親鸞聖人 750回 大遠忌

本願寺教学伝道研究所では、宗門長期振興計画の重点項目⑤「時代に即応する教学の振興」にかかる企画の一つとして教学シンポジウムを開催しています。このシンポジウムは「現代にいきる親鸞聖人」をコンセプトに掲げ、2006（平成18）年から2011（平成23）年までの計6回、総合テーマを『親鸞聖人の世界』として開催しています

2006（平成18）年から大遠忌法要が勤修される2011（平成23）年までの6年間を通して開催される「教学シンポジウム」は、いままでにない、まさに長期振興計画ならではの企画です。
このシンポジウムは、親鸞聖人が明らかにされた浄土真宗のみ教えが、現代に生きる私たちにとっていかなる意味を持つのかを明らかにすることが目的です。
総合テーマ『親鸞聖人の世界』のもと、浄土真宗のみ教えをさまざまな角度からうかがおうと、各回ごとに次のようなテーマを設定しています。

第1回　史実と伝承の聖人像
第2回　念仏の源流
第3回　浄土
第4回　真宗の土徳（どとく）～地域に薫る念仏～
第5回　現代における浄土真宗（仮）
第6回　世界に広がる浄土真宗（仮）

また、先生方の白熱した議論を、臨場感そのままに読み返すことのできる講演録も随時刊行しております。

2006（平成18）年から始まった「教学シンポジウム」は、大遠忌を迎えるに当たって、まず第1回では、宗祖の生涯に焦点を絞り、第2回では、浄土真宗のみ教えの中心である「念仏」に焦点を絞って開催いたしました。
昨年開催した第3回では、浄土真宗のみ教えの根幹となる「浄土」を取り上げ、その世界観をさぐりました。
仏教における仏国土とその世界観、天文学の宇宙観、哲学的視点からみた世界観、そして真宗における浄土など、さまざまな角度から「浄土」をうかがいました。

今年の教学シンポジウムは、浄土真宗の文化や習俗などに焦点をあて、「真宗の土徳～地域に薫る念仏～」というテーマで、12月15日（火）に聞法会館で開催いたします。
親鸞聖人がご往生されてから750年、真宗は人々の生活とともにありました。それは、真宗のみ教えが伝統や習慣として人々の生活に根付き、さまざまな地域とともに歩んできた歴史ともいえるでしょう。
そこで、本願寺周辺地域や各地域に根付く伝統や習慣をみなおし、真宗文化の特色と今後の展望を探っていきます。
今年は、例年と異なり基調講演を置かず、真宗文化の特色について、さまざまな立場の先生方に発表していただきます。
第Ⅰ部では、本願寺とともに歩んできた門前町の特色を取り上げ、本願寺の周辺地域の文化について考えます。
第Ⅱ部では、平成21年4月に修復された御影堂を取り上げ、御影堂修復作業の様子をＮＨＫの映像からうかがい、御影堂のささえるものとは何かについて考えます。
第Ⅲ部では、各地域の真宗文化を取り上げ、各地に真宗の文化がどのように根付き、どう受け継がれたのかをうかがっていきます。
日ごろの何気ない行い、また各地域に脈々と続く伝統や習慣といったものが、実は真宗のみ教えと深くかかわっていることを再発見できるかもしれません。
このシンポジウムにお越しいただければ、皆さまの身近にある真宗文化を再確認することもできるでしょう。
今年のシンポジウムを楽しみにしていただければと存じます。

次年度以降も総合テーマ『親鸞聖人の世界』のもと、各回のテーマに沿って、次のように企画しています。
第5回では、浄土真宗の「いま」について考えます。
第6回では、世界に広がる浄土真宗について考えます。
それぞれのシンポジウムは、講演録を「教学伝道研究センターブックレット」として随時刊行していきます。 総合テーマ『親鸞聖人の世界』のもと開催されたシンポジウム全6回を通して、宗祖が明らかにされた浄土真宗を、あらためてうかがうことができるでしょう。

講演録も刊行されますが、実際に来場されて初めて実感できることもあり、何より各分野の専門家から、生で聞かせていただけることは、大きな意味があるでしょう。 皆さまのご参加をお待ちしております。

教学シンポジウム記録・親鸞聖人の世界（第2回） 教学伝道研究センターブックレット

宗祖が示された、阿弥陀如来の救いを、現代に生きる私が明らかに聞かせていただくことが、浄土真宗の念仏者として何よりも大切なことは言うまでもありません。
また、それによってこそ、私のあり方があらためて気付かされるのです。
「教学シンポジウム」は、そのことを確認できる重要な企画です。
どうぞご期待下さい。

（教学伝道研究センター・本願寺教学伝道研究所）