親鸞聖人750回大遠忌法要は無事円成いたしました。多くの方々のご参拝、誠にありがとうございました。
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画

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ビハーラ総合施設について 「宗報」2008(平成20)年4月号掲載 新たな始まり 親鸞聖人750回大遠忌宗門長期進行計画の現状 vol.5
宗門長期振興計画の重点項目「⑩地域社会との交流」のうち「ビハーラ活動の充実」としての取り組みをご紹介いたします。

1 これまでの活動とビハーラ総合施設

ビハーラ活動は、生老病死(しょうろうびょうし)の苦しみのなかにある人びとの苦悩や痛みに共感し、その心に寄り添うことで少しでも和(やわ)らげようとする活動として1987(昭和62)年にスタートし、昨年20周年を迎えました。この間、全国には各教区に活動単位として教区ビハーラが設置され、3,000名に及ぶ会員が活動しており、活動の実践者を養成するための「ビハーラ活動養成研修会」もこれまで18回開催し1,000名にのぼる修了者を輩出してきました。

また、全国の活動者や僧侶を中心として、各地にビハーラの理念に基づいた福祉施設等が設立され、活動の受け入れや推進に助力してこられましたが、いまだ宗門独自の活動実践・研修実習を行うための施設を持っておらず、全国の活動者からは、宗派の活動実践施設の設立が切望されていました。

そしてこのたび、親鸞聖人750回大遠忌(だいおんき)法要宗門長期振興計画に基づく「ビハーラ活動の充実」にむけ活動の中心となる、ビハーラ総合施設(特別養護老人ホーム・有床診療所)が京都府南部にある城陽市奈島の地に建設され、本年4月1日より開所となりました。
ビハーラ総合施設(特別養護老人ホーム・有床診療所) ビハーラ総合施設(特別養護老人ホーム・有床診療所)地図
ビハーラ総合施設(特別養護老人ホーム・有床診療所)
地図(※クリックするとPDFで拡大します。)

2 特別養護老人ホーム「ビハーラ本願寺」

特別養護老人ホーム「ビハーラ本願寺」は、宗派が設立母体となって、2006(平成18)年10月5日に設立された、「社会福祉法人本願寺龍谷会」が運営し、ビハーラ活動を福祉の面から支えるものです。鉄筋コンクリート造一部鉄骨造の平屋建で延床面積は約5,200平米となっており、バリアフリーとゆったりとした空間が特徴です。施設の大屋根には太陽光発電装置を備え、施設で使用する電力の一部を供給することで環境対策にも配慮しています。

施設定員は108名(8名はショートスティ)です。入居者はリビングと呼ばれる共有スペースを取り囲むように個室が配置された、「ユニット」という単位のなかで生活します。この方式により、共有スペースであるリビングでは食事など、ほかの入居者や介護職員とともに過ごし、個室では十分にプライバシーを守りながら、家庭的な雰囲気の中で過ごしていただくことができます。
特別養護老人ホーム「ビハーラ本願寺」
さらに地域交流スペースである「安穏(あんのん)ホール」(約260平米)には、ご本尊をお迎えし、朝夕の勤行や定期的な法話会の開催、全国のビハーラ活動の積極的な受け入れ、また今後開催されるビハーラ活動者養成研修会についても、実践実習や研修講義の一部を当施設で開催することを予定しています。

「その人らしい生き方ができるように援助する施設」「利用者の心の不安に寄り添い、悲しみや痛みに共感する慈愛を育んでいく施設」として、ビハーラ活動の実践に努めていきます。

3 有床診療所「あそかビハーラクリニック」

有床診療所「あそかビハーラクリニック」は、本願寺を設立母体として、1901(明治34)年に京都で最初に認可された財団法人である「大日本仏教慈善会財団」が運営し、医療の面からビハーラ活動と連携します。鉄筋コンクリート造の平屋建で延床面積は約1,200平米、病室定員は19名です。この施設では、内科・外科・麻酔科の一般外来のほか、在宅医療支援に加え、終末期における緩和ケアや家族ケア(グリーフケア)等、トータルペイン(全人的苦痛)対応可能な施設をめざして、専門的な知識・経験を持つ医師や看護師を配置し、臨床におけるビハーラ活動実践のため僧侶が常駐しています。

さらに当施設は、ビハーラ専門僧(仮称)を養成する施設としても期待されるほか、この取り組みが進捗することにより、患者やその家族の期待に応えるだけでなく、経験の蓄積および研究、実践的学びを通して、医療とビハーラ活動との連携が可能となり、さらにはお念仏の心をもった医療関係のスタッフを養成する場ともなります。

また、この診療所にはお内仏を安置し、仏事や各種つどいに対応できる「ビハーラホール」があり、効果的な照明の配置やステンドグラスを使用した荘厳な空間になっています。ほかにも、家族の方にお泊まりいただける「ファミリールーム」(和室2室)や、食事をともにし家族団欒(だんらん)のときを過ごしていただけるよう、談話室にはオープンキッチンを設けています。
ビハーラホール
ビハーラホール
この両施設を中心として、仏教(み教え)、福祉(特養)、医療(診療所)の連携のもと、ビハーラ活動の更なる推進を図っていきたいと思います。

(担当 社会部)
◆ ビハーラについて
「ビハーラ」(Vihara)とは、サンスクリット語で、「精舎(しょうじゃ)・僧院」「心身の安らぎ・くつろぎ」「休息の場所」を原意とします。