前門様のお言葉

春の法要(立教開宗記念法要)  ご門主法話(ご親教)

法話2008/04/15

新「教章」をご制定
「身近に備え、折りにふれて参照」を

ご門主が春の法要ご親教で

四月十三日から十五日まで、本山の恒例法要「春の法要(立教開宗記念法要)」が総御堂で営まれ、約一万人が参拝した。十五日午前十時三十分からの法要に引き続き行われたご親教で、ご門主は「浄土真宗の教章」を述べられた。「教章」は昭和四十二年四月に当時のご門主(勝如上人=前門さま)が制定され、その後四十年余り、「門徒の規範」とされた。昨年九月に「宗制」が改正されたことを受け、ご門主が新しい「教章」を制定された。


 宗祖親鸞聖人の御誕生八百年・立教開宗七百五十年を控えた一九六七(昭和四十二)年四月、当時の宗門を憂えられた大谷光照門主が「浄土真宗の教章」を定められ、親鸞聖人の流れをくむものとして、心に銘ずべき肝要を示されました。以来四十年余り、そのご教示は、浄土真宗門徒の信仰生活の規範となってきました。

 一方、宗門は一九四六(昭和二十一)年に制定された「宗制」を根本にして活動してきましたが、このたび「宗制」が改正され、時代を超えた不変のことがらと時代に即応すべきことがらが整えられました。

 それにともなって、新しい教章を制定いたします。

浄土真宗の教章(私の歩む道)

宗名(しゅうめい) 浄土真宗 ( じょうどしんしゅう )
宗祖(しゅうそ)
(ご開山(かいさん))
親鸞聖人(しんらんしょうにん)
ご誕生(たんじょう) 1173年5月21日 ( 承安(じょうあん) 3年4月1日)
ご往生(おうじょう) 1263年1月16日 ( 弘長(こうちょう) 2年11月28日)
宗派(しゅうは) 浄土真宗本願寺派(じょうどしんしゅうほんがんじは)
本山(ほんざん) 龍谷山(りゅうこくざん)  本願寺(ほんがんじ) (西本願寺(にしほんがんじ) )
本尊(ほんぞん) 阿弥陀如来(あみだにょらい) (南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ))
聖典(せいてん) ・釈迦如来(しゃかにょらい) が 説(と) かれた「浄土三部経(じょうどさんぶきょう)」
『仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)』 『仏説観無量寿経(ぶっせつかんむりょうじゅきょう)』 『仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)』
・宗祖 親鸞聖人 (しゅうそしんらんしょうにん)が 著述(ちょじゅつ)された 主(おも)な 聖教(しょうぎょう)
『正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)』 (『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』 行巻末(ぎょうかんまつ)の 偈文(げもん))
『浄土和讃(じょうどわさん)』 『高僧和讃(こうそうわさん)』 『正像末和讃(しょうぞうまつわさん)』
・中興(ちゅうこう)の祖 (そ)  蓮如上人(れんにょしょうにん) のお手紙(てがみ)
『御文章(ごぶんしょう)』
教義(きょうぎ) 阿弥陀如来(あみだにょらい)の本願力 (ほんがんりき) によって 信心(しんじん)をめぐまれ、 念仏(ねんぶつ)を 申(もう)す 人生(じんせい)を 歩(あゆ)み、この世 (よ)の縁 (えん)が 尽(つ)きるとき 浄土(じょうど)に 生(う)まれて 仏(ぶつ)となり、 迷(まよ)いの 世(よ)に 還(かえ)って 人々(ひとびと)を 教化(きょうけ)する。
生活(せいかつ) 親鸞聖人(しんらんしょうにん)の 教(おし)えにみちびかれて、 阿弥陀如来(あみだにょらい) の み心(こころ)を 聞(き)き、 念仏(ねんぶつ)を 称(とな)えつつ、つねにわが 身(み)をふりかえり、 慚愧(ざんぎ)と 歓喜(かんぎ)のうちに、 現世祈祷(げんぜきとう)などにたよることなく、 御恩報謝(ごおんほうしゃ)の 生活(せいかつ)を 送(おく)る。
宗門(しゅうもん) この宗門(しゅうもん)は、 親鸞聖人(しんらんしょうにん)の 教(おし)えを 仰(あお)ぎ、 念仏(ねんぶつ)を 申(もう)す 人々(ひとびと)の 集(つど)う 同朋教団(どうぼうきょうだん)であり、 人々(ひとびと)に 阿弥陀如来(あみだにょらい)の 智慧(ちえ)と 慈悲(じひ)を 伝(つた)える 教団(きょうだん)である。それによって、 自他(じた)ともに 心豊(こころゆた)かに 生(い)きることのできる 社会(しゃかい)の 実現(じつげん)に 貢献(こうけん)する。

 この「教章」は、わが宗門に集う方々に、ぜひ心得ていただきたい浄土真宗の要旨であるとともに、新たにご縁のできた方に、み教えを理解していただくための手引きでもあります。

 私たちは、近く宗祖親鸞聖人の七百五十回大遠忌をお迎えいたしますが、この大遠忌を機縁に、先人の方々が身をもって伝えてくださった親鸞聖人のおこころを深く受けとめ、浄土真宗のみ教えを混迷の時代を導く灯火として高く掲げ、人々に広く伝えながら、ともに世の安穏をめざして歩みたいと思います。

 この「教章」を身近に備え、折りにふれて参照し、浄土真宗に親しんでくださるよう期待いたします。


二〇〇八(平成二十)年四月十五日
門主  大谷 光真

本願寺新報2008(平成20)年4月20日号掲載
(WEBサイト用に体裁、ふりがな等を調整しております)