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親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画

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大谷本廟境内地整備工事 修理の概要 『宗報』2009(平成21)年3月号掲載 新たな始まり 親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画の現状 vol.15
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画「宗務機能の整備・拡充」のうち、重点項目⑮「境内地等の整備」において大谷本廟における整備事業を進めてきました。

1 はじめに

現在、浄土真宗本願寺派本願寺では、平成23年に迎える親鸞聖人750回大遠忌法要に向け、さまざまな境内整備事業が行われています。その事業の一環として、大谷本廟でも平成18年から各建物の修理が行われてきました。
ここでは概略ではありますが、大谷本廟各建物の修理の概要について紹介します。

2 建物・修理の概要

≪平成18年度≫
①明著堂(めいちょどう)1907(宝永6)年建築

礎石(そせき)の沈下、柱の傾斜が生じており、小屋内部では蟻害(ぎがい)が見られました。修理は屋根葺替(ふきかえ)や軸部の建て起こし、不陸(ふりく)修正のほか、建物四隅に補強用建具を建て込むなどの構造補強を行いました。また、明著堂背面渡り廊下、唐門、祖壇(そだん)正面渡り廊下についても、屋根葺替と部分修理を行いました。

②旧納骨所(きゅう のうこつしょ)1939(昭和14)年建築
柱・土台に蟻害や腐朽(ふきゅう)が見られ、軒先(のきさき)の一部で樹木のため欠け屋根となり雨漏りによる腐朽が見られました。修理は土台の繕い、軒先欠損部の復旧、外壁漆喰(しっくい)上塗替などの部分修理を行いました。
大谷本廟境内配置図
大谷本廟境内配置図
③土塀(どべい)
基礎の石垣が著しく沈下し、孕(はら)み出しが生じており、塀全体が傾斜しておりました。周囲の状況から石垣の積み直しが困難なため、一部を解体撤去し、長押塀(なげしべい)の新設を行いました。

④透塀(すきべい)
腰長押(こしなげし)に蟻害、腐朽が生じ、菱格子(ひしごうし)にも風蝕(ふうしょく)による破損が見られました。修理は木部・菱格子の繕い、基壇葛石(きだんかづらいし)の据え直しなどを行いました。

⑤明著堂正面拝所(めいちょどう しょうめん はいしょ)
テント張りの拝所がありましたが、今回の整備に合せて撤去し、新たに明著堂正面唐破風(からはふ)の意匠(いしょう)を基に拝所を新築しました。
明著堂・正面拝所
明著堂・正面拝所
≪平成19年度≫
①仏殿(ぶつでん)1870(明治3)年再建

屋根瓦の破損が見られ、軒先瓦にずれが生じ垂下している部分もありました。修理は屋根葺替、基壇敷石の補修、縁板(えんいた)の締め直し、物入の新設、舞良戸(まいらど)の漆塗などを行いました。

②御黒戸(おくろど)1911(明治44)年移築
内部に雨漏りが見られ、襖絵(ふすまえ)が経年劣化や雨漏りにより著しい亀裂や汚損が見られたほか、長押の折損、亀腹(かめばら)の漆喰剥落が見られました。修理は屋根葺替、木部の繕い、漆喰壁の上塗替、襖絵の補修などを行いました。

③唐門(からもん)
葛石や敷石に不陸が生じ、軒先木部が腐朽していました。修理は屋根葺替、敷石据え直し、木部繕いを行いました。

④長押塀(なげしべい)
基礎石の不陸や塀の傾斜が著しく、土台や控柱(ひえばしら)も腐朽していました。修理は南側を残して解体修理を行いました。
仏殿 唐門・御黒戸
仏殿
唐門・御黒戸

≪平成20年度≫
①総門(そうもん)1710(宝永7)年建築  1796(寛政8)年改築

門扉の框(かまち)などに損傷が見られたため、門扉の繕いや木口胡粉塗(こぐちごふんぬり)の塗り直しなどを行いました。

②築地塀(ついじべい)
南西部の基壇石積みが著しく沈下し、軸部に歪みが生じていました。また屋根瓦に葺きずれが生じ、軒廻り木部の腐朽も見られました。修理は、南西部基壇石積み直し、屋根葺替、浅黄(あさぎ)漆喰壁の上塗替などを行いました。

③太鼓堂(たいこどう)1870(明治3)年再建
柱の傾斜が著しく、木部に蟻害や腐朽が見られ、2階柱が沈下しており、屋根瓦に葺きずれや破損が生じていました。修理は屋根葺替、軸部の建て起し、木部の繕い、漆喰壁の上塗替などを行いました。

④鐘楼(しょうろう)1870(明治3)年再建
木部の蟻害、袴腰板(はかまこしいた)の腐朽、屋根瓦の破損が生じていました。修理は屋根葺替、袴腰板及び土台の取替、木口胡粉塗の塗替などを行いました。

⑤二天門(にてんもん)1937(昭和12)年再建
敷石の乱れ、上層軒先の腐朽、屋根瓦の割れなどが見られました。修理は屋根葺き替え、敷石据え直し、木口胡粉塗の塗替などを行いました。また両脇の長押塀も木部繕い、漆喰壁の上塗替などを行いました。
築地塀屋根本瓦葺完了 太鼓堂屋根本瓦施工中
築地塀屋根本瓦葺完了
太鼓堂屋根本瓦施工中
鐘楼巣屋根撤去完了 二天門屋根銅板葺施工中
鐘楼巣屋根撤去完了
二天門屋根銅板葺施工中

3 おわりに

大谷本廟の建物は1867(慶応3)年、二天門からの出火により仏殿をはじめとする多くの建物が焼失し、明治期に再建されたものです。明治の再建とはいえ、その技術は江戸時代から継承した優れた技術と伝統の蓄積によって構築されています。
今回行われた工事の多くは、再建後初めての本格的な修理でした。今回の修理により、貴重な建造物の歴史と文化を将来に受け継ぐこととなりました。