前門様のお言葉

法統継承式 前門さま「お言葉」

法話2014/06/06

 おかげさまで、この日を迎えることができました。

 退任に際して、申すべきことは、昨日発布いたしました消息に記したとおりですが、かさねて、感謝の意を表し、少し、補足いたします。

 まず、在職37年2カ月の間、宗門の歩みを共にし、私と坊守裏方を支え、助けてくださった方々に、心より、感謝申しあげます。力の及ばなかった点が多々ありますが、皆さま、よく、辛抱してくださいました。それぞれの場で、努力を重ねていらっしゃる僧侶、寺族、門信徒の方々の姿に励まされた37年でした。

 印象に残る事柄はたくさんありますが、あえて、二つだけ申します。

 一つは、組(そ)巡教を果たし遂げることができたことです。多くの方々のお世話になりました。さまざまの貴重な体験をいたしました。なかでも、組の連続研修の成果を実感する得難い機会でありました。

 もう一つは、念仏奉仕団のことです。宗祖聖人にお礼をし、自発的にご奉仕してくださることは、まことに有り難いことです。これこそ、本願寺は、平生もいきいきとしたお寺であることがわかる大事な活動です。

 この際、一つだけ、希望を申します。私たちの宗門は長い伝統がありますが、それだけに、いささか閉鎖的になり、仲間が増えることを喜ばない場合があります。御同朋(おんどうぼう)とは、一切衆生であるという考えもあります。現実的に考えて、そこまでは難しいとしても、同じ、宗祖のみ教えをいただくもの同志、広いこころで新しい朋(とも)を受けいれていきたいものです。

 今後は、新しい本願寺住職・門主、坊守・裏方と共に、時代即応の、さらには、時代を先取りした活動を進めてくださることを願っております。


 長い間、有り難うございました。

本願寺新報2014(平成26)年6月10日号掲載
(WEBサイト用に体裁、ふりがな等を調整しております)