仏教語豆事典

我慢(がまん)

 強情な態度≒耐え忍ぶ姿

 阪神・淡路大震災のとき、ワシントン・ポスト紙は「多くの被災者のキーワードはGAMANだ。GAMANとは困難に耐える意味の日本語で、ここでは大切な美徳なのだ。市民たちはお互いに、我慢、我慢と助け合って苦難を乗り越えようとしている」と伝えました。
 我慢は、辛抱しんぼうすること、堪え忍ぶことを指し、よい意味に用いられています。
 この我慢は、仏教語なのですが、あまりよい意味ではないのです。自分の中心に「」があるとの考えから、我をたのんで自らを高くし、他をあなどることと説明しています。仏教では、そのようなおごりたかぶる心を七つ挙げ、「七慢しちまん」と称していますが、我慢もその一つです。
 それが、我が強い、負けん気が強い、がんばる、辛抱するなどと変化したようです。それにしても良くない意味の語が、よい意味の語に変化していったのはおもしろいですね。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載