宗門長期振興計画の重点項目⑥「新たな門徒の誕生(教線の拡充)」の中で、公益性を有する事業展開として、
有志僧侶を募り、高齢者施設において傾聴ボランティアを行う「プロジェクトダーナ東京」を展開しています。
一般社団法人仏教総合研究所は、親鸞聖人750回大遠忌事業の一環として設立され、事務所を構えています。
これまでダイヤモンド社と共同で季刊誌『ジッポウ』を発行するなど出版事業を主に行ってまいりましたが、今後の公益法人への移行を見据え、
現在、公益事業の一環として「プロジェクトダーナ東京」を行っています。今回は、この「プロジェクトダーナ東京」の活動を紹介させて頂きます。
「プロジェクトダーナ」とは、ハワイ・モイリリ寺院のご門徒の提唱からはじまった、お年寄りを支援するためのボランティア活動です。
ハワイの僧侶・門徒らが中心になり、「他者のために自分の時間を差し出す」というダーナ(布施)の精神を持って、老人介護施設や独居老人の自宅において、
話し相手や清掃・買い物の手伝いなどだれでもできる気軽なボランティア活動を行っています。
今回、仏教総合研究所を拠点としてこの活動を行うために、昨年の12月、「ハワイ・プロジェクトダーナ本部」で活動の承認を得ました。
そして、首都圏の地域性を考慮した結果、まずは活動内容を老人養護施設での話し相手ボランティア(傾聴ボランティア)に限定した形で、
今年の1月に「プロジェクトダーナ東京」をスタートしました。
活動の基本は、「1カ月に最低一時間、寺院の近隣の人々のために時間を布施し、お話を傾聴する」ことです。東京ビハーラとの共同の研修会・実習を経て、
現在、首都圏6か所の老人養護施設で10人のボランティアが活動を行っています。それぞれの場所で、お年寄りの方々のさまざまな話(世間話、若いころの思い出話、
お孫さんの話、愚痴話など)を傾聴させて頂いています。
ハワイのモイリリ寺院
当初はなかなかお話をして頂けないこともありましたが、回を重ねるうちに徐々に心を開いて、いろいろな話をしてくださるようになりました。
現在では、各施設の施設利用者がこの「プロジェクトダーナ東京」の活動を大変楽しみに待ってくださっています。
また施設側から、関連施設でもぜひ同様の活動を行ってほしいとの要望も寄せられています。
活動を通して積極的に布教をすることはありません。しかし、僧侶という肩書きを持ちながら傾聴の活動をしていると、仏教のこと、お寺のこと、
お墓のことなどさまざまな質問を受けます。そして、それぞれの質問にお答えしていると、周囲の方々も興味を持って聴いてくださり、
自然と布教につながっていくことがしばしばあります。
この活動を実践していると、一方的に教えを説くのではなく、まず話を聴かせて頂く姿勢で接することが、
これからの時代の新たな布教のスタイルになるのではないだろうかと感じさせられます。
また、毎回「相手のために」という思いで傾聴活動を行っていますが、施設の皆様に喜んでいただけると、こちらが逆に多くの喜びや満足感をいただいていることを実感します。
東京都中央区での活動
「プロジェクトダーナ東京」は、このように「話を聴く」ことを通して、人びとにつながりの大切さを感じてもらい、
「僧侶や門徒」(お寺)と「近隣住民」をより身近なものにしていくという大変シンプルな活動です。現在は主に「僧侶が話を聴きに伺う」という形で活動が始まっていますが、
今後は参加者が所属する寺院のご門徒と一緒に活動をしたり、老人養護施設の利用者のみなさまが逆にお寺を訪問するイベントの開催も予定しています。
この活動は全国のどのような場所でも実践できますし、一寺院、一個人からでもはじめられる活動です。
現在、仏教総合研究所では活動マニュアル・事例集を作成中です。当研究所までご連絡をくだされば、活動に関する情報を喜んで提供させて頂きます。
また、活動報告に関しては「プロジェクトダーナ東京」のホームページ(
http://www.projectdana.jp/)でも見ることができます。
全国のそれぞれのお寺で、僧侶と門徒が一緒になってこの活動を実践して頂ければ幸いです。
プロジェクトダーナ東京ホームページ