立教開宗記念法要(春の法要) ご門主法話(ご親教)
み教えを次の世代へ
本日は、立教開宗記念法要にあたり、ようこそご参拝くださいました。立教開宗記念法要とは、親鸞聖人が浄土真宗のみ教えをあきらかにされたことを記念する法要であり、これをご縁に私たちにみ教えが伝わっていることを、あらためて味わわせていただきたいと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた国内外のすべての方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、罹患されている皆さま、後遺症を患われている皆さまに心よりお見舞い申しあげます。また、治療・対策にあたられている医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆さま方に、深く敬意と感謝を表します。
また、本年2月24日以降、ロシア連邦のウクライナ侵攻によってウクライナの各都市では子どもを含めた多くの民間人が犠牲となり、加えて350万人を超える国民が難民として避難を余儀なくされていると報道されています。私たち念仏者は『大無量寿経』に説かれる「兵戈無用」、また親鸞聖人がお示しくださった「世のなか安穏なれ」のお言葉をあらためて深く心に刻み、一刻も早く平和的な解決がなされ、ウクライナに再び平和が訪れることを願ってやみません。
さて本願寺では、平成29(2017)年7月より宗門総合振興計画の一環として、阿弥陀堂内陣および唐門・飛雲閣の修復を国庫補助を受けて行ってまいりました。平成30(2018)年12月17日には、ご本尊・阿弥陀如来を御影堂内陣に御遷仏し、以来、約3年3カ月の間、御影堂にご本尊と親鸞聖人御真影をご安置してまいりました。この間、皆さまにはご不便、ご迷惑をおかけしましたが、本年4月1日にご本尊に阿弥陀堂へお戻りいただき御遷仏法要を、翌2日には本願寺阿弥陀堂内陣修復完成奉告法要を、また、昨日、一昨日は阿弥陀堂内陣修復完成慶讃法要をおつとめいたしました。これら一連の修復工事が滞りなく完了し、関連法要が無事円成いたしましたことは、ひとえに、有縁の皆さま方のおかげと感謝いたしております。来年、令和5(2023)年は、親鸞聖人のご誕生850年となる記念すべき年であり、3月より「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」をおつとめいたします。このご法要が、多くの皆さまにとって浄土真宗のみ教えに触れていただくご勝縁となりますことを願っております。
さて、私は昨年の立教開宗記念法要において、親鸞聖人の生き方に学び、次の世代の方々にご法義がわかりやすく伝わるよう「浄土真宗のみ教え」と題する文章を、皆さまにお示しいたしました。今日の「参拝のしおり」にも掲載されていますので、ご覧いただき、折に触れてご唱和いただきたいと思います。また現在、宗派、本願寺、築地本願寺や全国のお寺では新型コロナウイルス感染症対策の一環として、パソコンやスマートフォンを利用してみ教えをお伝えしたり、法要にご参拝いただく取り組みも行っていますので、ご自宅でもみ教えに触れるご縁にしていただきたいと思います。
宗祖親鸞聖人があきらかにされた浄土真宗のみ教えは、約800年にわたって連綿と今日の私たちにまで受け継がれてきました。そして、今後も時代に対応した方法も取り入れながら、次の世代の方々にみ教えが幅広く伝わり、また、本山本願寺が大切に護持されていきますように共々に努めてまいりましょう。本日はようこそご参拝くださいました。
本願寺新報2022(令和4)年 5月1日号掲載