仏教語豆事典

醍醐味(だいごみ)

 カルシウムを加えればあの飲物

 「ホームランこそ野球の醍醐味だよ」と、何ものにもかえられない楽しさ、真骨頂、妙味を醍醐味といっています。ゴルフの醍醐味、スキーの醍醐味という具合です。

 『涅槃経ねはんぎょう』に、「五味ごみ」が説かれています。それは、「牛乳を精製していくと、その味は、乳味にゅうみらく味→生酥しょうそ味→熟酥じゅくそ味と、しだいに美味しいものに変化し、最後の醍醐味になると、最高の味になる。その最高の味こそ涅槃の境地である」というのです。

 また、仏の最上の教法にたとえる場合もあります。

 醍醐味はサンスクリット語で「サルピス・マンダ」といい、純粋なバター状のものだったそうですが、このサルピスに当時流行のカルシウムを加えて「カルピス」という名がついたそうで、命名者は仏教学者の渡辺海旭かいぎょく師であると聞きました。

 いずれにしても、醍醐味が満喫できれば、たいへん幸せなことですね。

本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より転載