
宗門長期振興計画の重点項目⑭「宗務機能の点検と拡充」の中で、宗務ネットワークや公益法人制度改革を視野に入れたコンピュータ会計システムの構築をすすめています。
2006(平成18)年に公益法人制度改革に関する3法律「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が国会で成立しました。新しい公益法人制度は、従来の主務官庁による公益法人の設立許可制度を改め、登記のみで法人(一般社団法人・一般財団法人)が設立できる制度が創設されるとともに、一般社団法人・一般財団法人のうち公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人については、民間有識者による委員会または合議制の機関の意見に基づき、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)の認定を受けて公益社団法人・公益財団法人となるという内容です。
この公益法人制度改革にともない、法人税法および従来からの「公益法人会計基準」も改正されました。今回の公益法人制度改革は、民法に基づく法人(社団法人、財団法人)と、中間法人に代えて、新たな非営利法人を制度化するもので、「特別法に基づく公益法人等」(学校法人、社会福祉法人、宗教法人、NPO法人等)の私法上の位置づけの変更はありませんでしたが、税制上は社団法人、財団法人も宗教法人と同じ公益法人等のため、公益法人制度改革による税制改正は宗教法人にも影響があるといわれています。
宗教法人会計については、2001(平成13)年に日本公認会計士協会による「宗教法人会計の指針」が示されています。このたびの公益法人制度改革における宗教法人への今後の影響を考慮し、宗教法人においても「指針」ではなくあらたな「基準」となる制度会計が将来的に制定されることを想定したうえで、複式簿記によるコンピュータ会計システムを導入すべく検討を重ねてきました。
まず、宗派顧問税理士や専門家による現行会計業務の問題点の洗い出しを行うため、「宗教法人会計の指針」で示されている会計処理が行われているか、宗務所や教務所、直属寺院の現行の会計業務について調査を実施しました。また総局公室長を委員長とし宗務所の関係部長を委員とした「コンピュータ会計システム検討委員会」を設置し、システム構築における諸課題や運用について協議を行ってまいりました。この委員会には検討内容に応じた専門部会を設け、関係部署の実務担当者による意見を集約して、次のようなコンピュータ会計システムを構築する運びとなりました。
まず、宗務所におけるコンピュータ会計システムを、本年半ばよりテスト期間的に現行のものと並行稼動し、本稼働は来年度からといたします。宗務所で稼動し明らかになった課題や問題点をクリアしたうえで、将来的には教務所や直属寺院など宗務機関への導入を検討していく予定です。このシステムを活用し、皆様から寄せられましたご浄財や本願寺、宗派財産のさらなる適正管理につとめてまいります。
(財務部)