
親鸞聖人七百五十回大遠忌宗門長期振興計画の「社会的活動の展開」のうち重点項目⑪「現代社会への貢献」の一環として、「本願寺の森」ネットワークを設置し、森林保護、自然保護など環境問題への取り組みを進めていくことになりました。今回は、今後の事業展開の概要について説明いたします。
本事業は、人びとの繋がりの中で、自然を大切にする心を広げることが、環境問題へ向き合うあり方であると考え、寺院や僧侶・門信徒等がそれぞれの立場で森林を保護し、また、植林・植栽を行っていくような、それぞれに推進できる運動として展開していきます。
主な概要として、寺院や門信徒等の方が所有または管理する樹林(複数の樹木からなる森や林など)、境内や家庭で育てている樹木を写真入りで「本願寺の森」ネットワークに登録していただき、全国の登録樹木や樹林が閲覧できるよう「本願寺の森」ホームページを開設いたします。また、登録者には、「本願寺の森」登録証を発行するとともに、登録者専用ページを設け、登録された樹木・樹林の写真を成長にあわせて更新することもできます。
なお、本事業の開始並びにホームページの開設は、本年十月一日を予定しております。
![]() |
![]() 開設予定の「本願寺の森」ホームページより |
※ホームページの公開は終了しました
『親鸞聖人七百五十回大遠忌についての消息』では、現代社会の課題として、「仏教の説く縁起の道理が示すように、地球上のあらゆる生物非生物は密接に繋がりを持っています。ところが今日では、人間中心の考えがいよいよ強まり、一部の人びとの利益追求が極端なまでに拡大され、世界的な格差を生じ、人類のみならず、さまざまな生物の存続が危うくなっています。」と示されています。また、宗門の『基幹運動総合基本計画』では、「今日の社会は、人間中心・自己中心の考えがいよいよ強まり、『環境破壊』『人権抑圧』など、多くの問題を引き起こしています。」とも表現されています。
このような現状のもと、宗門としては、大遠忌をご縁に「本願寺の森」ネットワークを設置し、森林保護、自然保護など環境問題への取り組みを進めていくことになりました。
これは、各地にある山林や、家庭で育てている樹木の所有者が「本願寺の森」ネットワークに樹木を登録いただくことを、宗門として進めていこうというものです。
先の消息や計画書にもあるように、そもそも環境問題は、人間中心の考え方が引き起こした大きな課題であります。その中で私たちは、人びとの繋がりの中で、自然を大切にする心を広げることが、宗門として環境問題へ向き合うあり方であると考えました。誕生や入学、結婚など人生の節目の植樹により家族の繋がりがもたれ、寺院・団体の記念行事などに行う植樹や、既存の森や林の登録をきっかけとして、さまざまな人が協力し整備することにより、人間関係が広がっていくなど、いろいろな関わり方とその効果が想定されます。
もとより、環境問題に対する啓発や学習、自然や環境を楽しむさまざまな取り組みも大切に進めていかなければなりませんが、まず、私たち自身が念仏を喜ぶものとして、環境を守り育てていく心の繋がりと広がりを作っていくこと、世界に広がり繋がるインターネットなどを用いこの思いを世界に発信すること、また、世界の取り組みと連携していくことで、誰にでもでき、しかも個人に留まらない具体的な歩みとしたいと思います。
浄土真宗本願寺派の寺院や僧侶・門信徒の方、および活動趣旨にご賛同いただいた方を対象といたします。
家庭で育てている樹木、寺院・地域の樹林(複数の樹木からなる森や林など)を対象とし、所有者(管理者)本人か、所有者(管理者)の了解を得ていることといたします。