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盛んな2部合掌 「宗報」2011(平成23)年9月号掲載 新たな始まり 親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画の現状 vol.43
 本願寺仏教音楽・儀礼研究所では、宗門長期振興計画「教学・伝道の振興」のうち、重点項目④「伝道態勢の整備」の事業として、各種仏教音楽作品の楽譜編纂に取り組んでいます。今回は、その一環として刊行中の『2部合唱 讃歌集』(全10巻、既刊第1~6巻)について紹介いたします。

1.2部合唱が中心

 仏教讃歌は、明治以降に興った新しい仏教文化のひとつです。特に、今日の私たちの宗門においては、婦人会をはじめとする教化団体の活動の一環として採り入れられており、その多くは、2部合唱で行われています。本願寺仏教音楽・儀礼研究所にも、仏教讃歌の2部合唱用の楽譜を提供してほしい、という声が寄せられています。

2.少ない2部合唱の作品

 一般に合唱といえば、芸術性が重んじられるクラシック音楽の一つに分類され、男声4部や女声3部、混声4部という編成で行われています。
 私たちの宗門でも、昭和の初めごろから、龍谷大学の男声合唱団や京都女子高等専門学校(現京都女子大学)の女声合唱団が、顕著な活動を行っていたこともあり、仏教讃歌にも混声4部や男声4部、女声3部等の合唱作品は、決して少なくありません。清水脩のカンタータ《歎異抄》や平井康三郎の《大いなる哉》など、著名なクラシックの作曲家による大規模な作品も、存在しているほどです。
 しかし、2部合唱用の作品は、既存曲の編曲版を含んでも、近年まで限られた点数しかありませんでした。その理由は、2部合唱による仏教讃歌活動が隆盛を見せはじめたのが比較的近年であるためです。

3.近年盛んな2部合唱

 前述のように、合唱活動そのものは、私たちの宗門においても昭和の初期から見られるものでした。しかも当時は、どちらかといえば合唱(あるいは音楽)の好きな宗門人が中心となって、合唱活動を縁とする集団=合唱団を組織し、そのなかでお法の歌を演奏するというものでした。そのため、音楽の技術面に集中し、演奏レベルの向上を目指すことが可能だったのです。
 それに対し、今日私たちの宗門における合唱活動は、お法をご縁とする各種教化団体のなかでのもので、必ずしも合唱が好きな人ばかりとは言えない状況にあります。ですから、音楽的に高度な技術を要する3部や4部の合唱は、かなり敷居の高いものといわざるを得ないのが現実で、残念ながら宗門の隅々まで浸透するには至りませんでした。
 その点、2部合唱は、技術的に、それほど難しくなく、音楽を数ある教化活動のひとつと捉える各種教化団体にとっては、ちょうど良いレベルであるようです。また私たちの宗門では、2部合唱で行う御堂演奏会が始まった平成元年ごろから、お寺の教化団体で合唱を始めたという声も、各地で聞かれるようになりました。

4.お法の歌だからこそ - サンガの文化として

 一般の合唱団は、その活動において、合唱そのものを目的とするため、演奏技術を取得し、良い演奏を目指すことが、もっとも優先されます。しかし、各種教化団体における仏教讃歌活動は、あくまで「教化活動」のひとつであり、合唱という音楽文化には、そこに所属する人たちを結びつけ、ともにお法を味わうための「道具」としての役割が見いだされます。
 つまり、音楽が目的か過程(あるいは手段)という違いが、そこにはあるのです。そのため、仏教讃歌活動を音楽のレベルにおいてのみ判断するのは、決して的を射た評価とは言えません。仏教讃歌においては、常に音楽活動の向こう側を意識したいものです。

5.『仏教讃歌2部合唱』(全10巻)について

 本願寺仏教音楽・儀礼研究所では、このような2部合唱による仏教讃歌活動を重視し、『仏教讃歌 2部合唱』の編纂、刊行を行っています。既刊分の第1~6巻に加え、この秋には、第7~10巻が刊行となり、これら全10巻によって、新作をも含めた約70点の2部合唱用の楽譜が揃う予定です。
 この楽譜集の刊行によって、宗門の合唱活動が、さらなる盛り上がりを見せることになれば幸いです。
(教学伝道研究センター)