ご消息・ご親教

新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)についての消息

ご消息2023/01/16

 本年3月には、「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」という記念すべきご勝縁をお迎えいたします。このたびの慶讃法要は、親鸞聖人の立教開宗のご恩に深く感謝し、同じお念仏の道を歩む者同士が、あらためて同信の喜びを分かち合うためのご法要です。また、これを機縁として、特に若い人やこれまで仏教や浄土真宗に親しみのなかった人など、一人でも多くの方々に浄土真宗とのご縁を結んでいただきたいと思います。

 伝道教団を標榜する私たちにとって、真実信心を正しく、わかりやすく伝えることが大切であることは申すまでもありませんが、そのためには時代状況や人々の意識に応じた伝道方法を工夫し、伝わるものにしていかなければなりません。このような願いをこめ、令和3年・2021年の立教開宗記念法要において、親鸞聖人の生き方に学び、次の世代の方々にご法義がわかりやすく伝わるよう、その肝要を「浄土真宗のみ教え」として示し、ともに唱和していただきたい旨を申し述べました。

 浄土真宗では蓮如上人の時代から、自身のご法義の受けとめを表出するために『領解文』が用いられてきました。そこには「信心正因・称名報恩」などご法義の肝要が、当時の一般の人々にも理解できるよう簡潔に、また平易な言葉で記されており、領解出言の果たす役割は、今日でも決して小さくありません。

 しかしながら、時代の推移とともに、『領解文』の理解における平易さという面が、徐々に希薄になってきたことも否めません。したがって、これから先、この『領解文』の精神を受け継ぎつつ、念仏者として領解すべきことを正しく、わかりやすい言葉で表現し、またこれを拝読、唱和することでご法義の肝要が正確に伝わるような、いわゆる現代版の「領解文」というべきものが必要になってきます。そこでこのたび、「浄土真宗のみ教え」に師徳への感謝の念を加え、ここに新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)として示します。

 

南無なも阿弥あみぶつ

「われにまかせよ そのまますくう」の 弥陀みだのよびごえ

わたし煩悩ぼんのうほとけのさとりは 本来ほんらいひとつゆえ

「そのまますくう」が 弥陀みだのよびごえ

ありがとう といただいて

この愚身をまかす このままで

すくられる ねんじょう

ぶっとん報謝ほうしゃの お念仏ねんぶつ

 

これもひとえに

しゅう親鸞しんらん聖人しょうにん

法灯ほうとう伝承でんしょうされた 歴代れきだい宗主しゅうしゅ

とうといおみちびきに よるものです

 

おしえをりどころにきるもの となり

すこしずつ とらわれのこころを はなれます

かされていることに 感謝かんしゃして

むさぼり いかりに ながされず

おだやかなかおと やさしいこと

よろこびも かなしみも かち

日々ひびに 精一杯せいいっぱい つとめます

 

この新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)を僧俗を問わず多くの方々に、さまざまな機会で拝読、唱和いただき、み教えの肝要が広く、また次の世代に確実に伝わることを切に願っております。

 

   令和5年・2023年 1月16日

龍谷門主  釋  専  如