親鸞聖人750回大遠忌法要は無事円成いたしました。多くの方々のご参拝、誠にありがとうございました。
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画

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本願寺デジタルアーカイブ事業について 2 「宗報」2008(平成20)年3月号掲載 新たな始まり 親鸞聖人750回大遠忌宗門長期進行計画の現状 vol.4
宗門長期振興計画の重点項目⑪「現代社会への貢献」のうち「文化財の保護と活用」として、『本願寺デジタルアーカイブ事業』を推進しています。

前回は、その概要と意義、そしてデジタル撮影でわかってきたことなどをあげましたが、今回は、デジタルアーカイブ事業で使用されているカメラシステムなどの特徴、複製品について具体的に列記いたします。

1 カメラ市場の過渡期

本願寺の障壁画(しょうへきが)には、大きな特徴があります。それは、

(1)大型の障壁画がある。 
(2)障壁画の大半が金箔地に描かれている。
(3)「貼り付け」と呼ばれる壁から取り外すことができない障壁画がある。

などです。

これらの特徴を持った障壁画を超高精細でデジタル撮影するためには、特に解像度の高いレンズと、高精細で撮影できるカメラが不可欠です。たとえ、どんなにデジタルカメラが普及しても、小型化、多機能化に特化してきている市販のデジタルカメラで撮影されるデータでは不十分です。

また同様に、各地で行われているデジタルアーカイブで採用されている大型スキャナーや、4×5判(しのごばん)といわれる大判カメラで撮影するといった方法を駆使したとしても、原寸複製を作成するためのデータとしては不十分であることがわかりました。

しかし幸いにも、街の写真館には、黒い布を頭から被って撮影するような大判カメラがまだまだ見られます。これが、このたび、特徴ある本願寺の障壁画のデジタル撮影を可能にしたシステム開発の糸口となりました。

2 世界にひとつのデジタルカメラシステム

本願寺のデジタルアーカイブで使用されているカメラシステムは、世界にたったひとつしかないものです。 このカメラシステムでは、デジタルハイビジョンテレビの250倍=有効画素数およそ5億画素、障壁画を原寸複製することが可能な超高精細画像で撮影することができます。

このシステムは、現在すでに製造中止になっている大判カメラ用レンズを8×10判(エイト・バイ・テン)と呼ばれる大判カメラに装着し、フィルムの替わりに世界最高水準の画素でデジタル撮影できるデジタルセンサー(カメラバック)を取り付けるというシステムです。

これによって、大判カメラの中に映し出される障壁画を4分割で撮影して、光が乱反射する金箔地の影響を受けることなくひとつにつなげることができます。

まさしく、フィルムカメラとデジタルカメラが共存する過渡期の“今”だからこそ組むことができたカメラシステムです。 ただし、このシステムで障壁画1枚撮影するために必要な時間は、4分割撮影でおよそ2時間です。また、撮影の間たった1回数ミリでも振動しただけで、画像がぶれるため、再撮影になります。

それらの時間的なロスを限られた撮影期間内で相殺するため、原寸複製の作成に必要な画像を撮影するためのもうひとつのシステムとして、簡易レールの上を移動する天井画専用のカメラシステムも導入されました。

これら2つのカメラシステムによって、昨年末までに障壁画・天井画の約80%の撮影を完了しています。
導入されたカメラシステム「貼り付け」の撮影の様子
導入されたカメラシステム
「貼り付け」の撮影の様子
天井画の撮影の様子
天井画の撮影の様子

(担当 財務部)