親鸞聖人750回大遠忌法要は無事円成いたしました。多くの方々のご参拝、誠にありがとうございました。
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画

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「教学」シンポジウムについて 『宗報』2010(平成22)10月号掲載 新たな始まり 親鸞聖人750回大遠忌宗門長期計画の現状 vol.33
本願寺教学伝道研究所では、宗門長期振興計画の重点項目⑤「時代に即応する教学の振興」にかかる企画の一つとして教学シンポジウムを開催しています。このシンポジウムは「現代にいきる親鸞聖人」をコンセプトに掲げ、2006(平成18)年から2011(平成23)年までの計6回、総合テーマを『親鸞聖人の世界』として開催しています。

1 今年の「教学シンポジウム」

 毎年、教学シンポジウムは、本願寺聞法会館にて開催され、多くの方のご参加をいただき、好評を得てきました。
 今年の教学シンポジウムは、東京の築地別院を会場に、「現代における宗教の役割―葬儀の向こうにあるもの―」をテーマとして開催します。

東京にて開催
 近年、書籍・雑誌を中心として「葬儀」をめぐる議論が活発になっています。現在では葬儀に対する意識が大きく変わり、葬儀の規模や形式をはじめ、葬儀そのものの要・不要さえも問題とされるようになってきました。
 例えば「直葬」や「無宗教葬」などのニーズが増え、宗教的要素を排除した葬儀が増加しています。またインターネットやマスメディアの情報によって、葬儀を取り巻く事情が大きく変わりつつあります。
 このような、かつては想像もしなかった葬儀に対する意識の変化や現象は、従来のご縁が希薄化している都市部、特に首都圏で顕著に表れていると言われています。
 そこで、「現代における宗教の役割―葬儀の向こうにあるもの―」をテーマとした教学シンポジウムを、東京で開催することとなりました。

宗務首都圏センターとの共催
 毎年、本願寺宗務首都圏センターでは、「西本願寺公開講座」が開催されています。2009 (平成21)年度は、関心の高まってきた「葬儀」をテーマとして、「死に向き合う~葬儀の場を通して~」が開催されました。
 従来から西本願寺公開講座の企画などには、教学伝道研究センターとの共催で、「西本願寺公開講座(教学シンポジウム)」として開催することとなりました。

葬儀を切り口として
 現代の葬儀に対する意識の変化や現状は、都市部だけにとどまるものではありません。メディアを媒体として、各地域に浸透しつつあることも事実です。
 今回の教学シンポジウムのテーマは「現代における宗教の役割―葬儀の向こうにあるもの―」です。これは、「葬儀」を切り口とすることによって、現代の宗教に対する意識や現状を、明らかにうかがうことができるのではないかと考えたからです。
 葬儀は単なる人生の通過儀礼という意味だけではありません。悲嘆にくれる心情の問題はもちろんのこと、宗教的な意義やさまざまな課題が複雑に絡みあっています。
 そこで、葬儀の現象面だけに視点を置くのではなく、葬儀が本来もっていた本質を改めて考えてみたいと思います。このことによって、宗教に対する意識や現状が明らかにされ、現代における宗教の役割を共に考えることのできるシンポジウムを企画しました。

プログラムの概要
 現代の葬儀に対する意識やニーズが変化する背景には、経済的な理由はもちろん、少子高齢化、地域コミュニティの弱体化、自分らしい葬儀の模索、多様な価値観を肯定する風潮、従来の寺院と門信徒とのご縁のあり方の変容、宗教離れ、などさまざまな要因が指摘されています。
 確かに経済的な問題は重要ですし、「少子高齢化」も日本社会が抱える重要な問題であり、決して軽視することはできません。
しかし葬儀を、現代の社会状況に起因する意識や現象の変化の側面からのみ捉えてしまえば、葬儀の本来もっていた重要な意義を見逃してしまうでしょう。 
 そこで、※「グリーフケア」「僧侶」「宗教」という葬儀の根幹に関わる三つの視点からの提言・コメントをいただき、葬儀の本質、変化してはいけない側面を明らかにしていきたいと考えています。
 まず、「グリーフケア」の視点から、葬祭ディレクターでありリメンバー名古屋自死遺族の会代表幹事をされている鷹見有紀子氏に提言をいただきます。
 次に、「僧侶」の視点から、龍谷大学実践真宗学研究科の教授であり、浄土真宗本願寺派の住職でもある清岡隆文氏に、提言をいただきます。清岡氏は関西の出身で、日頃からご門徒さまと密接な関係を持たれており、葬儀などの仏事を勤められています。いま問題となっている葬儀に対し、僧侶としての立場から、思いや取り組みなどをお話いただきます。
 これらの提言をふまえ、東京大学教授で宗教を研究されている島薗進氏をコメンテーターとして交え、ディスカッションを行います。
 立場が異なる三人の先生方の議論から、さまざまな課題が絡まりあっている「葬儀の向こうにあるもの」が明らかになることでしょう。
 最後に、コメンテーターの島薗氏に、総括コメントをいただきます。現代の葬儀事情を通し、葬儀の本来的意味を議論することによって、現代における宗教の役割や意義を明らかにしています。

第4回教学シンポジウム ディスカションの様子
第4回教学シンポジウム ディスカッションの様子

2 宗門長期振興計画における「教学シンポジウム」

 教学シンポジウムは、2006(平成18)年から大遠忌法要が勤修される2011(平成23)年までの6年間を通して開催される、まさに長期振興計画ならではの企画です。
 このシンポジウムは、親鸞聖人が明らかにされた浄土真宗のみ教えが、現代に生きる私たちにとっていかなる意味を持つのかを明らかにすることが目的です。
 総合テーマ『親鸞聖人の世界』のもと、浄土真宗のみ教えをさまざまな角度からうかがおうと、毎回異なった次のようなテーマを設定しています。

 第1回 史実と伝承の聖人像
 第2回 念仏の源流
 第3回 浄土
 第4回 真宗の土徳~地域に薫る念仏
 第5回 現代における宗教の役割
      ―葬儀の向こうにあるもの―
 第6回 世界に広がる浄土真宗(仮)

 また、先生方の白熱した議論を、臨場感そのままに読み返すことのできる講演録も随時刊行しております。

3 今後のシンポジウム

 次年度も総合テーマ『親鸞聖人の世界』のもと、「世界に広がる浄土真宗(仮)」を企画しています。シンポジウム全六回を通して、宗祖が明らかにされた浄土真宗を、改めてうかがうことができるでしょう。
 講演録も刊行されますが、実際に来場されて初めて実感できることもあり、何より各分野の専門家から、生で聞かせていただけることは、大きな意味があります。
 皆さまのご参加をお待ちしております。

4 さいごに

 宗祖が示された、阿弥陀如来の救い「浄土真宗」を、現代に生きる私が明らかに聞かせていただくことが、浄土真宗の念仏者として何よりも大切なことは言うまでもありません。
 「教学シンポジウム」は、そのことを確認できる重要な企画です。
 どうぞご期待ください。

(教学伝道研究センター 那須公昭)


※グリーフケアとは遺族の悲嘆(グリーフ)に寄り添い、側面から支える活動のこと

教学シンポジウム記録親鸞聖人の世界(第3回)教学伝道研究センターブックレット

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