさとを離れて過ごされている門信徒の方々への伝道の場として、本山本願寺、築地本願寺、教務所又は直属寺院における会場参集型での開催や、オンライン(web)を用いて開催する「離郷門信徒のつどい」を奨励しています。
「離郷門信徒のつどい」を開催する団体に対して、開催内容に応じた助成金や記念品の交付を行う支援をいたしておりますので、ご活用ください。
支援内容
<会場参集開催>
(1)会場に離郷門信徒を集め開催する場合
○本山参拝を機に、ふるさとを離れて居住されている方をご案内して、つどいを開催する場合
会 場 | 支援内容 | 申込先 | 申請書 | 備 考 |
本山本願寺 (聞法会館、安穏殿、伝道本部、大谷本廟など) |
①会場・備品等の無償貸与 ②当日の開催準備及び補助 ③助成金(寺院 5万、組 10万、教区 15万) ・記念品(仏事奨励リーフレット)の交付 |
寺院活動支援部 |
①開催申込書(PDF) ②助成金交付申請書(PDF) |
○首都圏に移住された方を集め開催する場合
会 場 | 支援内容 | 申込先 | 申請書 | 備 考 |
築地本願寺 | ①会場・備品等の無償貸与 ②当日の開催準備及び補助 ③助成金(寺院 5万、組 10万、教区 15万)・記念品の交付 |
築地本願寺 教化育成部 <教化推進担当> |
申込書については申込先へご確認ください |
○各地の教務所や別院付近に移住された方を集め開催する場合
会 場 | 支援内容 | 申込先 | 申請書 | 備 考 |
教務所又は 直属寺院 |
①会場・備品等の無償貸与 ②当日の開催準備及び補助 ③助成金(寺院 5万、組 10万、教区 15万) ・記念品(仏事奨励リーフレット)の交付 |
寺院活動支援部 |
①開催申込書(PDF) ②助成金交付申請書(PDF) |
会場の空き状況は各所へ事前に要確認 |
<オンライン開催>
(2)離郷門信徒を会場へ集めず、主催者が会場からオンラインを利用して開催する場合
○オンライン環境が整っている場合
会 場 | 支援内容 | 申込先 | 申請書 | 備 考 |
一般寺院又は 非法人寺院 (活動拠点を含む) |
①記念品(仏事奨励リーフレット)の交付 ②オンライン会議システム(Zoom)による接続方法の説明及び接続補助 |
寺院活動支援部> | ①開催申込書(PDF) |
○自坊ではオンライン環境が整っていない場合
会 場 | 支援内容 | 申込先 | 申請書 | 備 考 |
本山本願寺 築地本願寺 教務所又は 直属寺院 |
①会場・備品等の無償貸与 ②当日の開催準備及び補助 ③記念品(仏事奨励リーフレット)の交付 ④オンライン会議システム(Zoom)による接続方法の説明及び接続補助 |
寺院活動支援部 | ①開催申込書(PDF) | 会場の空き状況は各所へ事前に要確認 |
<会場参集開催><オンライン開催>の併用開催
(3)上記(1)にある会場へ離郷門信徒が集まり、かつ、オンラインを利用して開催する場合
上記(1)(2)を併用した支援を行います。開催を検討している場合、事前に寺院活動支援部までお問い合わせください。
※1 申込に際し、代表者として住職若しくは住職代務又は組長、教務所長、沖縄県宗務事務所長、輪番、主管が申し込みください。なお、開催について事前に所属教区教務所へご報告ください。
※2 助成金の交付対象は、【会場参集開催】による開催の場合となります。
※3 助成金の交付は、1会計年度中2回までとし、同会場での交付は1回までといたします。
※4 助成金の交付額は会計年度によって変動する可能性がありますので、ご確認ください。
2025年度助成金交付額表(PDF)
※5 申込書受理後、開催内容等を確認したうえ、助成金の交付が決定したときは、申込先から申請者に対して通知いたします。
※6 助成金は、申請内容と実施内容が合致しない場合、又は開催が中止になった場合は交付いたしません。
※7 申込書は必ず開催の2週間前までにご提出ください。
「寺院振興金庫」について
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画の重点項目として「過疎・過密対策」が掲げられ、その対策の1つとして一般寺院の振興支援並びに国内開教の促進を図るための財的支援(貸付・助成)を目的に設置されたのが、「寺院振興金庫」です。
なお、貸付利息は、実際に貸付を行う年度の4月1日の基準割引率及び基準貸付利率(公定歩合)に、0.5%を加算した数を乗じた額になりますので、ぜひご活用ください。
※貸付・助成申請期限は、各教区教務所(都市開教対策本部)を通じて、毎年度9月末日までに 寺院活動支援部 必着となります。
「寺院振興に向けた相談窓口」について
寺院振興に向けた相談窓口 ~お寺のことは門徒さんの一大事~
過疎地域とは、「人口が減少している地域」という意味だけではありません。「過度なる人口減少」と共に、「地域社会の活力が低下」し「基礎的生活条件の維持が困難な状態にある」という問題を抱えています。
向都離村から生じる人口減少は、必ず門信徒の減少とは言えませんが、門信徒の後継者を失うことを誘引しています。ひいては、門信徒による寺院の運営・護持を維持する力を弱めることにつながります。人口減少は避けることのできない問題です。寺院活動から生じる収入に依存することのない、寺院の運営・護持が成り立たなければ、「寺院活動の存続」は極めて困難な局面を迎えることになります。
ご住職は、寺院の主宰者である責任感を強く持たれ、周囲からの期待も高く、寺院活動を続けていただいています。今後、益々人口減少が進む時代社会にあって、寺院活動の存続は、重大な問題となります。寺院がその地域(人)にとって、「なくてはならない」とする「在り方」を示せるか否かは、寺院の存否に関わることになります。この「寺院の在り方」から導かれる「伝道・教化活動」や、「地域の教線維持」は、主宰者たるご住職へ一任され展開されています。
寺院の状況は様々ですが、ご住職が現状の課題への対応や、寺院の将来展望を案じておられることを静観することがないよう「寺院振興に向けた相談窓口」を設けています。
以下ファイルを利用し、メール・FAX・お手紙にてご相談ください
~こんなご相談をいただいています(主な事例)~
- 「宗派の過疎対策についての資料がほしい」(組会・連研で活用したい)
- 「住職代務をしている寺院の今後について相談にのってほしい」
- 「近隣の過疎地域の現状を見てほしい」
- 「住職を退任し、年金で生活をしている。時間的な余裕もあるため、過疎地域の寺院でお手伝いできないか」
※この他、寺院運営について、「離郷門信徒のつどいの開催」、「寺院振興金庫(貸付・助成)」や、「寺おこし事業の紹介」に関すること等、ご相談やご要望等をいただいています。
寺院振興支援(寺院施設新築)に資する情報提供について
今般、宗門総合振興計画『基本方針Ⅲ.宗門の基盤づくり』の中で、「持続可能な寺院のあり方を検討、運用」する取り組みとして、本堂・納骨堂・門徒会館などの寺院施設新築計画検討に資する「多目的礼拝施設モデル」について情報提供をいたします。
(経緯)『第10回宗勢基本調査報告書』の中で、「寺院施設の改築・新築の必要がある」と回答した寺院(65.4%)には「資金的な見通しが立っていない」寺院が多数(86.7%)含まれるという結果でした。
そこで、下記の基本仕様に基づきハウスメーカーより提案をうけました。なお、当初、資金的に見通しの立てやすい2000万円程度で、モデル設計の基本仕様を平屋かつ水回り無しとしてましたが、昨今の物価高騰や以前より寺院から水回りや耐震構造を完備したモデル設計の問い合わせが多かったことをうけ、ハウスメーカーから再提案をうけています。
1.基本仕様 | 本体工事のみ ①建築面積:約60平米(20坪程度)から対応可能 ②仕様:平屋、水回り有、耐震構造完備 ※既存施設の除却、及び屋内施設などの設営などは含まない。 |
2.提案業者 資料請求先 |
①大和ハウスリフォーム株式会社 モデルプラン ②株式会社ヤマダホームズ 法人企画部 モデルプラン ③トヨタホーム近畿株式会社 モデルプラン ※住宅メーカー各社からの提案については都度見直しを行います。 |
3.事務対応 |
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関連情報
み教えを次世代に繋げる研究・調査
1.過疎問題連絡懇談会
2015(平成27)年、過疎問題に関する各教団の現状や対策を共有する「過疎問題連絡懇談会」を立ち上げ(本派協賛、大谷派を事務局)、寺院活動支援部と総合研究所が連携して、み教えを次世代につなげるための情報交換・研究を行っています。
2.T型集落点検
2015(平成27)年9月、徳野貞雄氏(熊本大学名誉教授)が提唱する「T型集落点検」を、地域活性化の事例的取組モデルとして実施しました。内容については、2017(平成29)年『宗報』3月号にて報告をいたしました。
「T型集落点検」とは
- T型集落点検とは徳野教授が考案した手法で、家族や集落がどんな状況にあるか、またこれからどんな状況を迎えることになるかを予測し把握するために有効な手法です。
T型と呼ばれるのは、図表で「父親-母親」を水平に書き、その下に子どもを書き、またその子どもが結婚していれば同じ様に家系図を図式化していくというもので、その形がアルファベットのTを連続させていくので「T型」と呼ばれます。
(岐阜県郡上市和良町、「和良おこし協議会」より引用)
3.能登地域寺院調査
2017(平成29)年8月25日~28日の4日間に亘り、石川県七尾市に所在する仏教寺院20ヶ寺(本願寺派6、大谷派8、曹洞宗4、日蓮宗1、高野山真言宗1、及び葬儀社2社)の「寺院調査(聞き取り調査)」、並びに能登島内の集落(野崎町)にて「ご縁集落点検」を実施いたしました。
「調査員」には本願寺派(当部及び総合研究所)10名、龍谷大学(社会学部社会調査班)の准教授以下学生20名に加え、「過疎問題連絡懇談会」(超宗派)の参加メンバーより13名(大谷派、高野山真言宗、真言宗智山派、曹洞宗、日蓮宗、臨済宗妙心寺派)が加わるなど、大変大掛かりな調査となりました。
寺院調査(聞き取り調査)
寺院への「聞き取り調査」については、各班4~6名程度が4つの班に分かれ、約120分から180分かけて、住職より寺院の置かれている現状や課題、今後の展望について具体的に伺うことが出来ました。
ご縁集落点検
他出子の調査から寺院の未来を展望する「ご縁集落点検」では、能登島野崎町の2ヶ寺(本願寺派及び大谷派寺院)を会場に、地元住民20名が参加するワークショップを行い、翌日は集落の各戸に訪問し「アンケート調査」も実施することが出来ました。
調査の内容は以下PDFファイルをご覧ください。
龍谷大学(農学部・社会学部)との連携について
宗門総合振興計画『基本方針Ⅲ.宗門の基盤づくり』の中で、「持続可能な寺院のあり方を検討、運用」する先駆的取り組みとして、宗門関係学校である龍谷大学と「宗学連携」による寺おこし・地域おこしに取り組んでいます。
1.龍谷大学農学部インターンシップ事業(人的交流、地域おこし)
本願寺派寺院は農村漁村地域に多く位置していることから、2015(平成27)年度新設された龍谷大学農学部と連携し、学生の短期受入(インターンシップ)による「人の交流」を2016(平成28)年度より実施しています。
2.龍谷大学社会学部コミュニティマネジメント学習(人的交流、地域おこし)
人口減少、少子高齢化、核家族化の影響を受け、地域活力が低下する一方、これまで地域コミュニティを維持してきた寺院の活動は、近年寺院の外から注目されています。そこで、宗派と龍谷大学社会学部(コミュニティマネジメント学科)が連携し、寺院をフィールドとした地域連携に取り組む実習を計画しました。
学生は日常的な寺院活動や法要行事に参加しながら、寺院の活動を学ぶとともに、地域住民も交えた地域活性化の企画も行い、地域おこしに参画するための知識や能力を学びます。寺院にとっては、門信徒以外の方を呼び込む人的交流から、地域及び寺院活性化を目指すものです。
2017年度は3ヶ寺、2018年度は3ヶ寺、2019年度は2ヶ寺の寺院にて実施いたしました。
3.お寺de農業インターンシップ(人的交流、地域おこし)
2017(平成29)年度から「龍谷大学農学部インターンシップ」へ申込された寺院と協力し、宗派主催で農業インターンシップ(お寺に宿泊しながら地域農業の実習体験)を実施しました。
7月14日~8月28日までの期間中、3ヶ寺(滋賀、京都、山陰)に参加した7名の実習生(学生)は、積極的に参加しながら、地域の方々とふれ合いました。実際の様子は以下PDFファイルをご覧ください。
実習生を受け入れた、三田真史ご住職(京都教区天橋組浄福寺)からは「地域の様々な農業を知ってもらえる機会ができた」「農家のご門徒が学生との交流を喜んでいただいたことが嬉しい」「来年も受け入れたい」など感想をいただきました。(詳しくは『宗報8月号』10頁"こころ通信"欄に掲載)
本事業に参加いただいた寺院の感想は、以下PDFファイルをご覧ください。
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TEL:075-371-5181(代表) FAX:075-351-1211